2.日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2014年9月10日
2.日本の品目別主要輸入先国の動向
2014年9月
本文中の日本円換算に用いた為替レートは7月末日TTS相場の値であり、1米ドル=103.85円、1タイバーツ3.30円、1ユーロ=139.30円である。
トウモロコシ・コーンスターチ
米国
米国農務省(USDA)が8月12日に公表した「2014/15穀物年度(9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(8月予測)」によるトウモロコシの需給動向などは次のとおり。
【需給動向】
単収は過去最高をさらに上方修正
2014/15穀物年度のトウモロコシの総供給量は、前月予測より1億700万ブッシェル増の152億4300万ブッシェル(3億8717万トン、前年度比3.1%増)の見通しとなった。コーンベルト(米国中西部のトウモロコシ生産地帯)では、受粉期に当たる7月に十分な降雨があるなど、トウモロコシの生育に適した天候が続いていることから、単収については史上最高であったこれまでの予測をさらに上方修正し、1エーカー当たり167.4ブッシェルの見通しとなった。今回発表された8月予測は、実測調査の結果を反映させたものであることから、記録的な大豊作の可能性が高まっている。
一方、消費については、輸出量やエタノール向けおよび飼料向けなどの国内消費量が前月より上方修正されたことから、総消費量は前月予測を100万ブッシェル上回る134億3500万ブッシェル(3億4125万トン、同1.2%減)の見通しとなった。また、期末在庫量は18億800万ブッシェル(4592万トン、同53.1%増)と予測している(表2)。
【価格動向】
前月予測から下値および上値共に下方修正
2014/15穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、豊作により需給が一層緩和するとの見込みから、下値および上値とも10セント引き下げられ、1ブッシェル当たり3.55〜4.25米ドル(369円〜441円)と予測している(表2)。
【貿易動向:トウモロコシ】
5月の輸出価格は、前月をやや上回る
2014年5月のトウモロコシ輸出量は、前年同月に比べ約4倍の530万7994トンと3カ月連続で500万トンを超える高水準となった(図3−1)。これは、前年度に米国のトウモロコシが史上最高の生産量となったことを背景に、南米産などに比べても割安感が出ており、米国産に対する需要が引き続き活発であったためとみられている(図3−2)。
同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおりであった。
日本 125万1906トン (前年同月比103.2%増、前月比17.2%減)
メキシコ 90万1662トン (同110.7%増、同7.7%増)
韓国 65万803トン (同11倍、同18.8%増)
中国 4401トン (同8倍、同93.1%減)
また、同年1〜5月の輸出量は、前年同期比204.5%増の2265万7442トンとなった。
同年1〜5月の輸出先国別の輸出量は、次のとおりであった。
日本 609万417トン(前年同月比129.2%増)
メキシコ 422万2611トン(同128.4%増)
韓国 195万7633トン(同20倍)
中国 15万8778トン(同85.7%減)
昨年11月以来、一部の米国産トウモロコシの輸入を認めていない影響により、中国向けは大幅に減少した。
なお、同年5月の輸出価格(FAS)は、前月に比べ8.0米ドル高(前月比3.5%高)の1トン当たり239.5米ドル(2万4873円、前年同月比20.6%安)と、低水準であるものの上向きで推移している。
【貿易動向:コーンスターチ】
5月の輸出量は前年同月比3割減
2014年5月のコーンスターチ輸出量は、前年同月比25.4%減の9523トンとなった(図4)。
同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおりであった。
カナダ 2741トン (前年同月比17.6%減、前月比4.3%増)
メキシコ 2194トン (同5.8%減、同5倍)
ドイツ 881トン (同173.6%増、同48.3%増)
英国 497トン (同75.7%減、同30.5%減)
日本 75トン (同12.8%減、同13.8%減)
また、同年1〜5月の輸出量では、前年同期比22.1%減の3万8992トンとなった。
同年1〜5月の輸出先国別の輸出量は、次のとおりであった。
カナダ 1万1621トン(前年同期比19.9%減)
メキシコ 4138トン(同46.9%減)
英国 3428トン(同51.9%減)
ドイツ 3389トン(同51.1%増)
日本 909トン(同57.9%減)
なお、同年5月の中西部市場のコーンスターチ価格は、前月に比べ1.39セント高(前月比24.2%高)の1ポンド当たり7.16セント(7.4円、前年同月比79.5%安)となっている。コーンスターチ価格は、原料であるトウモロコシ価格の安値を受けて昨年7月以降大幅に下落したが、トウモロコシ価格が上向きになったことを受けて、上昇傾向で推移している。
タピオカでん粉
タイ
【生産動向】
収穫期終盤となり、キャッサバの入荷量は減少
タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、タイは本格的な雨季に入り、市場へのキャッサバ入荷量が減少し、多くのでん粉製造工場が休業となっている。
【価格動向】
国内価格、輸出価格ともに前年同月を下回って推移
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2014年8月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.0バーツ(42.9円、前年同月比10.3%安)、輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり425米ドル(4万4136円、同15.0%安)とほぼ前月並みで推移しているものの、前年同月を下回る状況が続いている。(図5)。
