鹿児島事務所 渡邊 陽介
平成25年8月19日(月)、種子島の南種子町にある南種子町福祉センターにて南種子町きび甘しょ振興会生産者大会(主催:南種子町きび甘しょ振興会)が開催され、南種子町のさとうきび及び甘しょの生産者が約360名出席した。
同大会では、冒頭に南種子町きび甘しょ振興会砂坂浩一郎会長、JA種子屋久代表理事鮫島忠雄組合長があいさつを行い、その後、梶原弘コ南種子町長、新光糖業株式会社日高昇本部長、当機構山本景一総括調整役から来賓祝辞があった。
種子島における平成24年産のさとうきび及びでん粉原料用甘しょの生産状況は、既報のとおり(地域だより2013年8月号「第2回西之表市きび甘藷生産振興会総会の開催について」にて掲載)収穫面積、生産量、10アール当たり収量ともにそれぞれ前年に比べ減少しており、南種子町も同様である。
こうした状況から、砂坂会長は「さとうきびも甘しょも二年連続の不作となっており、ここ数年さとうきび及び甘しょの栽培面積が減少してきている。みんなで助け合いながら面積の維持をしていこう。」と述べ、増産に向けて振興会として真摯に取り組んでいくことを力強く宣言した。また、新光糖業株式会社が産業廃棄物となるマルチの処理費用を全額助成していることを紹介するとともに、「マルチの不適切な廃棄は地球温暖化などの形で、そのつけは自分たちに返ってくるはずなので、目先の自分のことだけを考えず、環境のことを考えよう。」とマルチの適切な廃棄について呼びかけた。
鮫島組合長は「生産者や振興会の取り組みにより、近年、南種子町のさとうきび及び甘しょの品質が上がってきている。」として農協を代表して感謝の意を述べた。
続いて、梶原町長は、「さとうきびと甘しょは南種子町の農業の基本であり、今年こそは成果があるように祈るところである。TPPに関して、町は全国の関係団体と協力し、国の礎を担う産業である農業を国としてしっかりと守ってもらうよう陳情をしている。今後とも関係団体と連携を強化して取り組んでいくので、生産者からの支援を賜りたい。」と祝辞と決意を述べた。
日高本部長は、「マルチ被覆の減少によりさとうきびの茎数が減ってきており、生産量の減少の一因と考えている。新光糖業株式会社が平成24年産に実施したマルチの廃棄費用の助成は、今後も継続していきたいと考えているので、マルチ被覆を行い、生産回復に取り組んでもらいたい。生産者と製糖会社は車の両輪の関係であるので、共に生産回復・増産に取り組んでいきたい。」と生産回復に向けた意気込みを語った。
山本総括調整役からは、当機構の業務の紹介と日ごろの円滑な事業実施への協力に感謝の意を表した上で、「皆さんの意気込みを聞いていると必ず生産回復に至ると確信している。関係者一体となり、南西諸島全体の活力が増すことを祈念したい。」と祝辞を述べた。
続いて、さとうきび及び甘しょの生産において成績が優秀であった生産者に対し、新光糖業株式会社などから表彰が行われ、当機構の山本総括調整役からも公益社団法人鹿児島県糖業振興協会が主催する平成24年度さとうきび生産改善共励会において優秀賞(独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞)を受賞した小脇浩一氏へ賞状を授与した。
その後、鹿児島県農業開発総合センター熊毛支場の大内田主任研究員から「さとうきび及びでん粉原料用さつまいもの栽培技術について」と題し、講演があった。
講演では、でん粉原料用さつまいもについて、各品種の特性や病害虫に関する情報や同支場で実施している試験について発表があり、「収量は栽培期間を長くするほど増加する。」という試験の結果に基づき、栽培期間を長くするために、早植えをするよう呼びかけた。そして、植付けを早期に終了させるための方法として、株間を広くして植え付ける「疎植」を紹介し、疎植をしても収量にそれほど差がでないという試験結果を発表した。
また、さとうきびについては、新たに早期高糖性品種として育成されている「KTn03-54」の特性について説明した後、さとうきび栽培に関する注意点として、マルチ被覆の実施による茎数の確保、新植や株出時におけるハカマのすき込みなどの有機物の投入、モザイク病抑制のための種苗の更新、輪作や適期管理などの重要性を訴えた。
大会の最後には、上中地区振興会七村会長が大会スローガンを読み上げ、満場の拍手をもって採択された。
[大会スローガン]
●さとうきび増産プロジェクト目標面積450ヘクタール以上を維持し、甘しょとの輪作体系に努めよう。
●土壌改良並びにバイオ苗の導入による種芋更新をすすめ、甘しょの早期植付を実践し、単収100俵取りを目指そう。
●地区における相互交流の活性化と自主的な組織活動を展開しよう。
当機構としても生産者の皆様が安心してさとうきび・甘しょ作りに取り組んでいただけるよう、その経営の安定に資するため、今後も交付金交付業務の適切な運営に努めてまいりたい。
※ 当機構では、さとうきび生産者向けに、砂糖の価格調整制度の浸透を図るとともに、交付金交付申請手続きの留意事項や生産意欲を高めてもらうためのメッセージなどを掲載した「うちわ」を作製し、同大会にて配布しました。