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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2015年10月9日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2015年10月

 本文中の日本円換算に用いた為替レートは8月末日TTS相場の値であり、1米ドル=122.18円、1タイバーツ=3.46円、1ユーロ=137.56円である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米 国

 米国農務省(USDA)が9月11日に公表した「2015/16穀物年度(9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(9月予測)」によるトウモロコシの需給動向などは、次の通り。

【需給動向】
生産量および総消費量ともに下方修正

 2015/16穀物年度のトウモロコシ生産量は、単収が前月予測より下方修正され1エーカー当たり167.5ブッシェルとなったことから、前年度より6億3100万ブッシェル減の135億8500万ブッシェル(3億4506万トン、前年度比4.4%減)の予測となった。また、2014/15年度の食品・種子・その他工業向けの消費量および輸出量が上方修正されたことにより、期首在庫量も下方修正されたことから、総供給量は153億4700万ブッシェル(3億8981万トン、同0.8%減)の予測となった。

 消費については、飼料など向けが下方修正されたことにより、前月予測より2000万ブッシェル減の137億5500万ブッシェル(3億4938万トン、同0.1%増)と、前月予想から下方修正されたものの、異性化糖原料としての需要の伸びなどから、前年度をわずかに上回る高い水準になると予想されている。これらにより、期末在庫量については前月予測より1億2100万ブッシェル下方修正され、15億9200万ブッシェル(4044万トン、同8.1%減)となった(表2)。

【価格動向】
前月予想を上方修正

 2015/16穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、前月予測より上値および下値ともにそれぞれ10セントずつ上方修正され、1ブッシェル当たり3.45〜4.05米ドル(422円〜495円)と予測されている(表2)。
 
【貿易動向:トウモロコシ】
7月の輸出量は前年同月比1割増

 2015年7月のトウモロコシ輸出量は、509万8489トン(前年同月比10.5%増、前月比20.6%増)となった。輸出量は、輸出先国の在庫増などから減少傾向で推移していたが、割安感から2014年11月を底に増加傾向に転じている(図3)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

日本 130万5799トン (前年同月比0.0%減、前月比9.1%増)
メキシコ 120万7937トン (同45.2%増、同35.3%増)
韓国 52万5688トン (同35.8%減、同47.4%増)
中国 12万8302トン (同11倍、同35.5%減)

 なお、同月の輸出価格(FAS)は、引き続き低水準で推移しているが、前月に比べ1トン当たり2.9米ドル高の182.93米ドル(2万2350円、前年同月比16.0%安、前月比1.6%高)となった。
 
【貿易動向:コーンスターチ】
7月の輸出量は前年同月比わずかに減

 2015年7月のコーンスターチ輸出量は、7128トン(前年同月比2.8%減、前月比13.8%増)となった(図4)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

カナダ 3018トン (前年同月比6.9%増、前月比21.5%増)
ドイツ 888トン (同996.3%増、同22.0%増)
英国 600トン (同365.1%増、同1.2%増)
メキシコ 478トン (同31.7%減、同133.2%増)
日本 75トン (同650.0%増、同19.0%増)

 なお、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり前月比0.58セント高の5.87セント(7.2円、前年同月比15.0%高、前月比10.9%高)となっている。コーンスターチ価格は、2013年7月以降、トウモロコシの価格低下を受けて大幅に下落したが、2014年9月に3.71セントと底値を打った後、反転し、緩やかな上昇傾向で推移している。
 

タピオカでん粉

タ イ

【生産動向】
キャッサバ出荷量は不十分

 タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、8月下旬、キャッサバの出荷量は増えつつあるが、十分な量ではないため、引き続き稼働を止めている工場も見られている。

 現地報道によると、東北部では日照りの影響で稲作に被害が出ている一方、乾燥に強いキャッサバは昨年より収穫増となることが予想されている。このため、キャッサバ価格の下落が懸念されている。

【価格動向】
国内価格は前年同期を上回る

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2015年9月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり14.3バーツ(49.48円、前年同期比6.7%高、前月比2.1%安)、輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり435米ドル(5万3148円、同1.1%安、同4.4%安)であった。原料であるキャッサバの生産量が例年より少なく価格が上昇しているため、国内価格は前年同期を上回って推移しているが、輸出価格は為替の影響から前年並みとなっている(図5)。
 
【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月比大幅減

 2015年7月のタピオカでん粉輸出量は、16万476トン(前年同月比35.2%減、前月比29.3%減)と大幅な減少となった(図6)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

中国 6万3236トン (前年同月比56.5%減、前月比45.1%減)
インドネシア 2万5841トン (同1.0%減、同20.3%減)
台湾 1万9638トン (同17.5%減、同5.6%増)
マレーシア 1万3716トン (同20.9%増、同43.1%減)
日本 1万1652トン (同14.7%減、同21.6%増)
 

ベトナム

【生産動向】
作付面積はほぼ前年並み

 ベトナム農業農村開発省によると、2015年7月のキャッサバの作付面積は、前年同月比1.0%減の45万900ヘクタールとなった(表3)。

 北部で著しい変化が見られ、北部内陸山岳地域では前年同月比15.1%増、紅河デルタ地域では同40.9%減、北部中央地域では同17.5%減と大幅な変動があった。

 しかし、AgroMonitor社(ベトナムの調査会社)によれば、タインホア省(北部中央地域)では、キャッサバ畑の一部が木材チップ用のアカシア林に変わった例もあるが、以前にサトウキビ畑だった多くの土地が砂糖価格の低迷などからキャッサバ畑に変わっており、2015年の作付面積は昨年の同時期と同じかやや増えているとの情報もあるため、統計数値と実態にかい離がある可能性が考えられている。
 
