平成22年産の鹿児島県内のかんしょでん粉工場の集荷は、平成22年9月〜10月に順次開始され、12月15日にすべての工場において終了した。
今年産のかんしょは、4〜5月における低温による植付けの遅れ、6月の豪雨、日照不足による葉の生育不良、さらに、7〜8月の猛暑による地温の上昇など、生育に影響を及ぼすさまざまなマイナス要因に見舞われ、原料集荷量は前年度比1割以上減の146,685トンとなった。
このような天候不順の影響による生育不良を少しでも緩和して収量を上げるため、収穫を遅らせた農家も多かったが、規模の大きい農家では全体の収穫量が多いため、あまり出荷時期を遅らせることができなかった。また、大雨による根腐れの発生などにより、植直しが行われたほ場では、生育期間が短く、かんしょの肥大を待たずして収穫せざるを得ない例もあった。
また、無マルチ栽培ほ場は、マルチ栽培ほ場に比べて大雨による畝崩れなどの被害が大きくなりやすい傾向があり、ほとんどがマルチ栽培である青果用や焼酎用に対し、無マルチ栽培ほ場の割合が大半を占めるでん粉原料向けかんしょでは、豪雨の影響が大きかったと考えられる。
薩摩地域の工場の原料集荷量は前年度比1割未満の減少にとどまったのに対し、熊毛地域の工場では2割近くの減少となるなど、地域間で多少のばらつきが見られた。
大隅地域や熊毛地域においては、薩摩地域と比較してマルチ栽培によるほ場の割合が少なかったことも大雨による被害の拡大を招き、結果的に収量が減少した要因の一つとなったようである。また、熊毛地域では、さとうきびの栽培面積の増加に伴い、かんしょの植え付けが遅れるというこの地域ならではの特異な事情もみられた。
なお、薩摩、大隅、出水それぞれの地域で、宮崎県から原料を集荷している工場もいくつかあったものの、4月に発生した口蹄疫による大きな影響はみられなかったとのことであった。