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地域だより

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最終更新日:2014年4月8日

小清水町(北海道)で平成25年度第2回地域情報交換会を開催

札幌事務所 坂上 大樹
 

 当事務所は、3月27日(木)小清水町にて「平成25年度第2回地域情報交換会」を開催し、オホーツク管内のJAおよび生産者、行政機関、試験研究機関などから合計46名の参加があった。
 以下、その概要を報告する。 

1 開催の目的

 でん粉原料用ばれいしょが大不作となった平成22年産以降、北海道産ばれいしょでん粉の品薄感が未だ解消されていないことを受け、でん粉原料用ばれいしょの増産への取り組みを後押しするため、 1)生産意欲の向上や需要の喚起につながる「話題」を提供し、 2)新たな「気づき」や「きっかけ」を得るための場とするとともに、 3)関係者との意見交換を通じて情報ニーズを把握し、今後の業務・運営に生かしていくことを目的として本交換会を開催した。

2 地域情報交換会の概要

(1)講演

 本交換会の前半は、王子コンスターチ滑J発研究所長の砂田美和氏と且R口油屋福太郎北海道支店取締役支店長の浦田隆氏を講師として招き、講演会を開催した。

  王子コンスターチ鰍フ砂田氏は、「ばれいしょでん粉の特性とその加工および利用技術について」と題し、講演を行った。
 でん粉(化工でん粉)は、「とろみ」を与えるだけでなく、“ふわふわ”の食感を生み出したり、食材をつなげる結着材の役目を果たしたりするなどの機能性を持った食材であり、ありとあらゆる食品に幅広く利用されていることが紹介された。
 また、工業分野における用途の一例として、紙の強度を上げる素材として利用されていることを紹介し、その中では、ばれいしょでん粉に対するニーズが高いことが示された。
 最後に、砂田氏から、ばれいしょでん粉の需要拡大を図るためには、でん粉の粒子の大きさの違いで選別する「分級」をさらに普及させること、特定保健用食品や機能性食品の分野で注目を集めるばれいしょでん粉由来の食物繊維を多用途に活用することなどが提案された。

 且R口油屋福太郎の浦田氏は、「小清水北陽工場での取り組みと今後の展望について」と題し、司会者とのインタビュー形式で講演を行った。
 同社が小清水町に進出した経緯(注)、北海道産ばれいしょでん粉へのこだわり、「ほがじゃ」の販売戦略などが紹介された。
 また、地域の人々の温かさや優しさに触れた数々のエピソードを紹介し、「地域に恩返しするためにも地元の人々を積極的に雇用していきたい」と語り、地域への貢献に意欲をみせた。
 浦田氏の講演の最中に、「ほがじゃ」と、辛みを抑えたチーズ味の「ほがじゃ」(4月発売予定)の試食会も行われ、参加者からは好評を得ていた。
(注:小清水町に進出した経緯の詳細は、砂糖類・でん粉情報 2014年2月号「 小清水町産のばれいしょでん粉を利用したせんべい製造 」を参照。)
 

(2)意見交換

 本交換会の後半は、「平成26年産のでん粉原料用ばれいしょの作付け見通し」をテーマに、参加者との意見交換会を実施した。3月末の時点では、推測、気づき、可能性といった感覚的な部分によるところが多いものの、平成26年産の作付けの見通しについて参加者から以下のような意見が出された。

(ア)でん粉原料用ばれいしょの生産量が平年を下回っている現状は認識しているものの輪作体系の励行の観点から、生産者に対し作付面積を増やすことをお願いすることは考えていない。あくまで輪作体系における適正な作付面積を堅持したい。(JA)

(イ)でん粉原料用から加工用に作付けを転換する傾向が見られることに加え、離農する農家が急増していることから、畑作物の作付面積そのものが減少している。平成26年産は、でん粉原料用ばれいしょの作付面積云々というより、地域の作付面積の減少に歯止めをかけたい。(JA)

(ウ)現状維持する見込み。しかし、これまでは3年輪作(ばれいしょ、てん菜、麦)が一般的であったが、最近は4年輪作(ばれいしょ、てん菜、麦、豆)に移行しつつある。輪作品目が増えたことにより数十年前に比べると、ばれいしょの作付面積は相対的に減少している。(JA)

(エ)種芋が確保しにくい状況にある。その影響がそのまま作付面積にも影響するので、種芋が確保できるよう最大限の努力をしたい。(JA)

(オ)コントラクターの利用の拡大や抵抗性品種の栽培技術の改良により単収の向上に努めている。作付面積は維持するものの、単収を向上させ全体の生産量を増やしたい。(生産者)

(カ)地域の生産者は、でん粉原料用ばれいしょの生産が落ちていることは認識しており、何とかしたいという気持ちがある。しかし、最近は天候不順で計画通りに生産ができない。生産量を維持できるかどうかは天候次第である。(生産者)

 この他、本交換会について、参加者からは「講演の内容が面白かった、勉強になった」との意見が寄せられた。その一方で、「開催の趣旨に照らし合わせて、より多くの生産者が参加できるよう周知の仕方に工夫が必要」との意見も寄せられた。

 これらの意見に対して、当事務所からは、「でん粉原料用ばれいしょの安定的な生産・供給と農業経営の健全な発展を図るためには、まずは、関係者との間で現状と課題について正確に情報を共有し、今後の方策についてともに考えていく機会を多く持つことが大切である。よって、今後もこのような取り組みを継続して実施していくとともに、関係者のニーズに合わせて内容を改善・充実させていきたい。また、今回の意見交換会で出された意見や要望は今後の業務に生かしていく所存である」とまとめ、本交換会を閉会した。
 

【アンケート結果】

 本交換会の出席者に、でん粉原料用ばれいしょ生産に関するアンケート調査を行った。その結果は以下のとおり。
 

3 工場見学会の様子

 でん粉の加工特性や使用用途についてさらに理解を深めるためには、実際に目で見て、感じることが必要であると考え、地域情報交換会の後、小清水町にある「福太郎鰹ャ清水北陽工場」の見学会を行った。

 参加者は、浦田氏からせんべいの製造工程の様子や衛生管理の取り組みなどについての説明を受けた。また、地元のJAからでん粉が安定的に供給されていること、原料の魚介類は道産品かつ刺身でも食べられるような新鮮なものを使用していること、せんべいを適度な硬さに仕上げるためには化工でん粉が必要であることなどの説明を受けた。参加者は、これらの説明に熱心に耳を傾けていた。

 見学会終了後、参加者からは、「でん粉がどのように使用されているのかを知る良い機会となった」「今後もこのような見学会を実施してほしい」などという意見をいただいた。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713