【貿易動向】
輸出量は前年同月比1割増

 ベトナム税関総局によると、2015年7月のタピオカでん粉輸出量は、13万6786トン(前年同月比7.3%増、前月比11.0%増)となった(図7)。輸出量は、通貨の切り下げ(注)により輸出価格が下落し競争力が高まったことで増加基調にあったが、キャッサバの収穫期末を迎え供給量が減少したことから、4月以降は低水準で推移している。

 輸出価格(FOB・ホーチミン)は、前月より15ドル安の1トン当たり420米ドル(5万1316円、前年同月比2.3%安)となった。

 また、同月のキャッサバチップ輸出量は、1万5695トン(前年同月比86.3%減、前月比94.5%減)となり、6月20日以降課せられた輸出税の影響により大幅に減少した。なお、全量が中国向けであった。

(注)ベトナムでは、ベトナム中央銀行が介入して為替レートを管理する制度を採用している(管理フロート制)。直近では2015年1月に、通貨であるドンの対ドル相場の基準レートの切り下げを行っている。
 

ばれいしょでん粉

E U

【貿易動向】
輸出量は前年同月比7割増

 2015年7月のばれいしょでん粉輸出量は、3万2604トン(前年同月比69.9%増、前月比14.1%増)となった(図8)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

韓国 5111トン (前年同月比20.5%増、前月比1.1%減)
米国 4415トン (同136.7%増、同39.5%増)
中国 3760トン (同317.8%増、同27.3%増)
日本 2152トン (同93.0%増、同45.1%増)

 高水準で推移していた輸出価格(FOB)は、2014年12月以降連続して前年同月を下回っており、2015年7月は1トン当たり545ユーロ(7万4970円、前年同月比19.7%安、前月比2.9%安)となった。
 
コラム 2014年の生産概況 その2(ドイツとフランス) 
 2014年は、EUのばれいしょ生産にとって天候に恵まれた1年であり、生食用、加工用などばれいしょ全般の単収が向上した。EUのでん粉原料用ばれいしょ生産第1位であるドイツおよび第3位のフランスの生産状況を見ると、ドイツでは1ヘクタール当たり47.9トン(前年比51.2%増)、フランスでは同56.5トン(同6.9%増)と記録的な単収となった。このため、両国とも収穫面積は1割程度減少したものの、生産量については、ドイツは前年比4割増の豊作となり、フランスは約3%程度の減少にとどまった。

 2015年のでん粉原料用ばれいしょ生産は、ドイツでは収穫面積の減少傾向が止まらず、さらなる減少が予測されている一方、フランスは、収穫面積は7%ほど増加するものの、単収が記録的な高水準であった2014年に対して、平年並みと見込まれるため、ほぼ前年並みと予測されている。
 
(注)共通農業政策(CAP)の改革により、2012年に生産割当制度が廃止され単一直接支払制度に統合されたことで、でん粉原料用ばれいしょの作付面積を正確に記録する必要性が失われてしまったため、CAP改革以前に公表されていたような作付面積に関するEU全体の公的な統計データは、現在では存在しないが、主要生産国では引き続き、収穫面積、生産量などの統計データが公表されている。
  なお、EUのでん粉原料用ばれいしょ生産第2位のオランダおよび第4位のデンマークについては、本誌9月号を参照のこと。





 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。

タ イ

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月をやや下回る

 2015年7月の化工でん粉の輸出量は、7万8234トン(前年同月比5.1%減、前月比1.9%増)となった(図9)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

日本 2万7898トン (前年同月比6.2%減、前月比10.2%減)
中国 1万7395トン (同22.2%減、同17.3%増)
韓国 6648トン (同43.3%増、同31.2%増)
インドネシア 6183トン (同200.1%増、同114.4%増)
 

米 国

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月比3割減

 2015年7月の化工でん粉の輸出量は、2万5905トン(前年同月比27.7%減、前月比14.3%減)となった(図10)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

カナダ 6357トン (前年同月比2.9%減、前月比9.6%減)
中国 4172トン (同70.9%増、同57.9%増)
メキシコ 2848トン (同40.3%減、同13.4%減)
日本 1600トン (同18.2%減、同23.6%減)
ドイツ 1021トン (同67.5%減、同54.9%減)
 

中 国

【貿易動向】
7月の輸出量は、前年同月比やや増加

 2015年7月の化工でん粉の輸出量は、5136トン(前年同月比5.2%増、前月比41.3%増)となった(図11)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

韓国 2702トン (前年同月比56.4%増、前月比184.4%増)
日本 572トン (同1.5%減、同30.9%増)
 

E U

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月比3割増

 2015年7月の化工でん粉の輸出量は、4万9901トン(前年同月比29.8%増、前月比14.3%増)となった(図12)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

トルコ 1万506トン (前年同月比12.7%増、前月比19.4%増)
中国 9509トン (同124.6%増、同40.0%増)
ロシア 5043トン (同12.8%増、同5.4%増)
日本 3520トン (同 58.2%増、同16.3%増)
 

豪 州

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月比2割減

 2015年7月の化工でん粉の輸出量は、1259トン(前年同月比19.6%減、前月比2.5%減)となった(図13)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

日本 581トン (前年同月比37.9%減、前月比30.4%減)
ニュージーランド 226トン (同63.8%増、同60.3%増)
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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