2.日本の主要輸入先国の動向
最終更新日:2014年5月9日
2.日本の主要輸入先国の動向
2014年5月
トウモロコシ・コーンスターチ
米 国
米国農務省(USDA)は4月9日、2013/14穀物年度(9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(4月予測)を公表した。
【需給動向】
堅調な海外需要を背景に、輸出量は増加の見込み
2013/14穀物年度のトウモロコシ総供給量は、既に収穫が終了していることから国内生産量に変更はなく、輸入量も前月の予測値に据え置かれたことなどを受け、1月予測以降、147億8100万ブッシェル(3億7545万トン)の見通しが続いている(表2)。
一方、総消費量は、前月予測から1億2500万ブッシェル(317万5000トン)増の134億5000万ブッシェル(3億4163万トン)の見通しとなった。これは、堅調な海外需要により輸出量が増加基調となっていることを踏まえて輸出向けが上方修正されたことによるものである。
期末在庫量は、総供給量が据え置かれた一方、総消費量が上方修正されたことを受け、前月予測から1億2500万ブッシェル(317万5000トン)引き下げられ、13億3100万ブッシェル(3381万トン)となった。これにより、期末在庫率は前月予測から1.0ポイント減の9.9パーセントと見込まれ、12月予測以降下方修正が続いている。
【価格動向】
堅調な輸出需要を受けて、下値および上値共にわずかに上昇
2013/14穀物年度の生産者平均販売価格は、今後も堅調な輸出需要が見込まれることから、前月予測から上値および下値が共に引き上げられ、 1ブッシェル当たり4.40〜4.80米ドル(458円〜499円:1米ドル=104円注)と予測している(表2)。
注:3月末日TTS相場
【貿易動向:トウモロコシ】
1月の輸出量は、輸出価格の安定傾向を受けて前年同月比で増加
2014年1月のトウモロコシ輸出量は、前月に続いて輸出価格が下落基調となったことを受けて輸出需要が堅調であったことから、前年同月比121.8パーセント増の301万700トンと依然300万トンを超える高い水準となった(図3)。国別に見ると、中国向け8万5400トン(前年同月比74.8%減)、韓国向け5,200トン(同82.9%減)と大幅に減少したものの、日本向け97万900トン(同139.9%増)、メキシコ向け76万3200トン(同173.8%増)と大幅に増加した。中国は昨年11月以降、未承認の遺伝子組換え物質の混入を理由に米国産トウモロコシの受け入れを拒否しており、米国産の1月の中国向け輸出量は12月の1割程度の水準にまで落ち込んだ。中国では米国産の代替としてウクライナやタイからの調達が増加し、2月のトウモロコシ輸入量は47万9800トン(同21.7%増)と増加したが、その内訳は米国産が20万5800トン(同47.8%減)と減少した一方、ウクライナ産は純増の19万2400トン、タイ産も純増の7万7900トンとなり、米国産とウクライナ産の輸入量が拮抗する状況となった。4月にはブラジル産トウモロコシの輸入解禁が発表されたこともあり、今後、中国ではトウモロコシ調達先の多角化が進むことで、米国への依存割合が減少する可能性がある。
1月の輸出(FOB)価格は、前月に比べ5.2米ドル安(前月比2.3%安)の1トン当たり221.9米ドル(2万3078円:1米ドル=104円注)と下落し、前年同月比でも32.7パーセント安と米国の豊作見込みなどを受けて依然安値傾向が持続している。
注:3月末日TTS相場
【貿易動向:コーンスターチ】
1月の輸入価格は前月に引き続き上昇
2014年1月のコーンスターチ輸出量は、7,200トンと前月に比べ12.4パーセント減少し、前年同月比でも1.2パーセント減となった(図4)。国別に見ると、ドイツ向け700トン(前年同月比210.6%増)、メキシコ向け580トン(同17.6%増)と増加した一方、カナダ向け2,000トン(同37.6%減)、英国向け780トン(同4.4%減)、日本向け130トン(同86.1%減)と減少した。
