でん粉の国内需要

調査情報部

　農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」（昭和40年法律第109号）により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。7月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、以下のとおり詳細は2014年8月号参照）。

【天然でん粉の輸入動向】
6月の天然でん粉の輸入量は、前年同月および前月を下回る
　財務省「貿易統計」によると、2014年6月の天然でん粉の輸入量は、1万3424トン（前年同月比6.7％減、前月比6.6％減）となった（図1）。

　品目別の輸入量は、以下のとおりであった。

タピオカでん粉　1万2066トン　（前年同月比0.5％減、前月比0.1％増）
サゴでん粉　1337トン　（同27.2％増、同19.7％減）
ばれいしょでん粉　2420キログラム　（同99.7％減、同99.5％減）
その他のでん粉　18トン　（同93.4％減、同88.2％減）

　品目別の国別の輸入量は以下のとおりであった。

タピオカでん粉
　タイ　1万1114トン（シェア92％）
　ミャンマー　816トン（同7％）
　ベトナム　136トン（同1％）

サゴでん粉
　マレーシア　1337トン（同100％）

ばれいしょでん粉
　台湾　1920キログラム（同79％）
　オランダ　500キログラム（同21％）

　ばれいしょでん粉の主な輸入先国は、デンマーク（2014年1月〜6月の輸入量は、1940トン）、オランダ（同901トン）、ドイツ（同840トン）であり、台湾からは2013年3月以来15カ月ぶりの輸入となった。

　2014年6月の品目別の1トン当たり輸入価格は、以下のとおりであった（図2）。

タピオカでん粉　4万6327円　（前年同月比3.6％安、前月比0.9％高）
サゴでん粉　6万7682円　（同6.1％高、同3.5％高）

　タピオカでん粉の輸入価格は、1トン当たり4万円台と、依然高い水準で推移しているものの、2014年5月および6月は2カ月連続で前年同月を下回った。サゴでん粉は、2014年4月に13カ月ぶりに前年同月を下回ったものの、5月および6月は前年同月を上回った。

【化工でん粉の輸入動向】
6月のでん粉誘導体の輸入価格は、1トン当たり7万円台に下落
　財務省「貿易統計」によると、2014年6月の化工でん粉の輸入量は、4万6937トン（前年同月比21.2％増、前月比19.1％増）となった（図3）。

　品目別の輸入量は、以下のとおりであった。

でん粉誘導体　4万5640トン　（前年同月比22.2％増、前月比18.8％増）
デキストリン　1297トン　（同5.1％減、同29.3％増）

　でん粉誘導体の最大の輸入先国は、タイである。主要輸入先国からの輸入量は以下のとおりで、上位4カ国で輸入量の9割近くを占めている。

タイ　2万9659トン（シェア65％）
米国　4728トン（同10％）
中国　2651トン（同6％）
ベトナム　2612トン（同6％）

　デキストリンの輸入量は、上位輸入先国の数量および各国のシェアも含め、月ごとの増減が大きい。主要輸入先国からの輸入量は以下のとおりで、上位4カ国で輸入量の8割近くを占めている。

フランス　423トン（シェア33％）
タイ　269トン（同21％）
ベトナム　167トン（同13％）
マレーシア　152トン（同12％）

　6月の1トン当たり輸入価格は、以下のとおりであった（図3）。

でん粉誘導体　7万7599円　（前年同月比6.0％安、前月比8.3％安）
デキストリン　9万7291円　（同4.5％高、同9.8％安）

　でん粉誘導体の輸入価格は、2013年5月以降、月により上昇・下落はあるものの、1トン当たり8万円台と高値で推移していた。2014年4月は12カ月ぶりに同7万円台まで下落し、5月は再び同8万円台となるも、6月は再び同7万円台となった。

【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
輸入価格は、2カ月連続で前月を上回る
　財務省「貿易統計」によると、2014年6月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、27万826トン（前年同月比0.9％減、前月比26.3％減）（図4）となり、輸入先国は4カ月連続で米国のみとなった。

　6月の1トン当たり輸入価格は、2万9618円（前年同月比20.1％安、前月比2.7％高）となった。輸入価格は、2013年4月をピークに下落が続いていたが、8カ月振りに前月を上回った2014年5月に続き、6月も前月を上回った。