2.日本の主要輸入先国の動向
最終更新日:2013年11月11日
2.日本の主要輸入先国の動向
2013年11月
トウモロコシ・コ−ンスターチ
米 国
米国農務省(USDA)は9月12日、2013/14穀物年度(2013年9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(9月予測)を公表した。
【需給動向】
トウモロコシ生産量、中西部および南部での単収見込の上方修正を受けて増加
米国の2013/14穀物年度のトウモロコシ総供給量は、前月比1800万ブッシェル増(46万トン)の145億3000万ブッシェル(3億6908万トン)の見通しとなった(表2)。これは、アイオワ州などの一部地域で、春先の乾燥による単収減が見込まれるものの、主要生産州であるネブラスカ州などの単収増の見込みにより、生産量が138億4300万ブッシェル(3億5161万トン)と、前回の見通しから8000万ブッシェル(203万トン)増加されたことが主な要因である。
期末在庫量は、トウモロコシ総消費量が、全ての用途向けで前月の値が据え置かれたことから、前回から1800万ブッシェル(46万トン)引き上げられ、18億5500万ブッシェル(4712万トン)の見通しとなった。これにより、期末在庫率は、前月比0.1ポイント増の14.6パーセント(前年度比149.5%)の見通しとなった。
【価格動向】
生産者平均販売価格は、豊作と高在庫水準の見込みを受けて、1ブッシェル当たり4.40〜5.20米ドルに下落
2013/14年度の生産者平均販売価格は、豊作と在庫水準が高くなるとの見込みから、前回の見通しより上値、下値、共に引き下がり、1ブッシェル当たり4.40〜5.20米ドル(436円〜515円:1米ドル=99円注)と予測している。
【貿易動向:トウモロコシ】
7月のトウモロコシ輸出量、反転するも前年の6割の水準
2013年7月のトウモロコシ輸出量は、高水準で推移する価格を反映し、前年同月比37.2パーセント減の152万800トンとなった(図3)。国別に見ると、日本向け57万400トン(同36.6%減)、メキシコ向け41万5900トン(同20.1%減)、韓国向け1,600トン(同97.4%減)、中国向け860トン(99.8%減)と大幅に減少した。一方、ベネズエラ向けは、同1.8倍の21万3500トンと、メキシコに次ぐ輸出量となり、同国の存在が大きくなっている(シェア14.0%)。
1〜7月の輸出量では、前年同期比54.7パーセント減の1016万4700トンとなった。国別に見ると、日本向け370万9600トン(同45.6%減)、メキシコ向け257万5500トン(同61.2%減)、中国向け114万3200トン(同56.1%減)と総じて減少した。
7月の輸出価格(FOB)は、前月から1.5米ドル高(前月比0.4%高)の1トン当たり308.6米ドル(3万549円)と続騰し、依然高水準が続いている(前年同月比6.7%高)。
注:8月末日TTS相場
【貿易動向:コーンスターチ】
輸出量は弱含み、前年同月比は半減
2013年7月のコーンスターチ輸出量は、前年同月比48.5パーセント減の8,600トンと、前月に続いて1万トン台を割り込んだ(図4)。国別に見ると、カナダ向け3,150トン(同6.3%減)、英国向け920トン(同44.4%減)、メキシコ向け780トン(同86.1%減)とそれぞれ減少し、日本向けも、前月比で3倍弱の210トンとなったものの、前年同月比では58.7パーセント減となった。
1〜7月の輸出量では、前年同期比26.1パーセント減の6万8200トンとなった。国別に見ると、英国向けが1万100トン(同5.5%増)と増加傾向を維持しているものの、カナダ向け2万300トン(同9.1%減)、メキシコ向け9,600トン(同37.8%減)と減少し、日本向けも2,400トン(同72.7%減)と減少した。
7月の輸出価格(FOB)は、前月から0.83米ドル安の1トン当たり623.8米ドル(6万1756円:1米ドル=99円注、前年同月比7.1%高)となった。今年に入り、輸出価格(FOB)は安定的に推移しているが、前年に比べ依然高い状況にあり、輸出量の減少の一因となっているものと考えられる。
注:8月末日TTS相場
タピオカでん粉
タ イ
【生産動向】
2013/14年度、増産の見込み
タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、タピオカ関連団体と関係政府機関は、2013/14でん粉年度(2013年10月〜翌9月)のキャッサバ生産見込みを発表した(表3)。