1月の輸出(FOB)価格は、前月に続いて上昇し、前月に比べ230.2米ドル高(前月比36.4%高)の1トン当たり861.9米ドル(8万9638円: 1米ドル=104円注、前年同月比31.2%高)となった。輸出量の約1割を占めるドイツ向けのFOB価格は同1,000米ドルを超えて、前年同月比で2倍となる上昇となったほか、同じく輸出量の約1割を占めるメキシコ向けも同1,000米ドルを超えるなど、FOB価格は対前年同月比で全体的に上昇した。一方、日本向けは同13.1パーセント安の同541.9米ドル(5万6359円)と比較的安価となった。
注:3月末日TTS相場
タピオカでん粉
タ イ
【価格動向】
市場へのキャッサバ供給量の減少を受けて、原料価格および輸出価格は上昇傾向
タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、3月上旬のキャッサバの市場への入荷量は、収穫期が終盤に入ったことで減少傾向にあるとしている。雨季に入れば、土壌に水分が含まれることで収穫作業が容易になることから、農家では雨季の到来が期待されているが、タイ国内では依然干ばつが続いている。また、現地報道によるとタイ農業普及局は、キャッサバ農家に対しコナカイガラムシのまん延に注意するように警告を発したということである。3月上旬のキャッサバ価格は、市場への原料供給の減少などを受けて、主産地の東北部および中央部では、でん粉含有率26〜28パーセントのもので1キログラム当たり2.60〜2.80バーツ(8.45〜9.10円:1バーツ=3.25円注)と2月上旬に比べ上値下値共に0.1バーツ高となった。
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、4月第2週のタピオカでん粉価格は、3月第2週に比べ1キログラム当たり0.1バーツ高の13.6バーツ(44.20円:前年同月比2.9%安)となった(図5)。輸出(FOB)価格(バンコク)は、3月第2週に比べ1トン当たり5米ドル高の445米ドル(4万6280円:1米ドル=104円注、同11.0%安)となった。TTTAによると、でん粉製造企業は原料価格の上昇などを受けて販売価格の上昇を提示しており、輸出企業などの需要者は製造企業の提示価格を受け入れざるを得ない状況にあるとしている。
注:3月末日TTS相場
【貿易動向】
中国向け輸出の大幅な増加などを受け、 2月の輸出量は前年同月比6割増
2014年2月のタピオカでん粉輸出量は、前年同月比58.8パーセント増の27万5100トンとなった(図6)。国別に見ると、インドネシア向けが7,400トン(前年同月比11.6%減)と減少したものの、中国向け15万7000トン(同86. 2%増)、台湾向け3万300トン(同37.1%増)、マレーシア向け1万7900トン(同50.0%増)、日本向け1万5400トン(同45.9%増)と大幅に増加した。
1〜2月の輸出量は、前年同期比34.9パーセント増の49万8700トンとなった。国別に見ると、中国向け27万3300トン(前年同期比76.6%増)、台湾向け5万4600トン(同39.7%増)、マレーシア向け3万7100トン(同83.8%増)、日本向け2万9400トン(同34.6%増)と増加したものの、インドネシア向けは1月の大幅な減少を受けて1万3800トン(同78.2%減)と大幅に減少した。
ベトナム
【生産動向】
全国的に作付けが進み、作付面積は前年同月比8.7パーセント増
農業農村開発省によると、2014年3月現在のキャッサバの新規作付面積は、前年同月比8.7パーセント増の11万248ヘクタールとなった(3月15日時点:表3)。
3月の作付面積は、2月下旬以降、全国的に良好な天候に恵まれたことや、国内のキャッサバ価格の上昇を受けて農家の作付意欲が高まったことなどを要因に増加したものとみられている。
資料:AgroMonitor “CASSAVA & STARCH MONTHLY REPORT-March 2014”
【貿易動向】
輸出量は減少するものの、輸出価格は安定して推移
