平成23年産でん粉原料用かんしょ要件審査申請の状況について
最終更新日:2011年12月9日
平成23年産でん粉原料用かんしょ要件審査申請の状況について
2011年12月
はじめに
当機構では、平成19年産から新たに導入された品目別経営安定対策の一環としてでん粉原料用かんしょの生産者の皆様に対し、その生産コストのうち、かんしょでん粉の原料代として製造事業者から生産者に支払われる額をもっては賄えない部分について、交付金を直接交付しております。
この交付金の交付を受けるために、生産者は対象者要件を満たしている必要があり、その審査を機構が行っています。
本稿では、平成23年産の要件審査結果について、この制度が開始された平成19年産からの生産状況の推移とともに、その概要を報告します。
1.平成23年産のでん粉原料用かんしょ生産者数
平成23年産の要件審査申請の結果、対象要件を満たした者(対象生産者)は、7518人でした。
この生産者数を要件区分別に見ると、B-1が935人、B-2が5177人、B-3が234人、B-4が1172人となっております。
対象要件は、以下の区分にわけられております。
B-1:認定農業者、特定農業団体又はこれと同様の要件を満たす組織
B-2:収穫面積が0.5h以上である生産者(法人を含む)、3.5ha以上の協業組織
B-3:かんしょ栽培に係る基幹作業面積の合計が3.5ha以上である共同利用組織の構成員
B-4:B-1、B-2の生産者又は基幹作業面積の合計が3.5ha以上である受託組織・サービス事業体等に基幹作業を委託している者
(注)基幹作業とは、(1)育苗(2)耕起・整地(3)畝立て・マルチ(4)植付け(5)防除(平成22年産より追加)(6)収穫の各作業です。
2.対象生産者の生産状況
対象生産者数は減少しているものの、一人当たりの作付面積は増加傾向で推移し、規模拡大が進んでいます。
(1)対象生産者の推移
平成23年産の対象生産者数は、7518人となっており、昨年の7983人と比べ465人(△5.8%)減少、平成19産の1万537人と比べると3019人(△28.7%)の減少となっています。
(2)作付面積の推移
平成23年産でん粉原料用かんしょの作付面積は6764haで、昨年の6971haと比べ207ha(△3%)の減少、平成19年産の6663haと比べると101ha(1.5%)の増加となっています。
でん粉原料用かんしょの作付面積は、品目別経営安定化対策の導入以降、かんしょ全体の作付面積のうち約35〜40%を占める6000haを下回ることなく安定的に推移しています。これは、1)かんしょの作付前の交付金単価の公表、2)でん粉工場との契約に基づく栽培、3)出荷後の交付金の早期支払いが開始されたことによって、関係者が安心して取り組むことができることによると考えられます。
(3)作付面積規模の推移
面積規模別で見ると50a未満の層が平成19年産の1122haから平成23年産で547haと大幅に(△48.8%)減少する一方、1ha以上の層は3492haから4290ha(22.9%)と増加しております。
この制度の適用された5年間で一人当たりの作付面積は63aから90aへと大きく増加しており、生産規模の拡大が進展しています。
3.要件区分別の生産者数および作付面積の推移
担い手育成や共同利用組織の活用および基幹作業の委託の推進が着実に図られております。
要件区分別の生産者数の推移を見てみると、B-1(認定農業者等)は平成23年産が935人で、平成19年産の800人と比べ135人(16.9%)増加しており、一人当たりの面積も平成19年産の119aと比べ30a(25.2%)増加しております。
B-2(一定規模面積を有する生産者等)は平成19年産の5200人から平成20年産及び21年産には5000人を割り込んだものの、平成23年産は5177人と回復傾向にあります。
また、制度開始当初は受託組織などが存在しない地域における特例として、認められていたB-5(担い手の育成を目的とする組織の参加者)については、平成22年産以降は廃止されましたが、生産者が将来に渡って安定的な生産ができるよう、B-3(共同利用組織の構成員)やB-4(B-1、B-2、又は作業受託組織等に基幹作業を委託している生産者)の対象要件に係る基幹作業の追加等の見直しが行われました。この見直しにより、B-3は平成23年産が234人で、平成19年産のゼロから皆増、B-4は平成23年産が1172人で、平成19年産の421人と比べ751人(278%)増加しています。
これらのことから、制度を通じて、担い手の育成や共同利用組織の活用および作業受委託の促進が図られていることがうかがわれます。
4.年代別生産者数の推移
平成23年産の対象生産者の年代構成は、60代未満が35.1%であるのに対し、60代が21.9%、70歳以上が41.9%と、高齢者の割合が高い状況は変わっていません。
また、60代未満の対象生産者数は、19年産の3729人から平成23年産は2641人と1088人(△29.1%)減少しており、この傾向は今後も続くと考えられます。
おわりに
制度開始から5年間の推移を見ると、生産構造として高齢化の傾向が継続することは否めないものの、でん粉原料用かんしょの生産者当たり作付面積は、拡大が着実に図られ安定的に維持されております。
当機構といたしましても原料用かんしょ生産者およびかんしょでん粉製造事業者の皆様の経営の安定が図られることを期待するとともに、制度の円滑な実施に努力して参りたいと考えております。
また、平成19年産から平成23年産までの統計資料を当機構HP(
http://www.alic.go.jp/operation/starch/operation-producer.html)にて公表しておりますので、ご覧ください。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713