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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2015年8月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2015年8月

 本文中の日本円換算に用いた為替レートは6月末日TTS相場の値であり、1米ドル=123.45円、1タイバーツ=3.70円、1ユーロ=138.73円である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米 国

 米国農務省(USDA)が7月10日に公表した「2015/16穀物年度(9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(7月予測)」によるトウモロコシの需給動向などは、次の通り。

【需給動向】
供給量および消費量ともに下方修正

 2015/16穀物年度のトウモロコシの生産量は、6月30日に作付面積が2010年以来の低水準と公表されたことを受け、前月予想より1億ブッシェル減、前年度より6億8600万ブッシェル減の135億3000万ブッシェル(3億4366万トン、前年度比4.8%減)となった。また、前年度の飼料向け消費量などが9700万ブッシェル上方修正されたことから、期首在庫量についても前月予測より下方修正され、17億7900万ブッシェル(4519万トン、同44.4%増)となった。この結果、総供給量は153億3400万ブッシェル(3億8948万トン、同0.9%減)の予測となった。

 一方、消費については、前月予測よりエタノール向けが上方修正されたものの、飼料向けおよび輸出量が下方修正されたことから137億3500万ブッシェル(3億4887万トン、同0.3%増)となり、期末在庫量については、15億9900万ブッシェル(4061万トン、同10.1%減)の予測となった(表2)。

【価格動向】
前月予想を上方修正

 2015/16穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、前月予測より上方修正され、1ブッシェル当たり3.45〜4.05米ドル(426円〜500円)と予測されている(表2)。
 
【貿易動向:トウモロコシ】
4月の輸出量は前年同月比大幅減なるも前月比2割増

 2015年4月のトウモロコシ輸出量は、485万4993トン(前年同月比16.0%減、前月比23.2%増)となった。米国産トウモロコシの輸出量は、在庫増などから減少傾向で推移していたが、割安感から2014年11月を底に増加傾向に転じている(図3)。2015年4月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

日本 129万9282トン (前年同月比17.2%減、前月比39.0%増)
メキシコ 117万2426トン (同30.6%増、同46.8%増)
韓国 76万6221トン (同39.9%増、同3.1%増)
中国 5228トン (同91.8%減、同94.0%減)

 なお、同年4月の輸出価格(FAS)は、前月に比べ1トン当たり6.7米ドル安の187.76米ドル(2万3179円、前年同月比18.8%安、前月比3.4%安)と、引き続き低水準で推移している。
 
【貿易動向:コーンスターチ】
4月の輸出量は前年同月比やや減

 2015年4月のコーンスターチ輸出量は、7290トン(前年同月比5.5%減、前月比4.5%減)となった(図4)。トウモロコシ価格の低下により、輸出先国の輸入が製品であるコーンスターチから原料であるトウモロコシに移行し、自国でのコーンスターチ製造が増えているため、輸出量は減少傾向で推移してきている。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

カナダ 3412トン (前年同月比22.6%増、前月比1.4%減)
ドイツ 714トン (同20.2%増、同42.2%増)
英国 518トン (同27.6%減、同32.5%増)
メキシコ 401トン (同15.4%減、同54.2%増)
日本 10トン (同88.5%減、同96.0%減)

 なお、同年4月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり前月比0.4セント高の5.26セント(6.5円、前年同月比23.5%安、前月比7.7%高)となっている。コーンスターチ価格は、2013年6月に14.39セントとピークを迎えたが、トウモロコシの価格低下を受けてその後は大幅に下落し、低水準で推移している。
 

タピオカでん粉

タ イ

【生産動向】
キャッサバ収穫期末となり、多くの工場が操業停止

 タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、キャッサバは収穫期の終わりを迎え、多くの工場では稼働を止めている。

