でん粉の需給・価格動向
最終更新日:2012年9月10日
でん粉の需給・価格動向
2012年9月
主要国におけるでん粉事情(2012年8月現在)
絵で見る世界のでん粉製品需給
海外のでん粉需給動向
とうもろこし
米 国
米国干ばつの影響により、生産量の大幅な下方修正
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は8月10日、今年初めてとなる全国作況調査に基づき8月の世界農産物需給推計の月次報告を公表した。米国における2012/13穀物年度(2012年9月〜翌8月。以下、「2012/13年度」)のとうもろこしの作付面積は、先月の予測値が据え置かれたものの、収穫面積が8890万エーカーから8740万エーカーに下方修正された。単収は、コーンベルト地帯中西部で6月末から続く高温・乾燥の影響を受け、先月の1エーカー当たり146.0ブッシェルから123.4ブッシェル(3.1トン、1ブッシェル=25.4キログラム)に下方修正された。これにより生産量も21億9100万ブッシェル下方修正されて107億7900万ブッシェル(2憶7400万トン)になると予測された。
一方、消費量はとうもろこし価格の高騰を背景に、飼料等向け7億2500万ブッシェル、エタノール向け4億ブッシェル、食品・種子・その他工業向け4億7000万ブッシェルの下方修正がなされた。また、輸出はとうもろこし生産量の減少が見込まれることから、3億ブッシェル下方修正された。この結果、期末在庫は5億3300万ブッシェル下方修正され、在庫率は先月の9.3%から5.8%とさらに低下した。
生産者平均販売価格は、需給のひっ迫感を受けて先月の値から下値、上値を2ドル以上引き上げ過去最高値となるブッシェル当たり7.50〜8.90ドルになると予測された。
(シカゴとうもろこし相場の直近のデータについては、当機構ホームページの「
海外情報」)に掲載しています。)
上半期輸出量、前年同期比13.2%減の1995万3000トン
6月のとうもろこし輸出量は、前年同月比23.1%減の293万9000トンとなった。2012年上半期の輸出量は、前年同期比13.2%減の1995万3000トンであった。上半期における国別輸出量は、メキシコ向け605万9000トン(前年同期比44.0%増)、日本向け586万8000トン(同14.5%減)、中国向け204万6000トン(前年同期の8.2倍)、韓国向け153万8000トン(前年同期比47.2%減)、ベネズエラ92万8000トン(前年同期の2.9倍)となった。メキシコ向け輸出量は、2011/12年度(10月〜翌9月)が減産となったため増加している。
また、輸出価格(FOB)は前年同月比10.0%安のトン当たり280米ドル(約2万2000円)と前月比10米ドル安となった。
(1米ドル=79.17円、7月末日TTS相場)
中 国
7月輸出価格、前年同月比6.6%高のトン当たり550米ドルと続伸
7月のコーンスターチ輸出量は、前年同月から70.2%減の5300トンであった。2012年1〜7月の輸出量については、6万4300トンと前年同期比64.2%減の大幅な減少となった。1〜7月における国別輸出量は、インドネシア向け2万7800トン(前年同期比54.9%減)、ナイジェリア向け7800トン(同13.7%減)、フィリピン向け4600トン(同84.4%減)、マレーシア向け3800トン(同83.5%減)、香港向け3200トン(同16.8%減)となった。
また、輸出価格(FOB)は前年同月比6.6%高のトン当たり550米ドル(約4万4000円)と中国国内のとうもろこし価格と同様に堅調に推移した。
(1米ドル=79.17円、7月末日TTS相場)
タピオカでん粉
タ イ
7月のタピオカでん粉価格、キログラム当たり440米ドル
7月下期の東北部におけるキャッサバ価格は、キログラム当たり2.00〜2.40バーツ(でん粉含有率22〜25%)であった。タピオカでん粉価格は、8月28日現在で前年比2.0%安のキログラム当たり13.3バーツ(トン当たり440米ドル)と横ばいで推移した。2月から開始された担保融資制度は6月末に終了し、この期間の政府買い取り対象となったキャッサバは943万6000トンと見通し生産量の約40%となった。
なお、タイ主要生産地であるナコンラーチャーシーマー県における今年度の生産量は、コナカイガラムシの被害は少なかったため、前年度比16%増を見込んでいる。
インドネシア向け上半期の輸出量、全体の38%を占める
6月のタピオカでん粉輸出量は、18万1000トンと前年同月の1.7倍となった。2012年上半期の輸出量は、前年同期比40.0%増の105万8000トンであった。上半期における国別輸出量は、インドネシア向け39万8600トン(前年同期の5.0倍)、中国向け23万6300トン(前年同期比7.8%減)、台湾向け11万2800トン(同6.9%減)、マレーシア向け10万7800トン(同38.3%増)、日本向け6万3500トン(同9.1%増)となった。インドネシアでは、内需が高まっているものの、原料コスト高によりタピオカでん粉生産量が伸び悩んでいることから、輸入量が急増している。
ばれいしょでん粉
E U
ばれいしょ収穫面積、前年度比5.9%減少
8月の北西ヨーロッパばれいしょ生産者会(NEPG)の報告によると、主要5生産国(ベルギー、ドイツ、フランス、オランダ、英国)における2012年産ばれいしょの収穫面積(生食用及び加工品)は、前年度比5.9%減の51万3000ヘクタールと予測された。最も減少率が大きいのは、同9.2%減15万7000ヘクタールとされるドイツである。
上半期輸出価格は、軟調に推移
