冷凍のハンバーグや中華点心などにも加工でん粉を使用して様々な工夫がなされている。糊感が少ないアルファ化でん粉を5%程度配合することにより、電子レンジ解凍後でもジューシーでソフトな食感のハンバーグや肉団子を作ることができる。
また冷凍餃子は、冷凍焼けと呼ばれる乾燥により耳が硬くなってしまい、電子レンジ調理では軟らかくなりにくい。これに対し、アルファ化でん粉を添加して生地への加水量を多くしたり、水和力を強めるためエーテル化でん粉を配合した上で、でん粉分解物水溶液で餃子表面を処理するなどの方法が考え出されている。(*4)
以上、主に惣菜類に関して述べてきたが、主食関係やデザート関係への一例を以下にまとめる。
冷凍麺は解凍すると小麦粉中のでん粉が老化によって粘弾性が低下し、ぼそついた食感になる。冷凍耐性を持つタピオカの加工でん粉を10〜20%使用することで、冷凍・解凍による老化を防止し、つるみと腰のある食感を維持することができる。流水解凍麺は解凍時に熱をかけないため、さらに強い老化耐性が求められるが、高置換度のエーテル化でん粉を使用することで対応できる。
米飯類には艶だしを目的にでん粉分解物が使われることがあり、また焼きおにぎりの結着剤として加工でん粉が使われているものもある。
くず桜などの和風デザートでは、もともとくず粉などを使用して作っているのだが、冷凍・解凍すると透明感が失われ白濁してしまう。ばれいしょでん粉原料のエーテル化でん粉もしくはエーテル架橋でん粉など耐老化性の加工でん粉を使用すると、透明でみずみずしい状態が保たれる。
冷凍のワッフルや回転焼きなどの生地ものにおいても、老化耐性のあるでん粉で口溶け感を維持できるし、最近流行のモチモチ感を付与することもできる。また、ケーキ類なども自然解凍するとでん粉の老化により、ボソボソして口溶け感が悪くなるが、老化耐性のある加工でん粉で改善されている。