札幌事務所
平成24年4月19日(木)、当事務所は平成24年度の情報収集提供業務を実施するに当たり、道内における情報ニーズの明確化、情報精度の向上を図るため第1回地域情報交換会を開催した。
今回は、行政機関、てん菜糖製造事業者、農業関係団体、消費者団体など合わせて14名が出席した。まず、山ア札幌事務所長の挨拶に引き続き、調査情報部岩波総括調整役から平成24年の情報業務の重点テーマ、分野別テーマなどの説明がなされた。さらに山ア所長から札幌事務所の砂糖およびでん粉の情報業務実施計画案について説明があった後、各出席者からの話題提供による情報交換および機構の情報収集提供業務についての意見交換が行われた。
出席者からの主な話題提供は次のとおり。
(1)今年度における戸別所得補償制度の運用に当たり、一部変更点がある。昨年は契約数量を生産数量目標としてそのまま設定していたところであるが、今年度から実際の作付面積が播種前契約時の作付計画面積に比べて減少した場合には、実際の作付面積に見合った生産数量目標へ修正していただくこととなる。現在北海道農政事務所のホームページに変更点が掲載されているパンフレットを公表している。また生産者や関係機関などに印刷物を配布する予定。
(2)てん菜の作付面積は7年連続で減少し、今年度は6万ヘクタールを下回ることが予想される。その要因として、てん菜から飼料作物などへの転換、生産者の高齢化、戸別所得補償制度におけるてん菜の交付金単価の減少などが挙げられる。
(3)てん菜は3年連続で不作が続いており、作付面積や生産量の減少に歯止めをかけるためにも高抵抗性および高収量のビート品種の開発が望まれている。
(4)でん粉原料用ばれいしょは2年連続で不作が続き、現在需要を満たせない供給量まで落ち込んでいる状況となっている。このため、関係機関などが「馬鈴しょでん粉の安定供給体制確立に向けた検討プロジェクト」を立ち上げたところ。検討課題は生産に影響を与えるシストセンチュウ対策に係る蔓延防止策、種子圃の確保、栽培技術体系および作業効率を予定している。
(5)砂糖に対する誤解は依然として根強く、消費量減少の要因にもなっており大変懸念している。
また、情報業務に対する主な意見、要望は次のとおり。
(1)戸別所得補償制度の対象品目にそばが加わったことにより、てん菜およびばれいしょでん粉の作付面積が減少した影響が考えられることから、この観点からの分析ができれば興味深い。
(2)てん菜およびばれいしょの新品種、栽培方法、新技術および新作業機械ならびに海外における低コスト・省力化栽培方法などについての情報提供をお願いしたい。
(3)生産者に対し、てん菜の生産拡大が図られるような生産技術に関する情報の発信をお願いしたい。
(4)1人当たりの砂糖の消費量が減少していることから、砂糖の正しい知識の普及および消費拡大につながる情報提供の発信やアピールをしていただきたい。
(5)欧米におけるばれいしょの製造コスト、作業体系(機械による効率化)などについて調べていただきたい。
(6)生産地における生の情報は実際に現地調査を行わないとわからないので、ALICには農家が行っている取り組みや先進的農家の事例調査を情報提供していただけると有り難い。
当事務所としても、上記の意見、要望などをできるだけ踏まえつつ、情報誌やホームページの他に一般消費者向け講座などを通じた正しい知識のPRや、北海道に関連する農畜産物の情報を積極的に発信するため、出席者の皆様へ更なる理解と協力をお願いして会議を終了した。