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地域だより

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最終更新日:2016年3月15日

平成27年度第2回地域情報交換会を開催(札幌事務所)

2016年3月

札幌事務所  坂上 大樹

 当事務所は、機構が実施する情報収集提供業務について北海道の関係者から意見や情報ニーズを把握し、より一層の情報精度の向上に努めることを目的として、地域情報交換会を実施している。
 今年度2回目となる地域情報交換会は、その目的に加え、生産者などに対し、ばれいしょでん粉に対する実需者の客観的な評価を得る機会や見識を深める場を提供するため、2月19日(金)に札幌市の北海道自治労会館において、ばれいしょやばれいしょでん粉の生産、販売、実需の関係者や消費者団体など約60名を招集し、開催した。
 以下、その概要を報告する。

1.基調講演

 でん粉の用途、ばれいしょやばれいしょでん粉をめぐる現状および課題の共通認識の醸成を図るため、国内産いもでん粉の全国的な販売網を有する全国農業協同組合連合会麦類農産部でん粉・食品原料課調査役の濱本義隆氏と札幌市でタマゴボーロを製造する池田食品株式会社代表取締役の池田光司氏の2名を講師として招き、基調講演を行った。  

 濱本氏は、「国産でん粉の生産・販売について」と題し講演を行った。でん粉の用途は、食品用途のほか、工業用途や医薬品などさまざまな分野で幅広く利用されており、その中でばれいしょでん粉は、片栗粉、菓子類、麺類、水産練製品、オブラートや薬の錠剤などの用途で強い需要があることを紹介した。しかし、ばれいしょでん粉は、平成22年産および23年産のでん粉原料用ばれいしょが天候不順などの影響により不作になったことで大幅な減産となり、麺類や水産練製品などを中心に他のでん粉への代替が進み、多くの需要を失ったという。
 このような現状、反省を踏まえ、北海道においてばれいしょでん粉の安定供給に向けた取り組みが進められてきたおかげで、現在の需要量は、ほぼ生産量と均衡する水準まで回復しているという。
 ばれいしょでん粉をめぐる今後の課題としては、品質や規格は農産物検査法により担保されているものの、近年、ユーザーからは食品衛生法やISO規格に準じた食品安全・品質保証を強く求める傾向があり、これに向けての対応が急がれることなどを挙げた。
 
 池田氏は、「でん粉の魅力〜お菓子づくりの現場から見えること、感じること」と題し講演を行った。池田食品株式会社は、バターピーナッツの製造販売を手掛ける菓子メーカーとして創業したというが、北海道の市場に安価な輸入品が流入し、大手菓子メーカーが参入したことで価格競争にさらされ苦境に立たされたという。こうした苦い経験を踏まえ、他社と差別化を図り、また安心、安全を第一に考え、地産地消を進める観点から北海道の原料にこだわった菓子づくりへと転換していくこととなった。現在、北海道唯一のタマゴボーロメーカーとして、道内産のばれいしょでん粉と生乳を使ったタマゴボーロを製造している。
 近年は、台湾や中国など海外からの受注量も多く、売れ行きは好調だという。その背景には、商品そのものの美味しさだけでなく、北海道で活躍する生産者を含めた作り手の誠実な取り組みがさまざまなメディアを通じて海外の人々に伝わっているのだと分析する。そうした面から見て、ばれいしょでん粉の付加価値を高めるためには、北海道内で加工して付加価値をつけて輸出することが極めて重要であると提言した。
 

2.パネルディスカッション

 地域情報交換会の第2部では、当事務所の石井所長をコーディネーターに、池田光司氏、遠藤充氏(斜里町農業協同組合営農振興課長)、田宮誠司氏(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構上席研究員)、濱本義隆氏、森澤美佳氏(北海道農政部生産振興局農産振興課主査)の5名をパネラーとして招き、「ばれいしょでん粉の安定供給に向けて〜それぞれの立場から求めるもの」をテーマにパネルディスカッションを行った。
  なお、この内容については、『砂糖類・でん粉情報』にて詳細を掲載する予定である。
 
 最後に、コーディネーターを務めた当事務所の石井所長から、今回のパネルディスカッションのまとめとして、ばれいしょでん粉は、北海道の農業、食品産業、経済や雇用を支える重要な産品であると同時に、食生活を豊かなものにするために欠かせない原料となっていることを鑑みると、安定供給は必要不可欠であり、その構築、実現に向けた取り組みを関係者一丸となって進めていくことが重要であると結論付けた。
 

3.アンケート結果

 参加者に対してアンケート調査を実施し、37名から回答を得た。その集計結果は以下の通り。  

 地域情報交換会の内容について尋ねたところ、「充実していた」が89%、「どちらでもない」が6%、「少々不満」が5%で、「かなり不満」と回答する者はいなかった。

 今後、「砂糖類・でん粉情報」で取り上げてほしいテーマを尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのは「国内の消費動向に関すること」(回答数:18)と「農業政策に関すること」(同)、次いで「海外の生産技術に関すること」(同:15)、「国内の生産技術に関すること」(同:14)であった。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713