平成24年産でん粉原料用かんしょ要件審査申請の状況について
最終更新日:2012年11月9日
平成24年産でん粉原料用かんしょ要件審査申請の状況について
2012年11月
特産業務部でん粉原料課
【はじめに】
当機構では、平成19年産から新たに導入された品目別経営安定対策の一環としてでん粉原料用かんしょの生産者の皆様に対し、その生産コストのうち、かんしょでん粉の原料代として製造事業者から生産者に支払われる額をもっては賄えない部分について、交付金を直接交付しています。
この交付金の交付を受けるために、生産者は対象者要件を満たしている必要があり、その審査を機構が行っています。
本稿では、平成24年産の要件審査結果について、この制度が開始された平成19年産からの生産状況の推移とともに、その概要を報告します。
1.平成24年産のでん粉原料用かんしょ生産者数
平成24年産の要件審査申請の結果、対象要件を満たした者(対象生産者)は、6,833人。
この生産者数を要件区分別に見ると、B-1が847人、B-2が4,746人、B-3が214人、B-4が1,026人となっております。
対象要件は以下の区分のとおりです。
B-1:認定農業者、特定農業団体又はこれと同様の要件を満たす組織
B-2:収穫面積が0.5h以上である生産者(法人を含む)、3.5ha以上の協業組織
B-3:かんしょ栽培に係る基幹作業面積の合計が3.5ha以上である共同利用組織の構成員
B-4:B-1、B-2の生産者又は基幹作業面積の合計が3.5ha以上である受託組織・サービス事業体等に基幹作業を委託している者
(注)基幹作業とは、(1)育苗(2)耕起・整地(3)畝立て・マルチ(4)植付け(5)防除(平成22年産より追加)(6)収穫の各作業です。
2.対象生産者の生産状況
対象生産者数は減少しているものの、一人当たりの作付面積は増加傾向で推移し、規模拡大が進んでいますが、近年は90a前後を推移しています。
(1)対象生産者の推移
平成24年産の対象生産者数は、6,833人となっており、昨年の7,172人と比べ339人(△4.7%)減少、平成19産の1万537人と比べると3,704人(△35.2%)の減少となっています。
(2)作付面積の推移
平成24年産でん粉原料用かんしょの作付面積は6,127haで、昨年の6,597haと比べ470ha(△7.1%)の減少、平成19年産の6,663haと比べると536ha(△8.0%)の減少となっています。
でん粉原料用かんしょの作付面積は、品目別経営安定化対策の導入以降、かんしょ全体の作付面積のうち約35〜40%を占める6,000haを下回ることなく推移しています。これは、かんしょの作付前の交付金単価の公表、でん粉工場との契約に基づく栽培、出荷後の交付金の早期支払いが開始されたこと等によって、関係者が安心してでん粉原料用かんしょ栽培に取り組むことができることによると考えられます。
(3)作付面積規模の推移
面積規模別で見ると50a未満の層が平成19年産の1,122haから平成24年産で489haと大幅に(△56.4%)減少する一方、1ha以上の層は3,492haから3,877ha(11.0%)と増加しています。
この制度が適用された6年間で一人当たりの作付面積は63aから90aへと大きく増加しています。
3.要件区分別の生産者数および作付面積の推移
要件区分別の生産者数の推移を見てみると、B-1(認定農業者等)は平成24年産が847人で、平成19年産の800人と比べ47人(5.9%)増加しており、一人当たりの面積も平成19年産の119aと比べ23a(19.3%)増加しています。
B-2(一定規模面積を有する生産者等)は平成19年産の5,200人から、平成24年産は4,746人と5,000人を割り込んだ一方、全生産者に占める割合は、平成19年産の49.3%から平成24年産は69%に増加しました。
また、制度開始当初は受託組織などが存在しない地域における特例として認められていたB-5(担い手の育成を目的とする組織の参加者)については、平成22年産以降は廃止されましたが、生産者が将来に渡って安定的な生産ができるよう、B-3(共同利用組織の構成員)やB-4(B-1、B-2、又は作業受託組織等に基幹作業を委託している生産者)の対象要件に係る基幹作業の追加等の見直しが平成23年に行われました。この見直しにより、B-3は平成24年産が214人で、平成19年産のゼロから皆増、B-4は平成24年産が1,026人で、平成19年産の421人と比べ605人(143.7%)増加しています。
これらのことから、制度を通じて、担い手の育成や共同利用組織の活用および作業受委託の促進が図られていることが伺われます。
4.年代別生産者数の推移
平成24年産の対象生産者の年代構成は、60代未満が34.0%であるのに対し、60代が23.3%、70歳以上が32.2%と、高齢者の割合が高い状況は変わっていません。
また、60代未満の対象生産者数は、19年産の3,729人から平成24年産は2,322人と1,407人(△37.7%)減少しており、この傾向は今後も続くと考えられます。
おわりに
制度開始から6年間の推移を見ると、生産構造として高齢化の傾向が継続し、作付面積は平成22年産をピークに減少傾向ですが、当機構といたしましても原料用かんしょ生産者およびかんしょでん粉製造事業者の皆様の経営の安定が図られることを期待するとともに、制度の円滑な実施に努力して参りたいと考えております。
また、平成19年産から平成24年産までの統計資料を当機構HP(
http://www.alic.go.jp/operation/starch/operation-producer.html)にて公表しておりますので、ご覧ください。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713