2.日本の主要輸入先国の動向
最終更新日:2014年3月10日
2.日本の主要輸入先国の動向
2014年3月
トウモロコシ・コーンスターチ
米国
米国農務省(USDA)は2月10日、2013/14穀物年度(9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(2月予測)を公表した。
【需給動向】
トウモロコシ生産見通し据え置きと輸出量の増加見込みを受け、期末在庫量は下方修正
2013/14穀物年度のトウモロコシ総供給量は、既に収穫が終了していることから、生産量に変更はなく、輸入量も前月の予測値に据え置かれたことなどを受け、前月予測と同じく147億8100万ブッシェル(3億7545万トン)の見通しとなった(表2)。
総消費量は、前月予測から1億5000万ブッシェル(381万トン)増の133億ブッシェル(3億3783万トン)の見通しとなった。これは、輸出向けが上方修正されたことによるが、その要因として米国産トウモロコシ価格の下落に加えて、輸送面での競争力向上を挙げている。他の主要生産国の動向を見ると、南米では港湾での渋滞などによる輸送遅延やウクライナでの輸出制限などが懸念材料となる中、米国では遅滞のない輸送が可能なことで、他国と比べて輸送面の優位性が高まっているとしている。
期末在庫量は総供給量が据え置かれた一方、総消費量が上方修正されたことを受け、前月予測から 1億5000万ブッシェル(381万トン)引き下げられ、14億8100万ブッシェル(3762万トン)となった。これにより、期末在庫率は前月予測から1.3ポイント減の11.1パーセントと見込まれ、12月予測以降下方修正が続いている。
【価格動向】
堅調な輸出需要を受けて、下値および上値ともに上昇の予測
2013/14年度の生産者平均販売価格は、輸出需要の増加が下支えになると見込まれることから、前月予測から下値および上値が共に引き上げられ、 1ブッシェル当たり4.20〜4.80米ドル(437円〜500円:1米ドル=104円注)と予測している(表2)。
注:1月末日TTS相場
【貿易動向:トウモロコシ】
11月の輸出量は、前月に続き続伸。中国向けの輸出シェア高まる
2013年11月のトウモロコシ輸出量は、2013/14年度の米国産の大豊作が確定的になったことで価格下落が進み、輸出需要が堅調であったことを背景に前月に続いて増加し、前月に比べ8.6パーセント増の353万3100トン(前年同月比131.3%増)となった(図3)。国別に見ると、中国向け159万8800トン(同618.9%増)、メキシコ向け77万1100トン(同62.3%増)、韓国向け9万2900トン(同36.7%増)と大幅に増加したものの、日本向けは40万300トン(同16.3%減)と大幅に減少した。中国向けは前月に比べ59万3000トン増と、同月輸出量の5割弱を占め、米国のトウモロコシ輸出における中国の影響力が拡大した。
1〜11月の輸出量では、前年同期比32.2パーセント減の2042万7800トンとなった。国別に見ると、中国向けが408万2800トン(前年同期比1.1%増)と前年同期を上回る輸出量となったものの、日本向け567万3200トン(同40.3%減)、メキシコ向け557万3400トン(同32.8%減)、韓国向け20万6300トン(同89.7%減)と大幅に減少した。
11月の輸出(FOB)価格は、米国の豊作見込みなどを受けて、前月に比べ2.2米ドル安(前月比1.0%安)の1トン当たり225.1米ドル(2万3410円:1米ドル=104円注)と続落し、前年同月比でも31.6パーセント安となった。
注:1月末日TTS相場
【貿易動向:コーンスターチ】
11月の輸出(FOB)価格、15カ月ぶりに600米ドル割れ
2013年11月のコーンスターチ輸出量は、前月に比べ5.3パーセント増の1万900トンと先月に続き1万トンを回復したものの、前年同月比では12.7パーセント減と依然前年割れが続いている(図4)。国別に見ると、カナダ向けが3,100トン(前年同月比9.4%減)、英国向け1,100トン(同43.1%減)、メキシコ向け1,100トン(同35.4%減)、日本向け250トン(同74.0%減)と大幅に減少した。
1〜11月の輸出量では、前年同期比28.4パーセント減の10万6900トンとなった。国別に見ると、カナダ向け3万2600トン(前年同期比8.8%減)、メキシコ向け1万4700トン(同55.2%減)、英国向け1万3600トン(同11.4%減)、日本向け3,300トン(同74.0%減)と大幅に減少した。