6月のばれいしょでん粉輸出量は、4万3400トンと前年同月の2.1倍となった。この結果、2012年上半期の輸出量は、前年同期比59.5%増の20万5400トンとなった。上半期における国別輸出量は、韓国向け2万4200トン(前年同期比34.5%増)、米国向け2万3400トン(同2.4%増)、中国向け1万2200トン(同13.1%減)、台湾向け9500トン(前年同期の4.3倍)、日本向け8900トン(前年同期比41.2%増)であった。
また、輸出価格(FOB)は、前年同月比31.2%安となるトン当たり550ユーロ(約5万4000円)で、前月の580ユーロから30ユーロ安と6カ月連続の下落となった。
EUでは、2012年度産ばれいしょでん粉の生産が8月に開始された。
(1ユーロ=97.37円、7月末日TTS相場)
化工でん粉
輸出国の動向
タ イ
6月輸出価格は、前年同月比15.5%安のトン当たり760米ドル
6月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比4.8%減の6万9600トンとなった。2012年上半期の輸出量は、前年同期比4.6%減の40万2600トンであった。上半期における国別輸出量は、日本向け14万800トン(前年同期比5.8%減)、中国向け8万2400トン(同33.9%増)、インドネシア向け4万700トン(同6.5%増)、韓国向け2万900トン(同9.7%減)、マレーシア向け1万4900トン(同13.9%増)であった。
また、輸出価格(FOB)は、前年同月比5.5%安であったものの、前月から50米ドル上昇しトン当たり760米ドル(約6万円)となった。
(1米ドル=79.17円、7月末日TTS相場)
米 国
6月輸出価格は、トン当たり870米ドルの高水準
6月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比10.1%増の4万2600トンとなった。2012年上半期の輸出量は、前年同期比8.5%減の21万9800トンであった。上半期における国別輸出量の合計は、カナダ向け4万500トン(前年同期比5.7%減)、日本向け3万6900トン(同16.1%増)、メキシコ向け2万1600トン(同21.7%減)、ドイツ向け1万6600トン(同32.8%減)、英国向け1万6400トン(同9.4%減)であった。
また、輸出価格(FOB)は前月から30ドル下落したものの、前年同月比2.0%高の870米ドル(約6万9000円)と高水準であった。
(1米ドル=79.17円、7月末日TTS相場)
中 国
1〜7月日本向け輸出量、前年同期比41.3%増の2万2000トン
7月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比64.4%増の9200トンとなった。2012年1〜7月の輸出量は、前年同期比0.8%減の6万1800トンであった。1〜7月における国別輸出量は、日本向け2万200トン(前年同期比41.3%増)、韓国向け2万200トン(同22.2%減)、マレーシア向け5400トン(同33.0%増)、台湾向けが3500トン(同35.9%減)、サウジアラビア向け2900トン(前年同期の13.7倍)となった。2012年の中国産コーンスターチの輸出量は前年に比べ激減しているものの、デキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は前年とほぼ同水準である。
また、輸出価格(FOB)は、トン当たり800米ドル(約6万3000円)と前月から据え置かれたものの、前年同月比4.7%安となった。
(1米ドル=79.17円、7月末日TTS相場)
E U
6月の輸出価格、トン当たり940ユーロと高水準で推移
6月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比0.2%減の3万7900トンとなった。2012年上半期の輸出量は、前年同期比5.5%増の22万6900トンとなった。上半期における国別輸出量は、トルコ向け4万7800トン(前年同期比4.3%減)、ロシア向け2万3400トン(同20.5%増)、日本向け1万9500トン(同84.5%増)、中国向け1万9000トン(同4.0%増)、韓国向け1万4600トン(同61.5%増)であった。
また、輸出価格(FOB)は、前年同月比3.6%高のトン当たり940ユーロ(9万2000円)と前月から上昇に転じた。
(1ユーロ=97.37円、7月末日TTS相場)
輸入国の動向
中 国
7月輸入価格、前月から150米ドル上昇しトン当たり1010米ドル
7月のデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸入量は、前年同月比47.2%増の2万900トンとなった。2012年1〜7月の輸出量は、前年同期比4.5%増の12万7400トンであった。1〜7月における国別輸入量は、タイから8万5900トン(前年同期比15.4%増)、米国から1万1400トン(同1.4%増)、ドイツから5300トン(同28.0%減)、フランスから5100トン(同32.9%増)、オランダから4500トン(同10.5%減)となった。 この結果、7月の純輸入量は、前年同月比36.2%増となる1万1800トンとなった。
また、輸入価格(CIF)は、前月から150米ドル値を上げたものの、前年同月比0.01%安のトン当たり1160米ドル(約9万2000円)と前年同月とほぼ同水準であった。
(1米ドル=79.17円、7月末日TTS相場)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713