税関総局によると、2014年2月のタピオカでん粉輸出量は前月比19.4パーセント減の12万3437トンとなった。1月は旧正月前の取引が落ち着いたことなどから輸出量は前月に比べ減少したが、2月も引き続き減少傾向が続いている。主要輸出先国であるフィリピンやマレーシアなどの輸入量は前月に比べ増加したものの、中国向け輸出量が前月比24.9パーセント減少したことで、全体の輸出量は減少した(表4)。中国向け輸出減少の要因として、中国元が下落基調にあったことや中国側に余剰在庫が滞留したことで輸入企業の手持資金に限りが生じ、中国の輸入企業の購買意欲が弱まったことなどが考えられる。
輸出(FOB)価格(ホーチミン)は、旧正月明けの2月以降、タイ産に歩調を合わせる形でベトナムの輸出企業が取引額を釣り上げたことなどから上昇に転じ、1トン当たり425〜435米ドル(4万4200円〜4万5240円:1米ドル=104円注)で安定的に推移している(図7)。現地貿易企業によると、一部の中国の輸入企業では、同水準以下でタイ産のタピオカでん粉を購入する動きもみられたことから、今後、ベトナム産とタイ産の競合が高まるとの見方も出ている。
注:3月末日TTS相場
ばれいしょでん粉
E U
【貿易動向】
2013年の日本向け輸出量、前年に比べ半減
2013年12月のばれいしょでん粉輸出量は、前年同月比3.8パーセント増の2万2100トンとなった(図8)。国別に見ると、米国向け3,300トン(前年同月比14.7%減)、中国向け1,100トン(同46.1%減)、日本向け400トン(同76.8%減)と大幅に減少したものの、韓国向け4,300トン(同58.0%増)、メキシコ向け1,600トン(同330.0%増)、ベトナム向け1,300トン(同321.3%増)と大幅に増加した。
2013年の年間輸出量は、前年比16.2パーセント減の25万9500トンとなった。国別に見ると、韓国向けが5万2300トン(前年比9.3%増)と増加したものの、米国向け3万5700トン(同16.4%減)、中国向け2万1100トン(同31.2%減)、日本向け8,500トン(同49.4%減)と大幅に減少した。
12月の輸出(FOB)価格は前月に続いて上昇し、前月に比べ25.8ユーロ高(前月比4.0%高)の1トン当たり666.0ユーロ(9万3236円:1ユーロ=140円注)となった。2013年9月以降、輸出量の増加に合わせて上昇を続けたFOB価格であったが、今月は輸出量が前月を下回ったものの、国際需要を背景にFOB価格は上昇傾向を維持し、2012年2月以来約2年ぶりに650ユーロを超えた。
注:3月末日TTS相場
化工でん粉
タ イ
【貿易動向】
2月の輸出量、10カ月ぶりに7万トン割れ
2014年2月のデキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉など」という)の輸出量は、前年同月比6.7パーセント減の6万8100トンと、2013年4月以来10カ月ぶりに7万トンを割り込んだ(図9)。国別に見ると、日本向け1万6900トン(前年同月比22.1%減)、中国向け1万8000トン(同2.3%減)、インドネシア向け5,900トン(同33.2%減)とそれぞれ減少した。
1〜2月の輸出量は、前年同期比3.9パーセント減の14万700トンとなった。国別に見ると、日本向け4万400トン(同11.3%減)、中国向け3万3300トン(同6.7%減)、インドネシア向け1万4400トン(同10.3%減)とそれぞれ減少した。
2月の輸出(FOB)価格は前月に続いて上昇し、前月に比べ19.6米ドル高(前月比2.8%高)の1トン当たり725.8米ドル(7万5485円:1米ドル=104円注、前年同月比0.8%高)となった。
注:3月末日TTS相場
米 国
【貿易動向】
1月の日本向け輸出量、前年同月比2割減
2014年1月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比8.6パーセント減の3万5500トンとなった(図10)。国別に見ると、メキシコ向け3,700トン(前年同月比22.3%増)、中国向け2,700トン(同3.1%増)と増加した一方、カナダ向け7,000トン(同5.1%減)、日本向け4,600トン(同20.4%減)、ドイツ向け2,800トン(同19.5%減)と減少した。