11月の輸出(FOB)価格は前月から反転し、前月に比べ47.4米ドル安(前月比7.3%安)の 1トン当たり597.8米ドル(6万2171円:1米ドル=104円注、前年同月比8.3%安)と15カ月ぶりに600米ドル台を割り込んだ。
注:1月末日TTS相場
タピオカでん粉
タ イ
【価格動向】
海外需要の高まりを受けて、輸出(FOB)価格反転
タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、1月上旬のキャッサバ入荷状況は、先月に引き続き収穫期に入ったことで、市場へのキャッサバ供給が回復傾向にあるとしている。なお、1月下旬には、新年休暇明けによる入荷量の増加が見込まれている。
1月上旬のキャッサバ価格は、主産地の東北部および中央部では、でん粉含有率25〜27パーセントのもので1キログラム当たり2.30〜2.50バーツ(7.36〜8.00円:1バーツ=3.20円注)となった。12月上旬と比較すると、キャッサバの収穫が進んだことを受けて、価格は上値が0.10バーツ安となった。
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2月7日現在のタピオカでん粉価格は、1月第2週に比べ0.8バーツ高の1キログラム当たり13.4バーツ(42.88円:前年同月比1.5%高)となった(図5)。輸出(FOB)価格(バンコク)は、1月第2週に比べ25米ドル高の1トン当たり430米ドル(4万4720円:1米ドル=104円注、同6.5%安)となった。TTTAによると、中国をはじめとした海外からのタピオカでん粉の引き合いが高まっていることから、FOB価格は上昇した。
なお、昨年末以来バンコクで続いている反政府勢力による現政権への抗議行動に伴う政局の不安定化により、昨年11月に公表されたキャッサバ農家に対する支援制度は依然実施されておらず、今後、キャッサバ生産にどのような影響が生じるのかに関心が高まっている。
注:1月末日TTS相場
【貿易動向】
中国向け輸出の増加を受け、2013年の年間輸出量は10.0%増
2013年12月のタピオカでん粉輸出量は、前年同月比82.2パーセント増の25万2100トンとなった。国別に見ると、マレーシア向け1万4200トン(前年同月比43.8%減)、インドネシア向け7,500トン(同47.2%減)と大幅に減少したものの、中国向け14万4700トン(同244.0%増)、台湾向け2万9700トン(同61.9%増)、日本向け8,900トン(同64.9%増)と大幅に増加した。中国向けは前月に比べ6,500トン減となったものの、前年同月比では3.5倍と依然増加基調にあり、同月輸出量の6割弱を占めた。
2013年の年間輸出量は、前年比10.0パーセント増の242万8300トンとなった。国別に見ると、インドネシア向け23万6600トン(前年比64.3%減)、マレーシア向け19万1300トン(同26.3%減)、日本向け12万6200トン(同8.5%減)と減少したものの、中国向けが118万トン(同112.6%増)と倍増した。インドネシア向けの輸出シェアが2012年の30.0パーセントから2013年の9.7パーセントに下落した一方、中国向けの輸出シェアは、2012年の25.1パーセントから48.6パーセントに倍増し、タイのタピオカでん粉輸出における中国の影響力が拡大した。
ベトナム
【生産動向】
南部で作付けが進み、新規作付面積は大幅増
農業農村開発省によると、2014年1月現在のキャッサバの新規作付面積は、前年同月比47.3パーセント増の6万3985ヘクタールとなった(1月15日時点:表3)。1月は北部中央地域や中央高原地域などで天候不順などにより作付けが停滞したものの、南部沿岸地域や南東地域などで前作の収穫を早期に行った農家を中心に作付けが進んだことから、前年を大幅に上回る見込みである。
資料:AgroMonitor “CASSAVA & STARCH MONTHLY REPORT-January 2014”
【貿易動向】
輸出(FOB)価格、据え置かれるも今後反転の見込み
