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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2015年12月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2015年12月

 本文中の日本円換算に用いた為替レートは10月末日TTS相場の値であり、1米ドル=121.90円、1タイバーツ=3.48円、1ユーロ=134.34円である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米 国

 米国農務省(USDA)が11月10日に公表した「2015/16穀物年度(9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(10月予測)」によるトウモロコシの需給動向などは、次の通り。

【需給動向】
単収増により生産量は上方修正

 2015/16穀物年度のトウモロコシ生産量は、前月予測に比べ、単収が1.3ブッシェル上方修正され1エーカー当たり169.3ブッシェルとされたことから、前年度より5億6200万ブッシェル減の136億5400万ブッシェル(3億4681万トン、前年度比4.0%減)の予測となり、前月から9900万ブッシェル上方修正された。これに期首在庫と輸入量を合わせた総供給量は154億1500万ブッシェル(3億9200万トン、同0.4%減)の予測となった。

 消費については、前月から飼料など向けが2500万ブッシェル上方修正されたものの、エタノール向けが7500万ブッシェルの下方修正、輸出量が5000万ブッシェルの下方修正となったことから、合計で1億ブッシェル下方修正され136億5500万ブッシェル(3億4684万トン、同0.7%減)となった。これらにより、期末在庫量については前月予測より1億9900万ブッシェル上方修正され、17億6000万ブッシェル(4470万トン、同1.7%増)となった(表2)。

【価格動向】
前月予想を下方修正

 2015/16穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、前月予測より上値および下値ともにそれぞれ15セントずつ下方修正され、1ブッシェル当たり3.35〜3.95米ドル(408円〜482円)の予測となった(表2)。
 
【貿易動向:トウモロコシ】
9月の輸出量は前年同月比かなり減少

 2015年9月のトウモロコシ輸出量は、337万9703トン(前年同月比14.7%減、前月比15.2%減)となった。輸出先国の在庫増などから減少傾向で推移していた輸出量は、割安感から2014年11月を底にいったんは増加傾向に転じたものの、豊作やレアル安などによるブラジル産の輸出量急増に押される形で、8月から再び減少傾向で推移している(図3)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

メキシコ 95万9373トン (前年同月比11.2%増、前月比11.8%減)
日本 80万9459トン (同17.4%減、同20.5%減)
韓国 6万4905トン (同81.6%減、同81.4%減)
中国 3694トン (同62.0%減、同10.9%減)

 なお、同月の輸出価格(FAS)は、引き続き低水準で推移しており、前月に比べ1トン当たり0.7米ドル安の183.65米ドル(2万2387円、前年同月比5.7%安、前月比0.4%安)となった。
 
【貿易動向:コーンスターチ】
9月の輸出量は前年同月比2割減

 2015年9月のコーンスターチ輸出量は、5739トン(前年同月比19.0%減、前月比22.3%減)となった(図4)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

カナダ 2636トン (前年同月比3.8%減、前月比12.8%減)
メキシコ 778トン (同132.9%増、同31.0%減)
英国 495トン (同147.5%増、同92.6%増)
ドイツ 115トン (同78.5%減、同61.1%減)
日本 18トン (同 90.9%減、同 全増)

 なお、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり前月比0.2セント高の5.17セント(6.3円、前年同月比39.1%高、前月比4.5%高)となっている。コーンスターチ価格は、2013年7月以降、トウモロコシの価格低下を受けて大幅に下落したが、2014年9月に同3.71セントと底値を打った後、反転し、緩やかな上昇傾向で推移している。
 

タピオカでん粉

タ イ

【生産動向】
キャッサバの供給量は不十分

 タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、2015年11月上旬、キャッサバ収穫の最盛期を迎えているものの、この時期は米の収穫時期と重なっていることから、キャッサバの収穫作業に必要な労働力を確保できず、需要を満たすのに十分な供給量が確保できていない状況となっている。

【価格動向】
輸出価格はバーツ安の影響から前年同期を下回る

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2015年11月第3週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.5バーツ(46.98円、前年同期同、前月比4.3%安)、輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり400米ドル(4万8760円、同10.1%安、同4.8%安)であった。輸出価格は為替相場の影響から前年を下回って推移している(図5)。

 現地報道によると、商務省はタイを経て第三国に輸出する目的としたキャッサバ、タピオカでん粉などの輸入を禁止すると発表した。これは、輸出目的の輸入キャッサバの増加による国内産価格の下落防止を目的としている。また、同時に商務省は、キャッサバの密輸、近隣国からの輸入製品の混入、低品質のタピオカ製品の輸出などによりタイのタピオカ製品の輸出に影響が及ぶことを防ぐため、輸出および輸入タピオカ製品の品質検査を厳格化するとしている。
 
【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月比大幅減

 2015年9月のタピオカでん粉輸出量は、輸出先国での在庫量の増加や中国の景気減速などの影響から18万8725トン(前年同月比40.9%減、前月比1.5%増)と前年同月に比べ大幅な減少となった(図6)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

中国 8万7042トン (前年同月比53.2%減、前月比8.9%減)
インドネシア 3万3087トン (同85.3%減、同57.7%減)
台湾 2万1227トン (同18.4%減、同7.0%減)
マレーシア 1万4591トン (同44.5%減、同24.9%増)
日本 5576トン (同13.1%減、同56.1%減)
 

ベトナム

【生産動向】
作付面積は前年同月をやや下回る

 ベトナム農業農村開発省によると、2015年9月の調査では、キャッサバの作付面積は前年同月比3.3%減の48万434ヘクタールと、前年をやや下回った(表3)。地域別に見ると、南部ではやや増加したものの、北部ではかなりの減少が見られ、紅河デルタ地域では前年同月比37.0%減、北部内陸山岳地域では同10.8%減、北部中央地域では同19.3%減となった。