 現地報道には、TTTA会長の談話として、干ばつと害虫の発生により今季のキャッサバの約20%に被害が及んでいると言われているが、カンチャナブリー県などの西部では十分な雨量があることから、2015/2016年度の生産量が前年度を下回ることはないとの見通しが紹介されている。

【価格動向】
国内価格および輸出価格は前年同期を上回る

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2015年7月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり14.3バーツ(52.91円、前年同期比10.0%高、前月比1.4%高)、輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり445米ドル(5万4935円、同6.0%高、同1.1%安)と、国内価格および輸出価格ともに前年同期を上回って推移している(図5)。
 
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月比大幅増

 2015年5月のタピオカでん粉輸出量は、28万956トン(前年同月比65.0%増、前月比19.7%増)となった(図6)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

中国 11万6255トン (前年同月比116.8%増、前月比2.7%増)
インドネシア 7万8227トン (同197.3%増、同142.1%増)
台湾 2万4508トン (同6.1%増、同0.3%増)
マレーシア 1万6608トン (同34.2%減、同15.6%減)
日本 1万3198トン (同18.6%増、同5.2%増)

 インドネシア向けが急増しており、1月〜5月の累計輸出量は、前年同期比約5倍増、全体におけるシェアは2割強となり、中国に次ぐ輸出先国となっている。
 

ベトナム

【生産動向】
作付面積は前年同月比やや減

 ベトナム農業農村開発省によると、2015年6月のキャッサバの作付面積は、前年同月比4.3%減の35万918ヘクタールとなった(表3)。北部、南部ともに減少しており、特に南部での減少が大きい。

 キャッサバ生産の主要な省ごとの状況を見ると、統計ではタイニン省(南東地域)では1割以上の減少とされているが、キャッサバの取扱業者によると、かなりの面積のサトウキビ畑や天然ゴム農園がキャッサバ畑に変わっていると言われており、実態と統計数値がかい離しているとみられている。現在は、タイニン省の低地においてキャッサバの収穫が始まっており、昨年は低地の半分以上が洪水によって被害を受けたが、今年は天候も良く昨年の同時期のように大きな洪水も起きていないことから、収穫量は昨年をかなり上回り、単収は1ヘクタール当たり38〜40トンと見込まれている。

 また、ソンラ省(北部内陸山岳地域)は、今年は暑さのため2〜3割のキャッサバが枯れるなど大きな被害が出ていることから、単収、収穫量ともに昨年より落ち込むことが予想される。

 他には、イエンバイ省(北部内陸山岳地域)は北部で2番目のキャッサバ産地であるが、収益性の高いシナモンへの転作などにより、昨年に比べ作付面積は約2割減と報告されている。
 
【貿易動向】
輸出量は前年同月比1割増

 ベトナム税関総局によると、2015年5月のタピオカでん粉輸出量は、13万8045トン(前年同月比12.4%増、前月比26.6%減)と、前年同月をかなり上回ったものの前月に比べ大幅減となった(図7)。同国の輸出量は、通貨の切り下げ(注)により輸出価格が下落し競争力が高まったことで増加基調にあったが、キャッサバの収穫末期を迎え供給量が減少したことから、前月に比べ大幅減となった。

 輸出価格(FOB・ホーチミン)は、通貨切り下げに加え、在庫増やタイ製品との競合などにより、下落傾向で推移していたが、5月は供給減により価格が上昇し、前月に比べ12ドル高の1トン当たり435米ドル(5万3701円、前年同月比1.2%高、前月比2.8%高)となった。

 また、同月のキャッサバチップ輸出量は、26万4078トン(前年同月比228.8%増、前月比15.2%減)となり、9割以上が中国向けであった。

(注)ベトナムでは、ベトナム中央銀行が介入して為替レートを管理する制度を採用している(管理フロート制)。直近では2015年1月に、通貨であるドンの対ドル相場の基準レートの切り下げを行っている。
 