サトウキビ、メイズ、天然ゴムに転作した農家が多かったことや、東部で工業プロジェクト向けに土地が買い占められたことなどにより、収穫面積の減少が見込まれるものの、2013年5月の植え替え以降、天候に恵まれ成長が促進されていることにより、平均単収および生産高合計は増加としている。
なお、現時点でのコナカイガラムシの発生が限定的であるため、キャッサバ生産には大きな影響はないものと見込まれるものの、農家への聞き取り調査から、農薬に苗を浸していない農家がいることが判明したため、コナカイガラムシの今後の影響が懸念される。
【価格動向】
タピオカでん粉価格、下落基調が続くも、キャッサバ価格は安定
TTTAによると、キャッサバ産地の一部では、多雨による収穫減(収穫作業の低迷)などにより、全国的に市場へのキャッサバ供給量が低迷している。一部のでん粉工場では、原料不足により操業を停止しているところも出始めている状況にある。
キャッサバ価格は、7月後半以降、下落基調が持続していたが、9月下旬は平均でん粉含有率が各地で1ポイント程度上昇したにも関わらず、前月とほぼ同水準となった。主要産地の東北部で、1キログラム当たり2.00〜2.40バーツ(でん粉含有率22〜24%:6.4〜7.7円:1バーツ=3.19円注)および2.50〜3.10バーツ(同30%:8.0〜9.9円)、東西部で同1.90〜2.30バーツ(21〜23%:6.1〜7.3円)および2.30〜2.70バーツ(同30%:7.3〜8.6円)となった。
また、タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、10月15日現在のタピオカでん粉価格は、前月から0.2バーツ安の1キログラム当たり13.5バーツ(43.1円:前年同月比0.8%高)となった(図5)。また、輸出価格(FOB:バンコク)は、前月から5米ドル安の1トン当たり450米ドル(4万4550円(1米ドル=99円注):同1.1%安)となり、国内価格を受けて下落基調となっている。
注:9月末日TTS相場
【貿易動向】
8月の輸出量、中国向けが過半を占める
2013年8月のタピオカでん粉輸出量は、前年同月比2.6パーセント減の20万5000トンとなった。国別に見ると、中国向け9万6700トン(同69.8%増)、マレーシア向け1万8500トン(同28.8%増)と増加したものの、インドネシア向け2万5300トン(同51.6%減)、台湾向け2万400トン(同28.2%減)、日本向け1万4600トン(同34.0%減)と減少した(図6)。
1〜8月の輸出量は、前年同期比1.9パーセント減の142万8400トンとなった。国別に見ると、中国向け58万8200トン(同69.0%増)、台湾向け17万6100トン(同10.3%増)と増加したものの、インドネシア向け19万2000トン(同61.1%減)、マレーシア向け13万3300トン(同10.1%減)、日本向け8万7500トン(同13.7%減)と減少した。TTTAによると、中国では、9月の中秋節や10月の国慶節を控え、発注が増加傾向にあるとしている。タイ産の価格が、ベトナム産よりも廉価であることから、中国からの発注が増加している。
ベトナム
【生産動向】
キャッサバ作付面積、全国的に増加
農業かんがい省によると、2013年9月のキャッサバの作付面積は、主要生産地である北部内陸山岳地域(Northern Midland and Mountainous Region)や南部沿岸地域(South Central Coastal Region)などを中心に、前年同月に比べ増加したことから、全体で8.9パーセント増の49万7600万ヘクタールとなった(9月15日時点:表4)。
資料:在ベトナム調査会社AgroMonitor社レポート
【貿易動向】
タピオカでん粉輸出量、復調するも前年同月比割れ
税関総局によると、2013年8月のタピオカでん粉輸出量は、前月に続き増加し、前月比60.1パーセント増の10万1000トンとなった。しかし、1〜8月の輸出量は、依然、前年同月比で前年割れが続いていることから、前年同期比20.9パーセント減の92万4000トンとなった。
輸出額は、同13.1パーセント減の4億2040万米ドル(416億1960万円:1米ドル=99円注)となった。国別に見ると、シェアの87.0パーセントを占める中国向けが、同7.8パーセント減の3億6580万米ドル(362億1420万円)、と減少したほか、台湾、フィリピンなど総じて減少した(表5)。
