ホーム > でん粉 > でん粉の国際需給 > 2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2015年6月10日
〜 EUのでん粉業界の課題(米国との関係) 〜 欧州でん粉協会(Starch Europe)は、EUと米国間の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)(注)に関して、米国とEUのでん粉産業は、その産業構造が異なるため、EUのでん粉業界は米国と対等に競争することは難しいと懸念を示している。 米国のでん粉業界はEUと比較して、少ない人数、少ない工場数で、3倍近いでん粉の生産を行っている。平均的なでん粉工場を比べると、米国はEUの8倍近い規模であり、EUに比べて大幅に安い原料やスケールメリットを享受している。 米国のでん粉は、ほとんどがトウモロコシから製造されているコーンスターチであり、主に、でん粉・化工でん粉、エタノール、そして異性化糖(HFCS:High-fructose corn syrup)の3つの用途向けに出荷されている。 EUのでん粉は、トウモロコシ、小麦、そして、でん粉原料用ばれいしょの異なる3種類の原料から製造されており、主として、でん粉と化工でん粉へ仕向けられている。EUでは異性化糖とエタノール向けの販売先はほとんど存在しないが、これは、EUの砂糖管理体制の下では、イソグルコース(米国でのHFCSの同等品)の生産は割当制度により72万トン(EUの砂糖市場の4%)に制限されていること、また、エタノール生産に関する補助金が米国に比べてはるかに少ないことによる。イソグルコースの割当制度は2017年に廃止予定であるが、EUでん粉業界が投資や開発により生産能力の増強を達成するためには、長い時間が必要と考えられている。 また、米国のばれいしょでん粉は、EUのようにでん粉原料用ばれいしょからの加工ではなく、ばれいしょ全体の加工セクターで副次的に生産されているため、安い生産コストを可能としている。米国のばれいしょでん粉に対する輸入関税がTTIPの締結によって軽減され、EU市場に流入することになれば、EUのばれいしょでん粉、特に非食品分野にとっては、大きな脅威になると見られている。 (注):米国とEUが締結を目指して交渉しているFTA(自由貿易協定)。
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