ばれいしょでん粉

E U

【貿易動向】
輸出量は前年同月比5割増

 2015年3月のばれいしょでん粉輸出量は、3万1708トン(前年同月比55.4%増、前月比12.0%増)となった(図8)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

韓国 6787トン (前年同月比53.6%増、前月比17.7%増)
米国 4964トン (同45.4%増、同8.8%増)
中国 1140トン (同42.5%増、同10.8%減)
日本 582トン (同3.0%減、同30.7%減)

 2013年9月以降、輸出価格(FOB)は高水準で推移していたが、3月は1トン当たり586ユーロ(8万1296円、前年同月比12.9%安、前月比1.5%安)と2014年12月以降4カ月連続して前年同月を下回った。
 

〜 EUのでん粉の輸入関税 〜
 

 EUは、ばれいしょでん粉の世界最大の輸出国として、世界各地へ輸出を行っているが、一方で、EU域内へは他国から安価なでん粉製品が輸入されており、域内産は激しい競合にさらされている。そのため、EUへのでん粉製品の輸入に際しては、それぞれの品目の事情に応じた関税が設定されている。

 国際的に価格競争力のあるタピオカでん粉の輸入に関しては、関税割当制度により、タイに年間1万トン、その他の国に年間1万500トンの輸入割当が設定されており、割当内であれば、関税は1トン当たり66ユーロ(9156円)となるが、割当以外では同166ユーロ(2万3029円)が適用される。

 また、デキストリンやでん粉誘導体などの化工でん粉に関しては、韓国、EEA(欧州経済領域;European Economic Area)(注1)諸国などとの間で、例外税率が適用されており、EUと韓国については、2011年7月にFTAが発効され、6年間で段階的に関税を引き下げ、最終的に撤廃すると規定されている。2015年7月現在で5年目となったことから、この規定に従えば、2016年7月に化工でん粉に関しては韓国からの輸入は無税となる予定である。

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。

タ イ

【貿易動向】
日本向けは前年同月比および前月比ともに増加

 2015年5月の化工でん粉の輸出量は、8万2830トン(前年同月比3.5%増、前月比12.0%増)となった(図9)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

日本 3万3652トン (前年同月比6.7%増、前月比31.0%増)
中国 1万2330トン (同2.1%減、同20.7%減)
インドネシア 9287トン (同13.8%増、同49.9%増)
 

米 国

【貿易動向】
日本向けは前年同月比6割減

 2015年4月の化工でん粉の輸出量は、3万4837トン(前年同月比9.2%減、前月比12.6%減)となった(図10)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

カナダ 7193トン (前年同月比1.7%減、前月比10.1%減)
中国 3468トン (同22.8%増、同7.4%減)
メキシコ 3184トン (同4.1%増、同4.3%減)
ドイツ 2527トン (同20.0%減、同16.2%減)
日本 1570トン (同63.6%減、同4.2%減)
 

中 国

【貿易動向】
5月の輸出量は、前年同月比5割減

 2015年5月の化工でん粉の輸出量は、5088トン(前年同月比47.6%減、前月比9.7%減)となった(図11)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

日本 2130トン (前年同月比43.9%減、前月比98.0%増)
韓国 406トン (同89.5%減、同83.3%減)
 

E U

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月比1割増

 2015年3月の化工でん粉の輸出量は、4万3401トン(前年同月比10.7%増、前月比0.0%減)となった(図12)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

トルコ 9503トン (前年同月比9.4%増、前月比14.9%減)
中国 5773トン (同47.1%増、同11.9%減)
ロシア 3919トン (同3.3%減、同3.0%減)
日本 3504トン (同 0.5%増、同3.1%増)
 

豪 州

【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月比および前月比ともに大幅増

 2015年5月の化工でん粉の輸出量は、1587トン(前年同月比89.4%増、前月比17.7%増)となった(図13)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

日本 927トン (前年同月比157.5%増、前月比0.8%増)
ニュージーランド 248トン (同59.0%増、同58.0%増)
 
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