輸出価格(FOB:ホーチミン)は、タイ産タピオカでん粉のFOBと歩調を合わせるように、9月に入り安定して推移し、10月第1週の価格は、前月同週と変わらず1トン当たり452.5米ドル(4万4798円注)となった(図7)。
資料:在ベトナム調査会社AgroMonitor社レポート
注:9月末日TTS相場
なお、10月号P27に掲載の表5は、下記の表5−2に修正報告された。
ばれいしょでん粉
E U
【生産動向】
北西ヨーロッパのばれいしょ生産、一部で乾燥少雨による単収減少の恐れ
英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)によると、主要産地の北西ヨーロッパでは、8月初旬は適度な雨量のもと、生育はおおむね順調であったものの、中旬から後半にかけて一部地域で乾燥が進んだことで、減産が懸念されている。
英国では、一部の非かんがい地域で作柄不良となったものの、かんがい地域ではおおむね良好となっている。フランス農業省は、作付面積の増加を理由に、本年のばれいしょ生産見込量を、前年比11パーセント増の500万トンと予測した。一方、ベルギーでは、単収は昨年に比べて若干改善されたものの、過去5年平均で比較すると、1ヘクタール当たり5トン減少した。オランダでは、雨量不足により平均単収が、前年比7トン減の1ヘクタール当たり39トンと、過去5年平均と比較して19パーセントの減少となった。
資料:AHDB “Euro-Potato”
【貿易動向】
7月の日本向け輸出量、半減
2013年7月のばれいしょでん粉輸出量は、前年同月比16.2パーセント減の2万4000トンとなった(図8)。国別に見ると、韓国向け5,000トン(同67.0%増)、ベトナム向け990トン(同902.0%増)と増加したものの、中国向け4,300トン(同31.3%減)、米国向け2,000トン(同22.8%減)、日本向け1,600トン(46.3%減)と減少した。
1〜7月の輸出量は、前年同期比20.1パーセント減の14万500トンとなった。国別に見ると、韓国向けが3万1400トン(同15.6%増)と増加したもの、米国向け1万8800トン(同27.6%減)、中国向け1万400トン(同43.4%減)、ペルー向け7,600トン(同25.1%減)、日本向け6,800トン(同43.1%減)と減少した。
7月の輸出価格(FOB)は、2012年12月以来、初めて1トン当たり600ユーロを割り、前月から18.1ユーロ安(前月比3.0%安)の1トン当たり581.9ユーロ(7万7393円:1ユーロ=133円注)となったものの、前年同月比では5.1パーセント高と依然高水準にある。
注:9月末日TTS相場
化工でん粉
タ イ
【貿易動向】
8月の輸出価格、反転
2013年8月のデキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉など」という。)の輸出量は、前年同月比14.4パーセント増の7万6700トンとなった(図9)。国別に見ると、日本向け2万8000トン(同29.3%増)、インドネシア向け8,900トン(同62.0%増)と増加したものの、中国向けは1万6300トン(同4.6%減)と減少した。
1〜8月の輸出量は、前年同期比10.7パーセント増の60万5400トンとなった。国別に見ると、日本向け21万6200トン(同12.7%増)、中国向け12万7800トン(同4.9%増)、インドネシア向け6万400トン(同20.8%増)と増加した。
8月の輸出価格(FOB)は、前月から反転し、前月から10.5米ドル安(前月比1.4%安)の1トン当たり751.1米ドル(7万4359円:1米ドル=99円注、前年同月比1.2%安)となった。前年は9月以降、下落基調となったことから、今後の動向が注目されている。
注:9月末日TTS相場
米 国
【貿易動向】
7月の輸出価格、反転。1,000米ドル/トン目前に
2013年7月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比9.9パーセント減の3万3300トンとなった(図10)。国別に見ると、日本向けが5,600トン(同28.8%増)と増加したものの、カナダ向け6,600トン(同5.4%減)、ドイツ向け2,800トン(同19.1%減)、メキシコ向け2,800トン(同11.0%減)、中国向け1,900トン(同9.0%減)と減少した。