税関総局によると、2013年12月のタピオカでん粉輸出量は前月に続き増加し、前月に比べ7.4パーセント増の20万1400トンとなった。12月は前月に引き続き中国からの引き合いが強かったことから、2013年1月以来、11カ月ぶりに20万トンを超える状況となったものの、前年同月比では前年割れ(前年同月比1.6%減)となった。
2013年の年間輸出量は前年比16.0パーセント減の1559万6000トン、年間輸出額は同8.0パーセント減の7億1522万米ドル(743億8288万円:1米ドル=104円注)となった(表4)。国別の年間輸出額を見ると、主要輸出先国である中国および台湾向けは減少したものの、日本向けは増加傾向にあり、2013年は同59.9パーセント増と400万米ドルを超える状況となった。
輸出(FOB)価格(ホーチミン)は、タイ産の価格下落などを背景に昨年12月以降下落傾向にあったものの、タイ産価格の上昇を受け、1月第2週以降、1トン当たり400〜415米ドル(4万1600〜4万3160円)と落ち着いて推移した(図7)。中国向け輸出の増加を背景に、1月後半以降、タイ産のFOB価格が反転している状況を踏まえ、同国のFOB価格(ホーチミン)もタイ産に追随すると予想されており、2月後半から3月上旬にかけて、1トン当たり425〜430米ドルまで上昇すると見込まれている。
注:1月末日TTS相場
資料:AgroMonitor “CASSAVA & STARCH MONTHLY REPORT-January 2014”
ばれいしょでん粉
E U
【貿易動向】
日本向け輸出量、6カ月連続前年割れ
2013年11月のばれいしょでん粉輸出量は、前年同月比3.1パーセント減の2万8000トンとなった(図8)。国別に見ると、米国向け4,700トン(前年同月比81.6%増)、韓国向け4,600トン(同76.7%増)と大幅に増加したものの、中国向け2,300トン(同46.4%減)、日本向け680トン(同40.8%減)と大幅に減少した。
1〜11月の輸出量は、前年同期比17.6パーセント減の23万7400トンとなった。国別に見ると、韓国向けが4万8000トン(前年同期比6.4%増)と増加したものの、米国向け3万2400トン(同16.6%減)、中国向け2万トン(同30.1%減)、日本向け8,100トン(同46.3%減)と大幅に減少し、日本向け輸出量は、6ヵ月連続で前年割れとなった。
11月の輸出(FOB)価格は前月に続いて上昇し、前月に比べ47.0ユーロ高(前月比8.0%高)の 1トン当たり640.2ユーロ(9万243円:1ユーロ=141円注)となった。9月以降、輸出量の上昇とともにFOB価格も上昇傾向にあるが、この動きが今後も持続していくのかに関心が高まっている。
注:1月末日TTS相場
化工でん粉
タ イ
【貿易動向】
2013年の日本向け輸出量、前年比9.0%増
2013年12月のデキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉など」という)の輸出量は、前年同月比12.0パーセント増の7万300トンとなった(図9)。国別に見ると、日本向け 1万7800トン(前年同月比3.1%減)、インドネシア向けが6,600トン(同0.1%減)と減少したものの、中国向け1万9400トン(同13.1%増)と増加した。
2013年の年間輸出量は、前年比5.4パーセント増の90万6600トンとなった。国別に見ると、中国向け20万1700トン(前年比9.9%減)と減少したものの、日本向け31万3400トン(同9.0%増)、インドネシア向け8万8800トン(同14.0%増)と増加した。
輸出(FOB)価格は、2013年7月をピークに下落基調が続き、12月のFOB価格は前月に比べ8.6米ドル安(前月比1.2%安)の1トン当たり701.6米ドル(7万2971円:1米ドル=104円注、前年同月比4.3%安)となった。
注:1月末日TTS相場
米国
【貿易動向】
11月の中国向け輸出量、前年同月比3割増で日本向けと同水準に
2013年11月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比8.4パーセント減の3万5400トンとなった(図10)。国別に見ると、中国向け4,000トン(前年同月比27.5%増)と大幅に増加したものの、カナダ向け7,100トン(同2.5%減)、日本向け4,100トン(同35.3%減)、ドイツ向け2,600トン(同24.5%減)、メキシコ向け2,200トン(同43.7%減)と大幅に減少した。