7月の国際市場におけるトウモロコシ価格の下落により、タピオカでん粉と比較してコーンスターチの競争力が高まっていることが、タイ産タピオカでん粉の輸出価格の安値の一因と推測されている。
【貿易動向】
輸出量は前年同月比、大幅増
2014年6月のタピオカでん粉輸出量は、前年同月比51.2%増の18万8805トンとなった(図6)。
同月の輸出先国別の輸出量は、次のとおりであった。
中国 7万6897トン (前年同月比100.8%増、前月比43.4%増)
インドネシア 3万8480トン (同242.9%増、同46.2%増)
台湾 2万823トン (同11.0%増、同9.8%減)
日本 1万5280トン (同43.2%増、同37.3%増)
マレーシア 1万886トン (同40.3%減、同56.8%減)
また、同年1〜6月の輸出量は、前年同期比25.2%増の131万2632トンとなった。
同年1〜6月の輸出先国別の輸出量は、次のとおりであった。
中国 65万122トン(前年同期比53.6%増)
台湾 15万258トン(同9.8%増)
マレーシア 11万3795トン(同29.5%増)
インドネシア 9万7324トン(同32.0%減)
日本 7万2422トン(同13.9%増)
なお、現地報道によると、2014年のタピオカでん粉輸出量は、特に中国での継続的な需要増により増加するとの見通し。中国は、国内でもキャッサバが生産されているものの、直接消費のほか、織物、製紙原料としての需要が高く、生産が追い付かないため輸入に頼る状況となっている。一方、タイと競合するベトナム、カンボジアのほか、中国の主要キャッサバ生産地である広西チワン族自治区などでキャッサバの生産面積の拡大がすすめられており、今後は供給が増加する見通しからタイ産タピオカでん粉の需要が弱まるのではないかとも予測されている。このため、タイの今後の課題として、中国への依存度を低減するため、取引増の可能性を持つ台湾、マレーシア、日本向けの輸出拡大を挙げている。
ベトナム
【生産動向】
タイニン省のキャッサバ作付面積は前年比3割増
ベトナム農業農村開発省によると、2014年7月現在のキャッサバの作付面積は、前年同月比6.2%増の45万5491ヘクタールとなった(7月15日時点:表3)。前年同月と比べて、北部では0.8%減、南部では9.9%増となっている。
南部では、国内キャッサバ価格の上昇を受けて農家の作付意欲が高まったことなどから、作付面積の拡大傾向がみられている。最もキャッサバの作付面積が大きい省であるザライ省(中央高原地域)では、7月15日現在、作付面積は5万3000ヘクタールと前年に比べ4.4%増となっている。次いで、タイニン省(南東地域)が、前年比33.4%増の4万5625ヘクタールとなっている。タイニン省のキャッサバ農場経営者が、ビントゥアン省(南部沿岸地域)の農地を借り上げてキャッサバを作付けしている例などもみられ、ビントゥアン省での作付面積も増加している。
【貿易動向】
中国向け輸出量は前年同期比8割増
税関総局によると、2014年6月のタピオカでん粉輸出量は前年同月比76.7%増の11万29トンとなった(図7)。中国向けは前年同月に比べ77.3%増の9万1091トンとなった。
また、同年6月の輸出価格(FOB・ホーチミン)は、1トン当たり425〜435米ドル(4万4136円〜4万5175円)で、2月中旬以降安定的に推移している。なお7月下旬から8月上旬、中国では中秋節の贈り物として月餅の製造のためでん粉の需要が活発になるが、タイ産との価格競争により価格は低迷しており、7月に入っても415〜425米ドル(4万3098円〜4万4136円)とさらに低い価格帯で推移している。
2014年6月のキャッサバチップ輸出量は、前年同月比121.5%増の12万1782トンとなり、国別に見ると、中国向け10万1181トン、韓国向け1万2600トンと8割以上が中国向けとなっている。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
輸出量および輸出価格は横ばいで推移
2014年4月のばれいしょでん粉輸出量は、前年同月比2.9%減の2万2079トンとなった(図8)。
同年4月の輸出先国別の輸出量は、次のとおりであった。
米国 3705トン (前年同月比3.5%増、前月比8.6%増)
韓国 3657トン (同35.8%減、同17.7%減)
中国 593トン (同18.6%増、同25.9%減)
日本 431トン (同39.0%減、同28.6%減)
2013年9月以降、輸出需要が高まった影響で輸出価格(FOB)は上昇したが、12月から輸出量が落ち込むも高止まりで推移し、2014年4月の同価格は1トン当たり667ユーロ(9万3259円)とほぼ前月並みに落ち着いている。
なお、ばれいしょの生産にとって今季は恵まれた天候が続いており、生産量は昨年度を上回ると予想されている。
化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510)の、主要輸出国の輸出先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データはGTI社「Global Trade Atlas」の出典であり、表中の2013年および2014年の1月から直近までの輸出価格(FOB・FAS)は、毎月の価格を単純平均した値である。
タイ
【貿易動向】
6月の輸出量は、前月および前年同月を下回る。輸出価格は上向きとなり、700米ドル台に回復
米国
【貿易動向】
5月の輸出量は、ほぼ前月並み。日本向けおよびメキシコ向けは減少傾向で推移する一方、ドイツ向けが増加
中国
【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月比および前月比ともに大幅減。輸出価格は大幅高
EU
【貿易動向】
今年に入り輸出量は増加傾向で推移するも、輸出価格は下落傾向
豪州
【貿易動向】
6月の輸出量は増加するも、上半期の輸出量は大幅減。中国、台湾向けの輸出減が顕著
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