【貿易動向】
輸出量は前年同月比大幅増
ベトナム税関総局によると、2015年4月のタピオカでん粉輸出量は、18万8119トン(前年同月比88.6%増、前月比31.8%減)と、前年同月に比べ大幅増、前月に比べ大幅減となった(
図7)。同国では通貨の切り下げ
(注1)により輸出価格が下落し競争力が高まったことで輸出量が増加基調にあったが、キャッサバの収穫末期を迎え、供給量が減少したことから輸出量についても前月に比べ大幅減となった。
輸出価格(FOB・ホーチミン)は、通貨切り下げに加え、在庫増やタイ製品との競合などにより、下落傾向で推移していたが、4月は供給減により価格が上昇し、前月に比べ25ドル高の1トン当たり423米ドル(5万2761円、同1.6%安、同6.3%高)となった。
また、同月のキャッサバチップ輸出量は、31万1522トン(同60.9%増、同27.2%減)となり、9割以上が中国向けであった。ベトナムのキャッサバチップについては、6月20日から5%の輸出税
(注2)が課せられることが、5月にベトナム財務省より公布されている。これは、これまで無税だったキャッサバチップに対して輸出税を課すことで、輸出に仕向けられていたキャッサバを国内でのバイオエタノール製造の原料として用い、バイオ燃料
(注3)の消費拡大につなげることを目的としたものであり、同時にエタノールについても3%の輸出税が課せられることとなった。輸出業者からは、すでにキャッサバの買い入れを終え、輸出先との契約も結んでいることから、突然の課税には対応できないとの不満が出ており、この発表以降、6月20日以前に輸出するべく、キャッサバチップの輸出量が急増している。
(注1)ベトナムでは、ベトナム中央銀行が介入して為替レートを管理する制度を採用している(管理フロート制)。直近では2015年1月に、通貨であるドンの対ドル相場の基準レートの切り下げを行っている。
(注2)途上国などで原材料の輸出を抑え、加工産業を育成する目的などで自国の輸出品に対して課される。輸出阻害ともなるため、一部を除いてあまり見られない。
(注3)ベトナムでは、現在エタノールを5%配合したガソリン「E5」が流通している。