1〜7月の輸出量は、前年同期比6.0パーセント増の25万7100トンとなった。国別に見ると、カナダ向け4万7100トン(同1.2%増)、メキシコ向け2万5700トン(同3.7%増)、ドイツ向け2万1000トン(同4.4%増)、中国向け1万9300トン(同23.1%増)と増加したものの、日本向けは3万700トン(同2.9%減)と減少した。
7月の輸出価格(FOB)は、前月から反転し、前月から49.4米ドル高(前月比5.2%高)の1トン当たり992.7米ドル(9万8281円:1米ドル=99円注、前年同月比12.5%高)となった。日本向けは815.8米ドルと同4.8パーセント安であったものの、ドイツ向けが1,268.9米ドル(同29.0%高)、メキシコ向けが1,036.6米ドル(同26.1%高)など上昇しており、日本向け価格への影響が懸念される。
注:8月末日TTS相場
中 国
【貿易動向】
9月の輸出価格、反転
2013年9月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比13.8パーセント増の1万トンとなった(図11)。国別に見ると、韓国向けが4,400トン(同210.0%増)と大幅に増加したしたものの、日本向けは2,700トン(同22.3%減)と減少した。
1〜9月の輸出量は、前年同期比14.7パーセント増の8万9700トンとなった。国別に見ると、韓国向けが3万9200トン(同58.3%増)と増加したものの、日本向けは2万4500トン(同4.3%減)と前年と同水準となった。
9月の輸出価格(FOB)は、前月から反転し、69.6米ドル安(前月比7.7%安)の1トン当たり837.3米ドル(8万2896円:1米ドル=99円注、前年同月比13.4%安)となった。日本向けは664.1米ドルと同2.3パーセント安であったのに対し、韓国向けが639.4米ドルと同24.9パーセント安(前月比で17.9%安)と下落し、日本向けとの乖離幅も小さくなった。
注:9月末日TTS相場
E U
【貿易動向】
7月の輸出価格、続落
2013年7月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比21.3パーセント増の4万1300トンとなった(図12)。国別に見ると、トルコ向け8,400トン(同9.1%増)、ロシア向け5,100トン(同4.7%増)、日本向け3,900トン(同19.7%増)と増加するとともに、韓国向けは2,700トン(同414.9%増)と大幅に増加した。一方、中国向けは3,500トン(同19.4%減)と減少した。
1〜7月の輸出量は、前年同期比5.7パーセント増の25万4600トンとなった。国別に見ると、中国向け2万9900トン(同27.0%増)、ロシア向け2万9600トン(同4.5%増)と増加した。一方、トルコ向け5万3400トン(同3.9%減)、日本向け2万トン(同18.8%減)、韓国向け1万2100トン(同19.6%減)と減少した。
7月の輸出価格(FOB)は、前月に続いて続落し、前月比14.9ユーロ安(同1.6%安)の1トン当たり925.3ユーロ(12万3065円:1ユーロ=133円注、前年同月比0.3%高)となった。
注:9月末日TTS相場
豪 州
【貿易動向】
8月の日本向け輸出量、半減
2013年8月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比39.4パーセント減の1,200トンとなった(図13)。国別に見ると、中国向けが140トン(同56.0%増)と増加したものの、日本向け590トン(同50.1%減)、ニュージーランド向け120トン(同24.5%減)と減少し、台湾向けの輸出は行われなかった。
1〜8月の輸出量は、前年同期比21.1パーセント減の1万1600トンとなった。国別に見ると、日本向けが5,300トン(同42.6%減)、ニュージーランド向け1,400トン(同0.5%減)と減少した。一方、台湾向け920トン(同23.2%増)、中国向け840トン(同6.8%増)と増加した。
8月の輸出価格(FOB)は、前月とほぼ変わらず、前月比1.9米ドル安(同0.1%安)の1トン当たり1,632.6米ドル(16万1624円:1米ドル=99円注、前年同月比17.6%高)となった。シェアの45.9パーセントを占める日本向けは1,714.6米ドルと、前月比3.6パーセント高(前年同月比25.9%高)と依然高水準が続いている。
注:9月末日TTS相場
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