国内のでん粉需給動向
最終更新日:2011年8月8日
国内のでん粉需給動向
2011年8月
農林水産省、でん粉需給見通しを公表
農林水産省は、2011年7月にでん粉の需給見通しを公表した。(表1)
(1)需要
〜22年度は前年度比19万9000トン増加の見込み〜
これによると、我が国の22でん粉年度(10〜9月)の総需要量は、前年度比19万9000トン増の284万7000トンと見込まれる。うち、需要の約2/3を占める糖化製品については、10〜3月期の異性化糖の需要が残暑の影響から堅調に推移したこと、4〜9月期は夏期の節電に備え、飲料メーカーの前倒し需要があったことから、前年度から14万7000トン増の185万9000トンとなっている。化工でん粉については、不況の影響により減少していた需要が回復傾向にあること、輸入タピオカでん粉誘導体からコーンスターチへの置き換えがあったことから、前年度比2万トン増となる36万8000トンと見込まれる。また、その他の用途については、ビール用需要が低価格の第3のビールに生産移行し減少が見込まれる一方で、製紙・段ボール用および建材用需要は家電エコポイント制度、住宅エコポイント制度の実施などにより回復基調にあることから、全体としては前年度比3万2000トン増の62万トンと見込まれる。
なお、23でん粉年度の総需要量については、22年度の残暑による増加要因を考慮した上で、今後の需要動向などを見極める必要があるとして、前年度比2万6000トン減の273万5000トンの見込みである。
(2)供給
〜22年度は国内産ばれいしょでん粉が大幅な減産〜
22でん粉年度の供給については、前年度比17万3000トン増の283万8000トンの見込みである。その内訳は、かんしょでん粉4万5000トン、ばれいしょでん粉16万トン、コーンスターチ244万9000トン、輸入でん粉14万6000トンなどとなっている。
かんしょでん粉は、植付期の低温、6月の大雨、夏期の夜温の高止まりなどの複合的な影響により、集荷量が前年度比1万9000トン減の14万7000トンになったことから、前年度比7000トン減と見込まれる。ばれいしょでん粉については、作付面積の減少に加え、夏期の記録的な高温と多雨の影響により、同3万6000トン減と大幅な減産の見込みとなった。コーンスターチについては、糖化製品の需要が回復傾向にあることや国内産いもでん粉が大幅な減産であったことを勘案し、同20万1000トン増と見込まれる。また、糖化製品および化工でん粉向けの輸入でん粉についても、国内産いもでん粉の減産から、同1万5000トン増の見込みとなっている。
◆天然でん粉輸入の動向◆
・5月の天然でん粉輸入量は、1万2500トン(前年同月比17.6%増)
内訳は、タピオカでん粉が10.1%増となる9900トン、サゴでん粉が37.8%増となる1500トン、ばれいしょでん粉が95.4%増となる1000トンであった。
・5月の輸入価格(CIF)は、タピオカでん粉が続伸
タピオカでん粉価格が前月比1.2%安のトン当たり4万9900円(前年同月比19.9%高)、ばれいしょでん粉価格が35.4%高の8万100円(同117.8%高)であった。ともに需給がひっ迫しているため、前年の水準を大幅に上回っている。
◆化工でん粉輸入の動向◆
・5月の化工でん粉輸入量は、3万8900トン(前年同月比4.4%増)
内訳は、でん粉誘導体(HScode3505.10.100)が3万5600トン、デキストリン(HScode3505.10.200)が3300トンであった。でん粉誘導体の輸入先国は、タイが2万1100トンと6割弱を占め、次いで米国3400トン、ベトナム3200トン、中国1600トンとなっている。でん粉誘導体の輸入価格(CIF)は、前月比2.6%高のトン当たり7万6800円。デキストリンは同12.5%高の7万8200円であった。
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