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地域だより

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最終更新日:2014年11月11日

かんしょでん粉に関する出前講座の開催について―川内地区食生活改善推進員協議会―

2014年11月

鹿児島事務所 丸吉 裕子

 機構鹿児島事務所は、平成26年10月21日(火)に、薩摩川内市内の川内保健センターにおいて、「かんしょでん粉に関する出前講座」(以下「出前講座」という)を開催した。今回の出前講座は、地域住民の食生活に関する相談や助言などのボランティア活動を行う川内地区食生活改善推進員(注)の皆さまに、鹿児島県の特産物であるかんしょでん粉を支える価格調整制度やその特性と利用方法について詳しく知って活用してもらおうと、川内地区食生活改善推進員協議会および鹿児島県農業開発総合センター農産物加工研究指導センター(以下「農産物加工研究指導センター」という)の協力を得て、実現した。今回の出前講座の模様について、以下のとおり報告する。

 (注)食生活改善推進員
 食生活改善推進員は、“私達の健康は私達の手で”をスローガンに、地域内で「食」に関するボランティア活動を行うことにより、食生活改善に対する正しい考え方と知識を普及し、県民の健康づくりに役立てている。各市町村が開催する養成講座を受講した食生活改善推進員が市町村の食生活改善推進員協議会を結成している。市町村の食生活改善推進員協議会が集まって支部を構成し、県内では16の支部が県全体の組織である鹿児島県食生活改善推進員連絡協議会(会長は、川内地区食生活改善推進員協議会会長の森永靖子氏)を組織している。全国に46道府県・5市の協議会組織があり、各県・市の会長が全国食生活改善推進協議会の理事を務めている。


  最初に、当事務所の星英幸所長が、「日本のでん粉を支える仕組み」と題する講演を行った。講演では 1)でん粉から作られる製品 2)需給などのかんしょでん粉をめぐる状況 3)でん粉原料用かんしょが南九州(鹿児島県・宮崎県)地域の経済を支える基幹作物であること 4)かんしょでん粉は唯一鹿児島県内で製造されていること 5)輸入でん粉などから徴収した調整金を財源として、国内のでん粉原料用かんしょ生産者やかんしょでん粉製造事業者に対し当機構から交付金を交付している価格調整制度の仕組み−などについて、説明を行った。
 
 次に、農産物加工研究指導センターの時村金愛研究専門員から、「かんしょでん粉の魅力と利用について―かんしょでん粉ってなに?どう使うの?」と題して講演があった。まず、農産物加工研究指導センターの施設紹介があった後、でん粉が原料によって粒子の形状や大きさ、粘度も異なるということについてクイズを交えた説明があった。

 各種でん粉に比べて中間的な特性をもつかんしょでん粉は、その約8割が安価なコーンスターチと代替しやすい糖化製品に利用されている。一方で、4割がでん粉原料用となっている県内のかんしょ生産を支えるためにも、かんしょでん粉ならではの食品用途向けの需要拡大が急務であるとして新品種こなみずきでん粉が開発されたことの紹介があった。こなみずきでん粉は、その分子構造から低温糊化性を有し、耐老化性やゲル成形性に優れるという特徴があり、食品に加工したときに一般のかんしょでん粉と比べて、食感や形状などに違いが現れる。県下で開発・販売されているさまざまな食品利用の例とともに、従来のかんしょでん粉とこなみずきでん粉とで異なる食感の違いや、適した使用割合などについて説明が行われた。

 最後に、「こなみずきでん粉は、長時間保存でき、歯切れのよい食感などを生み出すことができる、鹿児島県ならではの優れた天然食品。調理目的に合わせて、従来のかんしょでん粉とこなみずきでん粉を適宜使い分けて活用してほしい。こなみずきでん粉はだまになりにくく調理時間の短縮もでき、使いやすさも魅力的。ぜひご家庭で積極的に調理していただきたい」と提案があった。
 
 その後、時村研究専門員の指導の下、実際にこなみずきでん粉を使った調理実習が行われた。参加者は、温度管理や水分量などに注意しながら、手際よく調理していた。今回調理したメニューは以下のとおり。
 
 
 
 調理した料理を試食した参加者は、こなみずきでん粉の特徴的な食感を味わい、「口当たりがとてもよい」「だまになりにくいし、短時間で仕上がる」「簡単に調理でき、とても楽しくできた。地域に帰って、皆で実習したい」といった声があった。

 また、当日は、時村研究専門員が一般のかんしょでん粉とこなみずきでん粉をそれぞれ使って作ったういろうを用意し、両方を試食した参加者は、同じ調理法でもでん粉の違いによって全く異なる食感を興味深く味わっていた様子だった。
 
 質疑応答の時間には、参加者からこなみずきでん粉の入手方法について質問があったほか、時村研究専門員が「今回の調理方法はあくまで一例であり、さまざまな調理の場において、皆さまの好みに応じて工夫して、かんしょでん粉の利用を推進していってください」とPRした。

 最後に、川内地区食生活改善推進員協議会の森永靖子会長から、「今回の講座は貴重な機会であった。普段の家庭内や地域内での活動にひとつでもふたつでも役立てていきましょう」と参加者の皆さまに呼び掛けがあった。

 当事務所の星所長からも、「最後まで熱心に受講いただいた皆さまに感謝する。本日の出前講座内容を今後の活動にぜひ生かしていただきたい」とのあいさつがあった。
 
 
 今回は、地域住民の健康づくりのため日々活動されている食生活改善推進員の方々に、鹿児島県ならではの特産品であるかんしょでん粉について詳しく知っていただき実際に調理していただいたことで、地元の食材であるかんしょでん粉のさらなる普及につながると考えられ、大変有意義な開催となった。講座終了後には、さっそく参加者から「中華料理に使えそう」「おやつをいろいろと作ってみたい」といったアイデアが挙がったほか、「かんしょでん粉を広めたい!」「かんしょでん粉がどんどん普及すれば、でん粉原料用かんしょ農家の経営が安定し、日本の農業にも貢献できる」といった声が聞かれ、でん粉原料用かんしょ生産や価格調整制度への理解促進が期待された。

 当機構としては、今後も、生産者の方々が安心してでん粉原料用かんしょを生産し、経営の安定に資することができるよう、交付金交付業務の適切な運営と併せて、このようなかんしょでん粉の生産振興・普及に係る支援について、積極的に実施してまいりたい。

 改めて、川内地区食生活改善推進員協議会の森永会長ほか同協議会会員の皆さま、時村研究専門員をはじめ農産物加工研究指導センターの方々、協力いただいた県下の食品関係事業者の方々に感謝申し上げます。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713