2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2015年5月11日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2015年5月
本文中の日本円換算に用いた為替レートは3月末日TTS相場の値であり、1米ドル=121.17円、1タイバーツ=3.78円、1ユーロ=131.82円である。
トウモロコシ・コーンスターチ
米 国
米国農務省(USDA)が4月9日に公表した「2014/15穀物年度(9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(4月予測)」によるトウモロコシの需給動向などは、次の通り。
【需給動向】
国内消費量は5000万ブッシェルの下方修正
2014/15穀物年度のトウモロコシの国内消費量については、飼料向けが5000万ブッシェル下方修正されたことにより、全体では118億4500万ブッシェル(3億86万トン、前年度比2.7%増)となった。これにより、期末在庫量は18億2700万ブッシェル(4641万トン、同48.3%増)となった(表2)。
【価格動向】
上下幅が圧縮され、3.55〜3.85米ドルの予測
2014/15穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、上下幅が5セントずつ圧縮され、1ブッシェル当たり3.55〜3.85米ドル(430円〜467円)とされている(表2)。
【貿易動向:トウモロコシ】
1月の輸出量は、中国および韓国向けが大幅減
2015年1月のトウモロコシ輸出量は325万3445トン(前年同月比8.1%増、前月比9.3%増)となった。米国産トウモロコシの輸出量は、輸出先国での在庫増などに伴い5月以降、前月を下回る月が続いていたが、割安感から12月に引き続き2カ月連続で前月を上回った(図3)。2015年1月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
日本 122万6324トン (前年同月比26.3%増、前月比86.8%増)
メキシコ 81万1185トン (同 6.3%増、同 5.9%増)
ベネズエラ 10万7992トン (同128.0%増、同176.5%増)
中国 4118トン (同 95.2%減、同 76.7%減)
韓国 1429トン (同 72.3%減、同 67.7%減)
なお、同年1月の輸出価格(FAS)は、前月に比べ3.9米ドル安の1トン当たり199.84米ドル(2万4691円、前年同月比10.0%安、前月比1.9%安)と、引き続き低水準で推移している。
【貿易動向:コーンスターチ】
輸出量は約2年ぶりに前年同月を上回る
2015年1月のコーンスターチ輸出量は、7438トン(前年同月比3.4%増、前月比4.4%減)となった(図4)。トウモロコシ価格の低下により、輸出先国の輸入が製品であるコーンスターチから原料であるトウモロコシに移行し、自国でのコーンスターチ製造が増えていることにより、輸出量は減少傾向で推移してきたが、2年1ヵ月ぶりに前年同月を上回った。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
カナダ 2914トン (前年同月比49.1%増、前月比9.5%増)
ドイツ 722トン (同3.1%増、同18.1%減)
英国 642トン (同17.6%減、同7.0%増)
メキシコ 575トン (同0.5%減、同49.8%減)
日本 18トン (同86.5%減、同88.4%減)
なお、同年1月の中西部市場のコーンスターチ価格は、前月比0.2セント安の1ポンド当たり4.38セント(5.6円、前年同月比13.1%安、前月比4.8%安)となっている。コーンスターチ価格は、原料であるトウモロコシの価格低下を受けて2013年7月以降大幅に下落し、低水準で推移している。
タピオカでん粉
タ イ
【生産動向】
キャッサバの収穫最盛期の終盤となり、でん粉含有量が減少
タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、主産地であるナコンラーチャシーマー県では、3月下旬の工場へのキャッサバ出荷量は、上旬に引き続き1日当たり3万2000トン〜3万3000トンであるが、キャッサバの収穫最盛期も終盤となり、でん粉含有量の低下が見られ始めている。
現地報道によると、タイ政府は、農作物の需給バランスに応じた体制整備改革に関する5カ年計画を発表した。改革の対象となる分野は、稲作、天然ゴム、キャッサバなどで、2015〜2019年に総額350億バーツ(1323億円)の予算を投じ、農家の債務処理のほか、生産、流通などの体制整備が図られることとなった。
【価格動向】
輸出価格は前年をわずかに下回る
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2015年4月第1週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.5バーツ(51.03円、前年同期比0.7%安、前月比2.3%高)、輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり435米ドル(5万2709円、同2.2%安、同2.4%高)と、輸出価格は前年同期を下回って推移している(図5)。
TTTAによると、最近のタピオカ製品の輸出は、バーツ高の影響を大きく受けている。また、中国向けタピオカ製品輸出の最大の競合相手であるベトナムが通貨(ドン)の切り下げをしたため、商品価格が下落し、これにより取引先である中国の貿易会社は、ベトナムの価格を引き合いにして、タイ製品を買いたたいていると言われている。
【貿易動向】
インドネシア向け輸出量が前年同月比大幅増
2015年2月のタピオカでん粉輸出量は、27万6526トン(前年同月比0.5%増、前月比6.6%増)となった(図6)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
中国 11万893トン (前年同月比29.4%減、前月比10.9%増)
インドネシア 8万4941トン (同11倍、同42.7%増)
台湾 2万2589トン (同25.4%減、同16.7%減)
マレーシア 1万2089トン (同32.6%減、同55.2%減)
日本 1万717トン (同30.5%減、同10.2%減)
ベトナム
【生産動向】
作付面積は前年同月比3割増
ベトナム農業農村開発省によると、2015年3月のキャッサバの作付面積は、前年同月比33.7%増の14万7379ヘクタールとなった(表3)。キャッサバの主産地であるタイニン省(南東地域)などでは、近年の天然ゴムの価格低迷により、ゴムの木を切り倒し、経済的に効率の良いキャッサバに植え替えるケースが見られるなど、キャッサバの作付面積が増加している。
【貿易動向】
輸出量は前年同月を上回るも、価格は下落して推移
