でん粉の需給・価格動向
最終更新日:2011年10月7日
でん粉の需給・価格動向
2011年10月
主要国におけるでん粉事情(2011年9月現在)
絵で見る世界のでん粉製品需給
海外のでん粉需給動向
とうもろこし
米 国
生産量は下方修正され、前年度並みに
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は9月12日、世界農産物需給推計の月次報告を公表した。これによると、米国における2011/12穀物年度(2011年9月〜2012年8月。以下、「年度」)のとうもろこし生産予測量は、単収の引き下げにより下方修正された。
作付面積は前月から据え置かれたものの、単収がコーンベルト一帯地域での8月の暑熱と乾燥により、前月の1エーカー当たり153.0ブッシェルから前年度を下回る148. 1.0ブッシェルへ下方修正された。このことから、生産量も4億1700万ブッシェル下方修正され、前年度比0.4%増の124億9700万ブッシェル(3億1742万トン)とほぼ前年度並みと予測された。
2011/12年度の国内消費量は、飼料等向けが2億ブッシェル、エタノール向けが1億ブッシェル引き下げられ、それぞれ47億ブッシェル(同8.7%減、1億1938万トン)、50億ブッシェル(前年度と同じ、1億2700万トン)となった。輸出量もウクライナ、アルゼンチン、ブラジルの増産による輸出増大の見通しにより、1億ブッシェル引き下げの16.5億ブッシェル(同13.2%減、4191万トン)の下方修正となった。
在庫率も下方修正され、5.3%に
期末在庫については、総消費量の減少分より総供給量の減少分の方が大きいことから、4200万ブッシェル下方修正された結果、在庫率は前月の5.4%から5.3%に低下し、依然として低い状況になるとみられる。
生産者平均販売価格は、需給ひっ迫感のため先月の値から下値、上値を30セント引き上げて過去最高値となるブッシェル当たり6.50〜7.50ドルになると予測された。
(シカゴとうもろこし相場の直近のデータについては、当機構ホームページの「
海外情報」に掲載しています。)
(1米ドル=77.74円、8月末日TTS相場)
7月のとうもろこし(HScode:100590)輸出量は、前年同月比9.9%減の423万トンとなった。国別では、日本向け115万トン(13.4%減)、メキシコ向け60万3000トン(1.9%増)、韓国向け56万3000トン(69.6%増)となっている。中国向けについては、前年同月比54.2%減となる24万1000トン(前月比266.2%増)となった。なお、1〜7月の累計では、豊作であった前年同期を10.4%下回る2721万9000トンであった。
また、輸出価格(FOB)はトン当たり310米ドルと前月から横ばいで推移した。前年同月比では73.8%高と、在庫率の低さを反映して依然高水準となっている。
中 国
7月輸出量大幅減で、輸出価格は再び上昇
7月のコーンスターチ輸出量は、国内需要の増加などにより、前年同月比65.0%減の1万7700トンと、5月に続き前年の水準を大幅に下回った。国別では、インドネシア向け8100トン(80.0%減)、フィリピン向け3100トン(前年同月の約6倍)、ナイジェリア向け1400トン(36.2%減)、マレーシア向け1200トン(37.7%減)となった。
また、輸出価格(FOB)は前月比1.8%高となるトン当たり520米ドルと、2カ月ぶりに上昇に転じ、前年同月比では2割高の高水準となった。
タピオカでん粉
タ イ
9月に入ってもタピオカでん粉価格は軟化傾向
8月下期の東北部におけるキャッサバ価格は、キログラム当たり1.7〜2.2バーツ(でん粉含有率22〜24%)となった。本格的な収穫期前であることから、いくつかのタピオカでん粉工場は操業を停止しているところである。
タピオカでん粉価格は、でん粉製造業者が高値を見込んで抱えていた在庫を販売しているため、7月以降軟化傾向で推移している。9月27日では、前年度比18.7%安の同435米ドルであった。業界筋によると、価格軟化を受けて、国内および中国のバイヤーが購買に意欲的になっているという。
2011/12年度のキャッサバ生産量は前年度比14.6%増の2511万トンの見込み
タイタピオカでん粉協会(Thai Tapioca Starch Association)は、8〜9月に実施された2011/12年度(10月〜9月)のキャッサバ作柄調査の結果を公表した。これによると、作付面積は前年度比3.8%増となる737万ライ(約118万ヘクタール、1ライ=0.16ヘクタール)、生産量は同14.6%増の2511万トンが見込まれる。増加の要因は、単収が同10.4%増のライ当たり3.4トンと害虫被害以前の水準が見込まれることである。
7月の輸出量は一転して、前年同月比64.8%の大幅増加
2011年1月以降前年割れで推移していた輸出量は、7月に14万8000トンとなり、前年同月を64.8%と大幅に上回った。これは、でん粉製造業者が高値を見込んで抱えていた在庫を放出したためであるとみられる。国別では、インドネシア向け4万3900トン(前年同月の約13倍)、台湾向け3万1800トン(87.5%増)、中国向け2万5600トン(30.2%減)、マレーシア向け2万1500トン(71.6%増)、日本向け5900トン(55.1%増)であった。