1〜11月の輸出量は、前年同期比2.5パーセント増の40万6400トンとなった。国別に見ると、カナダ向け7万4900トン(前年同期比1.1%減)、日本向け4万7900トン(同8.1%減)、メキシコ向け3万7200トン(同4.5%減)、ドイツ向け3万5800トン(同1.8%減)と減少したものの、中国向けは3万2400トン(同29.8%増)と大幅に増加した。
11月の輸出(FOB)価格は前月から反転し、前月に比べ35.3米ドル高(前月比3.9%高)の 1トン当たり936.9米ドル(9万7438円:1米ドル=104円注、前年同月比1.6%安)と、9月の水準まで回復した。
注:1月末日TTS相場
中 国
【貿易動向】
1月の日本向け輸出量、前年割れとなるが韓国向けを超える
2014年1月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比23.1パーセント減の8,800トンとなった(図11)。国別に見ると、日本向け2,800トン(前年同月比32.5%減)、韓国向け2,600トン(同49.2%減)と大幅に減少し、韓国向け輸出量は、15カ月ぶりに日本向け輸出量を下回った。
1月の輸出(FOB)価格は前月から反転し、前月に比べ169.7米ドル高(前月比21.8%高)の1トン当たり947.3米ドル(9万8517円:1米ドル=104円注、前年同月比19.5%高)となった。国別に見ると、日本向けFOB価格は、前月から6.7米ドル安(前月比1.0%安)の同661.9米ドル(前年同月比4.2%高)と下落したものの、韓国向けFOB価格は、前月から160.8米ドル高(前月比26.3%)の773.0米ドル(前年同月比16.1%高)と大幅に上昇しており、日本向け価格への影響が懸念されている。
注:1月末日TTS相場
E U
【貿易動向】
11月の中国向け輸出量、4割減
2013年11月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比0.8パーセント増の3万7100トンとなった(図12)。国別に見ると、中国向け4,600トン(前年同月比41.7%減)と大幅に減少したものの、トルコ向け8,400トン(同14.5%増)、ロシア向け4,400トン(同3.8%増)、日本向け3,000トン(同16.2%増)と増加した。
1〜11月の輸出量は、前年同期比3.4パーセント増の40万6000トンとなった。国別に見ると、トルコ向け8万5400トン(前年同期比0.6%減)、中国向け4万8700トン(同0.5%減)、日本向け3万3900トン(同13.8%減)と減少したものの、ロシア向けは4万7700トン(同5.4%増)と増加した。
11月の輸出(FOB)価格は前月に続いて続落し、前月に比べ3.2ユーロ安(前月比0.3%安)の 1トン当たり926.7ユーロ(13万0668円:1ユーロ=141円注、前年同月比4.9%高)となった。
注:1月末日TTS相場
豪 州
【貿易動向】
2013年の日本向け輸出量、前年比4割減
2013年12月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比30.2パーセント減の1,400トンと大幅に減少した(図13)。国別に見ると、ニュージーランド向け160トン(前年同月比41.0%増)、中国向け140トン(同20.7%増)と増加したものの、日本向けが780トン(同45.3%減)と大幅に減少した。
2013年の年間輸出量は、前年比23.4パーセント減の1万6800トンとなった。国別に見ると、ニュージーランド向け2,100トン(前年比10.2%増)、中国向け1,500トン(同4.2%増)と増加したものの、日本向けが8,200トンと同40.6%の大幅減となったことから、全体で2割の減少となった。
12月の輸出(FOB)価格は前月から反転し、前月に比べ157.1米ドル安(前月比8.9%安)の 1トン当たり1,602.4米ドル(16万6654円:1米ドル=104円注、前年同月比19.8%高)となった。11月は5月以来7カ月ぶりに1,900米ドルを超えた日本向け価格であったが、12月は前月に比べ386.0米ドル安(前月比19.7%安)の1,576.9米ドル(16万3997円、前年同月比28.5%高)と大幅に下落した。
注:1月末日TTS相場
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