税関総局によると、2015年2月のタピオカでん粉輸出量は、14万1613トン(前年同月比14.7%増、前月比42.8%減)となった(図7)。このうち、中国向けは11万8426トン(同11.2%増、同45.9%減)と全体の8割以上を占めている。2月中旬から3月上旬にかけて、中国では旧正月の休暇のため、輸出量は前月に比べ大幅減となったが、中国以外への輸出が伸びたことなどにより、前年同月比では増加となっている。
また、同月の輸出価格(FOB・ホーチミン)は、在庫増やタイ製品との競合、ベトナム通貨切り下げなどにより下落し、前月に比べ4ドル安の1トン当たり399米ドル(4万8347円、同6.9%安、同1.0%安)であった。
なお、同月のキャッサバチップ輸出量は、19万2119トン(同30.0%減、同2.2%減)となり、全量が中国向けであった。
ばれいしょでん粉
E U
【貿易動向】
輸出量は前年同月比1割増
2014年12月のばれいしょでん粉輸出量は、2万3862トン(前年同月比8.1%増、前月比0.8%減)となった(図8)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
韓国 5194トン (前年同月比21.4%増、前月比13.2%増)
米国 3490トン (同 5.4%増、同16.6%減)
中国 550トン (同50.8%減、同28.8%減)
日本 35トン (同91.3%減、同39.7%減)
2013年9月以降、輸出価格(FOB)は上昇傾向で推移していたが、2014年12月は前年同月に比べると92ユーロ安の1トン当たり574ユーロ(7万5665円、同13.9%安、同14.3%安)となった。
また、2014年の輸出量(1〜12月)は、25万3892トン(前年比1.9%減)となった(図9)。同年の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
韓国 4万8284トン (前年比 7.6%減)
米国 3万9266トン (同 10.3%増)
中国 1万1578トン (同 44.7%減)
日本 4589トン(同 45.9%減)
〜 中国のばれいしょでん粉の生産と需要 〜
中国は世界最大のばれいしょ(生食用、加工用を含む)生産国であり、世界の作付面積の25%、総生産量の20%を占めている。種芋の品質が良くないため、作付面積に比べ、生産量は低いが、世界の総生産量に占めるその割合は増加傾向で推移している。
中国のばれいしょでん粉の生産能力は100万トン以上と言われているが、実際の生産量は35万〜50万トンで推移している。これは、品質の良いでん粉原料用ばれいしょの供給が限られていることに加え、近代化されていない設備や加工技術などに起因している。なお、中国におけるばれいしょでん粉の生産量は、2014年は前年比20%増の36万トンと見込まれている。
中国のばれいしょでん粉の需要は、年約10%ずつ増加していると言われているが、一方で、食品での需要は減少している。これは、以前は中国のばれいしょでん粉の消費量の過半を占めていた即席麺や肉製品などの食品業界において、価格の安いタピオカでん粉(化工でん粉を含む)への代替が進んだことによる。タピオカでん粉は、価格が安いことに加え、関税が無税であること、大量注文が可能なことなどから、中国のある即席麺メーカーでは、年間2万〜3万トンあったばれいしょでん粉の購入量が5000トンまで減少するなど、これらの業界ではすでにタピオカでん粉の消費がばれいしょでん粉を上回っている。
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化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。
タ イ
【貿易動向】
2月の輸出量は、前年同月並み
2015年2月の化工でん粉の輸出量は、6万8961トン(前年同月比1.2%増、前月比3.2%減)となった(図10)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
日本 1万9691トン (前年同月比16.2%増、前月比2.5%減)
中国 1万4891トン (同17.2%減、同13.0%減)
インドネシア 1万218トン (同74.5%増、同35.2%増)
米 国
【貿易動向】
1月の輸出量は、前年同月比1割減。日本向けが大幅減。
2015年1月の化工でん粉の輸出量は、3万2681トン(前年同月比7.9%減、前月比9.2%減)となった(図11)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
カナダ 7369トン (前年同月比4.9%増、前月比19.0%増)
メキシコ 3494トン (同5.6%減、同25.5%増)
ドイツ 3201トン (同16.1%増、同48.9%増)
中国 3027トン (同11.5%増、同24.8%減)
日本 1363トン (同70.6%減、同74.0%減)
中 国
【貿易動向】
2月の輸出量は、前年同月比3割減
2015年2月の化工でん粉の輸出量は、4756トン(前年同月比29.4%減、前月比36.9%減)となった(図12)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
韓国 1930トン(前年同月比23.1%減、前月比29.2%減)
日本 1061トン(同57.3%減、同49.4%減)
E U
【貿易動向】
12月の輸出量は、前年同月比1割増
2014年12月の化工でん粉の輸出量は、3万6020トン(前年同月比10.9%増、前月比2.1%増)となった(図13)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
トルコ 7755トン(前年同月比8.1%減、前月比4.7%減)
中国 3935トン(同44.0%増、同20.2%増)
ロシア 3298トン(同3.2%減、同30.4%減)
日本 3038トン(同26.7%増、同35.4%増)
また、2014年(1〜12月)の輸出量は、トルコ向けが前年比大幅増となったことなどから、全体で47万1432トン(前年比7.6%増)となった(図14)。同年の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
トルコ 11万457トン (前年比 17.8%増)
中国 5万4769トン (同 6.8%増)
ロシア 4万9903トン (同 2.3%減)
日本 3万5025トン (同 3.5%減)
豪 州
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月比7割増
2015年2月の化工でん粉の輸出量は、1467トン(前年同月比69.6%増、前月比45.5%増)となった(図15)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
日本 815トン (前年同月比204.1%増、前月比39.6%増)
ニュージーランド 265トン (同17.3%増、同409.6%増)
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