1月の輸出(FOB)価格は前月から反転し、前月に比べ49.4米ドル安(前月比5.1%安)の1トン当たり914.4米ドル(9万5101円:1米ドル=104円注、前年同月比0.2%高)となった。
注:3月末日TTS相場
中 国
【貿易動向】
3月の輸出量、前年同月比大幅増
2014年3月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比65.2パーセント増の1万3200トンとなった(図11)。国別に見ると、韓国向けが5,400トン(前年同月比168.6%増)、日本向けが5,200トン(同179.4%増)とそれぞれ大幅に増加した。
1〜3月の輸出量は、前年同期比4.8パーセント増の2万8700トンとなり、国別に見ると、韓国向け1万500トン(前年同期比0.2%増)、日本向け1万400トン(同28.7%増)となった。
3月の輸出(FOB)価格は、前月に比べ85.8米ドル安(前月比10.3%安)の1トン当たり749.0米ドル(7万7900円:1米ドル=104円注、前年同月比29.8%安)となった。国別に見ると、日本向けFOB価格は、前月に比べ62.7米ドル安の同580.1米ドル(6万300円、同22.4%安)、韓国向けFOB価格は、前月に比べ127.1米ドル安の632.1米ドル(6万5700円、同21.8%安)とそれぞれ下落した。
注:3月末日TTS相場
E U
【貿易動向】
2013年の日本向け輸出量、前年比1割減
2013年12月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比2.9パーセント増の3万2500トンとなった(図12)。国別に見ると、中国向けが2,700トン(前年同月比53.4%減)と大幅に減少したものの、トルコ向け8,400トン(同38.1%増)、ロシア向け3,400トン(同6.9%増)、日本向け2,400トン(同24.2%増)と大幅に増加した。
2013年の年間輸出量は、前年比3.4パーセント増の43万8500トンとなった。国別に見ると、中国向け5万1400トン(前年比6.1%減)、日本向け3万6300トン(同12.0%減)と減少したものの、トルコ向け9万3800トン(同2.0%増)、ロシア向け5万1100トン(同5.5%増)と増加した。
12月の輸出(FOB)価格は前月から反転し、前月に比べ29.7ユーロ高(前月比3.2%高)の1トン当たり956.4ユーロ(13万3899円:1ユーロ=140円注、前年同月比4.1%高)となった。
注:3月末日TTS相場
豪 州
【貿易動向】
2月の輸出量、3年ぶりに1,000トン割れ
2014年2月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比32.6パーセント減の870トンと2011年3月以来およそ3年ぶりに1,000トンを割り込んだ(図13)。国別に見ると、ニュージーランド向けが230トン(前年同月比16.6%増)と増加したものの、日本向け270トン(同53.7%減)、中国向け7トン(同95.1%減)と大幅に減少した。
1〜2月の輸出量は、前年同期比24.8パーセント減の2,100トンとなった。国別に見ると、日本向け1,100トン(前年同期比22.3%減)、ニュージーランド向け440トン(同14.1%減)、中国向け60トン(同65.6%減)と大幅に減少した。
2月の輸出(FOB)価格は前月から続落し、前月に比べ161.9米ドル安(前月比10.5%安)の1トン当たり1,387.2米ドル(14万4270円:1米ドル=104円注、前年同月比18.0%安)と2012年12月以来14カ月ぶりに1,400米ドル台を割り込んだ。
2013年1月以降、豪州の化工でん粉などの輸出量は前年割れが続く中、輸出価格も昨年5月以降、一時的には回復をみせたものの下落基調が続いており、今後の豪州の化工でん粉の輸出動向に関心が高まっている。
注:3月末日TTS相場
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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