 しかし、AgroMonitor社(ベトナムの調査会社)によれば、北部内陸山岳地域の主産地であるソンラ省では、キャッサバ畑の一部はコーヒー農園に変わったものの、全体としては作付面積は昨年よりわずかに増えているとの報告があるなど、ベトナム農業農村開発省から発表された統計値は実態と一部乖離があるとしている。

 また、中央高原地域では、国内のトウモロコシや天然ゴムの価格が下落していることから、比較的価格の良いキャッサバへの転作が見られ、キャッサバの作付面積は少なくとも2〜3割増加しているとの情報がある。
 
【貿易動向】
輸出量は前年同月比1割増

 ベトナム税関総局によると、9月のタピオカでん粉輸出量は16万3478トン(前年同月比12.6%増、前月比5.6%減)となった(図7)。

 輸出価格(FOB・ホーチミン)は、前月より20ドル安の1トン当たり413米ドル(5万345円、前年同月比4.0%安)となった。

 また、同月のキャッサバチップ輸出量は、2万4896トン(前年同月比63.5%減、前月比92.7%増)となり、2015年6月20日以降課せられた輸出税の影響により大幅に減少した。なお、輸出量の8割以上が中国向けであった。
 

ばれいしょでん粉

E U

【貿易動向】
輸出量は前年同月比4割増

 2015年9月のばれいしょでん粉輸出量は、2万9180トン(前年同月比42.6%増、前月比10.7%増)となった(図8)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

韓国 4353トン (前年同月比16.2%増、前月比3.8%減)
米国 3861トン (同11.3%増、同3.3%減)
中国 3159トン (同173.5%増、同18.2%減)
日本 41トン (同24.1減、同22.6%減)

 高水準で推移していた輸出価格(FOB)は、2014年12月以降連続して前年同月を下回っており、2015年9月は1トン当たり569ユーロ(7万6439円、前年同月比18.3%安、前月比0.4%高)となった。
 

コラム オーストリアにおけるばれいしょでん粉の需給動向
 

 
 EUにおけるばれいしょでん粉の生産は、主要生産4カ国(ドイツ、オランダ、デンマーク、フランス)が8割近くを、残り2割を6カ国(ポーランド、フィンランド、オーストリア、スウェーデン、チェコ共和国、ラトビア共和国)が占めている。今回は、そのうちのオーストリアを取り上げる。

 2015年のオーストリアのでん粉原料用ばれいしょの栽培面積は4766ヘクタールであり、そのうちの93%はニーダーエスターライヒ州、残り7%がオーバーエスターライヒ州で栽培されている。2012年のCAP改革を境に栽培面積は約2割減少しているが、単収の向上により2014年の生産量は前年比50.1%増の24万トンを記録している(コラム−図1)。

 オーストリアでばれいしょでん粉を製造している企業はAGRANA Stärke社(注1)の1社のみであり、ニーダーエスターライヒ州のチェコ共和国との国境沿いのグミュント郡にある1工場において製造している。2014/15年度は約4万8000トンのばれいしょでん粉を製造しており、うち3%は有機ばれいしょでん粉が占めるなど有機先進国(注2)としての特徴が見られている。

 でん粉原料用ばれいしょの用途別仕向け量を見ると、食品分野向けは毎年7万トン前後で安定して推移している一方、工業分野向けは年による変動が見られ、景気や価格などによる影響が大きいと推察される(コラム−図2)。
 
(注1)ばれいしょでん粉の他、コーンスターチやバイオエタノールを製造。
(注2)オーストリアは農地面積のうち有機農業用面積が約20%を占め、EU加盟国の中でトップに位置する。

 
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。

タ イ

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月比1割減

 2015年9月の化工でん粉の輸出量は、7万7806トン(前年同月比11.3%減、前月比18.4%増)となった(図9)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

日本 2万8968トン (前年同月比5.3%減、前月比60.2%増)
中国 1万8139トン (同10.5%減、同3.1%減)
インドネシア 5821トン (同24.8%減、同53.5%増)
韓国 5047トン (同5.6%増、同24.9%増)
 

米 国

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月比4割減

 2015年9月の化工でん粉の輸出量は、2万3177トン(前年同月比39.0%減、前月比7.0%減)となった(図10)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

カナダ 6739トン (前年同月比4.8%減、前月比1.2%減)
メキシコ 3316トン (同4.8%減、同11.3%増)
中国 997トン (同72.8%減、同54.0%減)
ドイツ 927トン (同74.6%減、同21.1%減)
日本 508トン (同90.4%減、同36.9%減)

中 国

【貿易動向】
9月の輸出量は、前年同月比4割減

 2015年9月の化工でん粉の輸出量は、3631トン(前年同月比38.6%減、前月比12.4%増)となった(図11)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

韓国 1004トン (前年同月比51.4%減、前月比19.2%減)
日本 649トン  (同71.0%減、同111.4%増)
 

E U

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月比やや増

 2015年9月の化工でん粉の輸出量は、4万7944トン(前年同月比3.3%増、前月比7.3%増)となった(図12)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

トルコ 8659トン (前年同月比21.6%減、前月比7.3%減)
中国 6193トン (同67.0%増、同9.4%増)
ロシア 4342トン (同14.5%減、同1.2%減)
日本 3493トン (同 0.6%減、同5.8%減)
 

豪 州

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月比1割増

 2015年9月の化工でん粉の輸出量は、1854トン(前年同月比14.4%増、前月比9.0%増)となった(図13)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。

日本 1144トン (前年同月比24.5%増、前月比8.3%減)
ニュージーランド 156トン (同27.1%減、同7.6%増)
 
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