(b)タピオカでん粉
中国は世界最大のタピオカでん粉輸入国であり、その量は年間約70〜80万トンに上る。2009年の輸入量は前年比79.7%増の83万2000トンであったが、2010年(1〜11月)は前年同期比16.2%減の64万7000トンとなっている。2010年に輸入量が減少した要因は、主要輸入先であるタイで発生した害虫被害による価格の高騰である。
なお、ASEANとの自由貿易協定(FTA)により、ASEAN産のタピオカでん粉輸入は無税となっている。
中国におけるタピオカでん粉の主な用途は製紙業である。また、キャッサバチップ(キャッサバを粉砕し乾燥させたもの)もタイから輸入しており、これらは飲料用、工業用のアルコール原料として利用されている。
(c)ばれいしょでん粉
ばれいしょでん粉の輸入量は、2009年産のばれいしょが不作であったことから、2009年は前年比182.1%増となる3万5000トン、2010年も1〜11月で前年同期の約5倍となる13万2000トンと大幅に増加傾向している。主な輸入先は、オランダ、ドイツ、デンマークなどのEU諸国となっており、これらが全体に占める割合は9割超である。
中国政府は、2007年2月から5年間、EU産ばれいしょでん粉に対して17〜35%のアンチダンピング税を課しているにもかかわらず輸入量が増加している。このため、商務部は、2008年半ば以降EU産ばれいしょでん粉がアンチダンピング税率を超えてダンピングされているとする業界団体(中国でん粉産業協会(China’s Starch Industry Association))などの主張を受け、2009年4月1日から2010年3月31日の間に中間見直しを実施するとしたものの、現在のところその結果については公にされていない。