鹿児島事務所
鹿児島県におけるでん粉用及び焼酎用さつまいもおよびでん粉の生産・流通等に係る基本方針を一体的に推進し、さつまいも生産農家の所得向上と関連産業の経営安定を図ることを目的に、鹿児島県と県内の関係機関が会員となって各種対策を講じている「鹿児島県さつまいも・でん粉対策協議会(会長:鹿児島県知事伊藤祐一郎、事務局:鹿児島県農政部農産園芸課内)」の企画調整部会(第3回)が平成23年1月31日(月)(於:JA鹿児島県会館)に開催された。
今回開催された同部会では、平成22年産さつまいもの集荷実績についての報告および平成23年産さつまいも需要見込など次年度の対策に関する検討が行われた。
はじめに、鹿児島県農政部農産園芸課から、平成22年産原料用さつまいもの生育状況等について報告があった。その中で、平成22年産さつまいもは、4〜5月の低温による初期生育の遅れ、6〜7月の長雨・豪雨による生育不良に加え、7〜8月の高夜温によるいもの肥大の遅れなどが複合的に発生したことにより平年より2割程度の減収となり、でん粉原料用は前年産から12ポイント減少し146,685トンとなった。
一方、焼酎原料用さつまいもの集荷数量は、平成15〜17年産にかけて全国的な焼酎ブームを背景に急増していたが、本格焼酎の需要がピークを過ぎた後、平成21年産から減少に転じており、平成22年産は157,379トンとなる見込みとの報告が行われた。
続いて、平成23年産の見通しについて説明が行われた。平成23年産の希望需要量は、でん粉原料用が190,800トン、焼酎原料用が151,500トン、また、平成23年産に向けての課題は、減少する焼酎需要の実態を踏まえて、用途別需要見込みに応じた、コガネセンガン等の焼酎原料用品種からシロユタカ等のでん粉原料用品種への推進、及びでん粉原料用さつまいもの売渡契約の徹底であるとのことであった。
次に、鹿児島県農業開発総合センター大隅支場からは、平成22年産さつまいもの生育経過に関する試験結果について報告があり、特に無マルチ栽培では6月の降雨による畦の崩壊等の影響で、上いも個数・収量ともに前年よりも少なかったとのことであった。
上記報告に関連して、「生産者にとって焼酎原料用よりも(政策支援によって)出荷価格が安定しているでん粉原料用さつまいもの面積はそれほど減少することはないであろう」、「貯蔵性などが劣るコガネセンガンよりダイチノユメといった高でん粉品種のほうがでん粉原料用としてはふさわしい」などの議論が活発に行われた。
鹿児島県からは、今後も焼酎原料用さつまいもの需要減少が見込まれ、また、でん粉工場においては焼酎向けが主用途であるコガネセンガンを原料として取り扱わない傾向であることを踏まえた上で、個々の農家が品種選定の判断を誤ることがないよう需要見込の周知を図っていきたい旨が述べられた。
また、オブザーバー参加の当機構からも、平成22年産のかんしょでん粉検査結果について、前年産と比較して水分値に改善が見られたこと、また、鑑定方法による検査から検査器具を用いた標準計測方法への移行が望ましいこと、品目別経営安定対策の事務手続きに関する説明会を行う予定であることなどについて情報提供を行った。