地域だより
最終更新日:2013年11月18日
「さつまいもの日(10月13日)」にちなんだ講演会の開催について
2013年11月
鹿児島事務所 丸吉 裕子
平成25年10月26日(土)、鹿児島市内で、さつまいも産業振興協同組合主催による「さつまいもの日(10月13日
注)」にちなんだ講演会が開催され、県民や同組合の組合員・賛助会員をはじめ約70人が参集した。同講演会は、鹿児島で昔から作られているさつまいもの料理やお菓子について紹介するとともに、新しく作られ人気を博している料理やお菓子を広く県民に知ってもらい、さつまいもの消費拡大につなげようと企画されたものである。以下で、講演会の模様について紹介する。
注:さつまいもの日(10月13日)
江戸時代に、1)焼き芋屋がさつまいものことを「栗(9里)より(+4里)うまい13里」と評する看板を立てて人気を博し、2)当時さつまいもの産地として知られていた川越が江戸から13里離れていたため、さつまいもが「13里」と呼ばれたことから、1987年に埼玉県川越市の「川越いも友の会」が、旬に当たる10月13日を「さつまいもの日」と定めた。
開催にあたって、さつまいも産業振興協同組合の本坊松一郎理事長から、「鹿児島県では、お菓子や料理、焼酎などさつまいもが使われた特産品が多数ある。ぜひ本日の講演を聞き、いっそう美味しく味わっていただきたい。」と、あいさつがあった。
まず、鹿児島県農産物加工研究指導センターの下園英俊研究専門員から、「鹿児島のさつまいものお菓子今昔」と題して講演があり、 1)鹿児島県におけるさつまいもの菓子利用の歴史 2)さつまいもの特性(成分)からの美味しさの秘密の分析 3)近年、同センターが技術指導し製造された新しいさつまいも加工品―の紹介があった。
日頃から親しまれているさつまいものお菓子には、1)さつまいもの持つ油 2)乳製品などと相性がとても良いという性質 3)さつまいもに含まれる炭水化物が加熱調理されると麦芽糖が生成され甘みを感じさせるという特徴―が生かされているという分析や、最近のさつまいも加工品の試作例として、ノンオイルでさつまいものみを原材料とし、小麦アレルギーをもつ消費者も安心して食すことができる商品など高付加価値食品の開発が進められている旨、講演された。
次に、鹿児島女子短期大学の福司山エツ子名誉教授から、「鹿児島の料理アラカルト〜さつまいも料理を中心に」と題して、1)さつまいもをはじめとする鹿児島の食文化の紹介 2)県下の地域別のさつまいも消費動向 3)さつまいもの栄養学的な特性 4)さつまいものさまざまな調理方法 5)さつまいものほか、鹿児島県産物を中心とした地域の食がもたらす健康や食育のあり方など―について講演があった。
福司山名誉教授からは、さつまいもを「江戸時代に渡来した救世主」と称し、さつまいもには豊富な食物繊維が含まれており、さつまいもの天ぷら「ガネ」やさつまいもでん粉製のだんごが入った「だご汁」といった郷土料理が鹿児島県民の健康維持に役立ってきたとの説明があった。また、さつまいものほか、鹿児島の土地に適応した作物を食べることで健康に生きられるという「身土不二」の考えを大切に、さつまいもの新しいお菓子やさつまいもの茎葉(すいおう)を使った料理などを通じ、幅広い世代に改めてさつまいもの美味しさと機能性を再認識してもらい、積極的に摂取してほしいとの呼び掛けがあった。
今回の講演会を主催したさつまいも産業振興協同組合は、県下のさつまいも生産の衰退を危惧し、さつまいもの生産・加工の振興と情報発信を行うことを目的に平成5年に組織され、さつまいも加工品を製造販売する業者などが会員となって運営されている。同組合は、組合員(47社)向けの加工技術研修会や今回のような県民参加イベントを企画・実施しているほか、アンテナショップ「さつまいもの館(鹿児島市東千石町ほか)」を展開し県下のさつまいも加工品などの特産品の販売を行っている。
同組合事務局の三宅康郎氏は、「県下ではさまざまな種類のさつまいもが生産されており、見た目も美しく、健康にも良い。組合としては、今後も情報発信に努め、県民の方々には改めてさつまいもの価値を理解してもらい、県下企業にはさらに魅力的な特産品を製造してもらいたい。」と展望している。当機構としても、鹿児島県内のさつまいもやさつまいもでん粉を用いた加工品の全国的な認知がさらに高まり、でん粉原料用さつまいもの生産振興やさつまいもでん粉の需要拡大に資するよう、今後も交付金の交付業務の適切な運営に努めるとともに、県下関係者の取り組みについて引き続き積極的に情報提供してまいりたい。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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