ばれいしょでん粉
E U
中国がEU産ばれいしょでん粉に対して相殺関税の課税を最終決定
中国政府は9月16日、EU産ばれいしょでん粉に対するアンチダンピングに関する調査結果を公表した。これによると、EU産ばれいしょでん粉には補助金が存在しているため、この輸入によって中国のばれいしょでん粉産業が悪影響を受けている―としている。この結果、EU産ばれいしょでん粉の輸入に際しては、相殺関税が課税されることとなり、その税率は7.5〜12.4%となった。
この決定についてEUの関係者は、「EUは、2007年12月よりばれいしょでん粉に対して輸出補助金を交付していない。また、関連した補助制度についても2013年に廃止の予定となっていることを、中国に理解されなかったのは残念」としている。
7月の輸出価格、トン当たり850ユーロに続伸
7月の輸出量は前年同月比63.5%減の1万2400トンと、減産の影響から前年の水準を大幅に下回った。国別では、米国向け4200トン(56.2%増)、ロシア向け1000トン(24.4%減)、トルコ向け640トン(22.3%減)、日本向け600トン(63.7%減)、スイス向け600トン(20.5%減)となった。
また、輸出価格(FOB)はトン当たり850ユーロと前月から6.3%値を上げた。これは、前年同月(370ユーロ)の2倍以上の水準である。減産に伴う需給ひっ迫から、高止まりしている。(1ユーロ=112.21円、8月末日TTS相場)
化工でん粉
輸出国の動向
タ イ
7月輸出価格、続伸しトン当たり820米ドル
7月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比2.9%増の6万800トンとなった。国別では、日本向け2万1600トン(0.8%減)、中国向け7200トン(33.2%減)、オランダ向け5100トン(前年同月の約4倍)、インドネシア向け5100トン(26.3%減)、スウェーデン向け3400トン(前年同月実績なし)であった。
また、輸出価格(FOB)はタピオカでん粉価格の高騰から高止まりしており、トン当たり820米ドルと前月より10米ドル上昇し、前年同月比でも11.6%高と依然高水準で推移している。
米 国
7月の輸出価格、トン当たり870米ドルと高水準で推移
7月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比5.0%増の4万トンとなった。国別では、カナダ向け6400トン(11.2%減)、日本向け5700トン(15.7%減)、ドイツ向け5000トン(27.1%増)、英国向け4000トン(50.9%増)、メキシコ向け3900トン(20.2%減)であった。 また、輸出価格(FOB)は前月比1.2%高のトン当たり870米ドル(前年同月比7.4%高)と堅調に推移している。
中 国
7月輸出価格、わずかに下落も依然高水準
7月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比39.1%減の5600トンとなった。国別では、日本向けが最も多く1800トン(38.4%減)、次いでマレーシア向け900トン(23.0%減)、台湾向け700トン(77.9%増)、タイ向けが460トン(前年同期の約13倍)となっていた。
また、輸出価格(FOB)は前月のトン当たり870米ドルから値を下げ850米ドル(前年同月比27.7%高)となったものの、輸出量の減少を反映し、依然高水準で推移している。
E U
7月の輸出価格、前年同月を2割超上回る
7月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比15.0%減の3万1400トンであった。国別では、トルコ向けが最も多く8900トン(1.0%減)、次いで、ロシア向け3200トン(3.1%増)、中国向け2800トン(24.6%減)、米国向け2400トン(1.2%増)、スイス向け2100トン(32.8%減)であった。
また、輸出価格(FOB)はトン当たり910ユーロと前月(620ユーロ)から大幅に値を上げ、前年同月比では22.5%高となった。
輸入国の動向
中 国
7月の輸入価格、前年同月を大幅に上回る水準
7月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸入量は、前年同月比25.2%減の1万4000トンであった。輸入先はタイが8100トンと約6割を占めた。中国は、堅調なでん粉需要を反映して、2009年6月以降化工でん粉の純輸入国となっている。7月の純輸入量は、前月の9000トンから減少し、8600トンとなった。
輸入価格(CIF)は、国際価格の上昇を受け3カ月連続で上昇し、7月はトン当たり1160米ドル(前年同月比25.5%高)となった。
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