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「平成27年度かんしょでん粉製造事業者と実需者との交流会」の開催について

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最終更新日:2016年4月11日

「平成27年度かんしょでん粉製造事業者と実需者との交流会」の開催について

2016年4月

特産業務部

はじめに

 当機構は、平成28年2月16日(火)、福岡市内の福岡国際会議場において「平成27年度かんしょでん粉製造事業者と実需者との交流会」を開催したので、その概要を紹介する。

 交流会は、かんしょでん粉について、製造事業者の技術の向上や設備の改善、でん粉原料用かんしょの新品種開発などにより、これまで以上に安心・安全・高品質の製品が製造されてきている中で、その用途を糖化用から加工食品用に拡大することを目的としている。農林水産省と鹿児島県の後援の下、平成23年度から毎年度開催しており、今回が5回目で、109名の方に参加いただいた。
 交流会は、第1部の講演会、第2部の意見・情報交換会の2部構成で開催した。
 

1.講演会

 講演会では、かんしょでん粉の特性や品質向上、かんしょでん粉を利用した食品の特徴や可能性などについて、研究機関、でん粉製造事業者、実需者5名の講師の方にそれぞれのお立場からご講演をいただいた。演題と主な内容は以下の通り。

(1)かんしょでん粉の特性と食品への利用について
 鹿児島県大隅加工技術研究センター参事付の時村金愛氏から、次の通り発表があった。
 
 かんしょでん粉は、他のでん粉と比較すると粒子の形状・大きさ、糊化特性(熱を加えたときの粘度性)、老化特性(硬くなりやすさ)などが中間的な特性を有しており、その利用用途の75%が糖化用であり、これまでは、食品用途は一部に限られていた。このような背景の下、関係者は一体となって、より付加価値の高い食品への利用拡大のための取り組みを行ってきた。

 近年育成された新品種「こなみずき」のでん粉は、従来のでん粉よりも約20度低温で糊状になり,ゲル性食品(わらびもちなど)の耐老化性(冷蔵時の硬化抑制)に優れる。さらに、「こなみずき」でん粉は優れた冷凍耐性や弾力性、歯切れの良さなどの特徴があり、加工食品の食感改良効果に優れることからくずもち、わらびもち、ういろうなどのゲル性菓子、麺類、水産練り製品、ベーカリー製品、蒸し菓子、餅加工品などの食品加工分野での幅広い利用が可能となっている。

 また、従来品種のかんしょでん粉については、でん粉工場の技術改善などにより品質が向上されており、かんしょでん粉の特徴であるソフトな弾力感や口溶けの良さを生かして、春雨、冷麺、水産練り製品、焼成菓子(スナック菓子、せんべい、おかき)などに安定的に使用できる。

 かんしょでん粉は高品質な国産でん粉であり,従来かんしょでん粉と「こなみずき」でん粉の組み合わせや使い分けによっても多様な食品への利用拡大が期待できる。

(2)ISO22000における株式会社廣八堂の品質向上の取り組み
 株式会社廣八堂本社工場顧問の木村剛氏から、次の通り発表があった。
 
 株式会社廣八堂は、創業が明治8年で、本年で140年になる。主に、本葛・わらび・かんしょでん粉の製造・加工・販売および冷凍食品の製造販売を行っている。福岡本社・工場の他、鹿児島に工場、大阪、東京に営業所を置いている。平成12年2月に鹿児島工場、19年3月に本社冷凍工場を新設、20年8月に本社冷凍工場、21年8月に鹿児島工場で ISO22000を取得している。

 当社では、従業員の力量向上が品質向上につながると考えているため、ISO22000に基づいた従業員の業務作業に係る力量評価などに関する内部監査に重点を置いている。

 力量評価のメリットとしては、現場の最前線で働く従業員一人一人について、 1)具体的に作業ができる、できないを把握することができる、 2)訓練計画と期間を決めて教育することができる、 3)作業手順を基にした訓練により作業の必要性を理解させることができる、 4)重要管理点とモニタリングの必要性、ISO22000の専門用語を理解させることができる、 5)新入社員についても力量を把握し、訓練と評価を行うことで現場の戦力として活躍させることができる。

 本社工場および鹿児島工場で、食品安全マニュアルの要求事項に適合しているかの監査を実施することにより、従業員の力量を向上させるとともに、指摘を受けた場合は、是正措置を行い、PDCAサイクルを継続する。

 人材育成は、品質の向上に欠かせない重要課題であるため、今後もISO22000の食品安全マネジメントシステムを中心に、さらなる品質向上を目指す。

(3)『さつまいもでん粉』の食品用途拡大の取り組みについて
 鹿児島県さつまいもでん粉食品用途拡大推進協議会の池之上翔太氏から、次の通り発表があった。
 鹿児島県産のさつまいもでん粉は、糖化用が主な販売先であるため、食品利用、消費拡大などを目的として、生産者団体、消費者、管理栄養士、食品産業事業者、鹿児島県、鹿児島県経済農業協同組合連合会により構成される鹿児島県さつまいもでん粉食品用途拡大推進協議会が設立され、 1)全国農業協同組合連合会と連携した全国販売推進、 2)地元メーカーに地産地消を目的とした商品開発を依頼、 3)既存、または新規の販売先への利用推進、に取り組んでいる。

 当協議会で開発した商品は、 1)麺類商品では、うどん、そば、焼そば、冷やし中華、生麺、乾麺があり、コシがありつるつるとした食感がある、 2)水産練り商品では、さつま揚げ、焼ちくわ、かまぼこがあり、程よい弾力感がある。こなみずきでん粉を使用するとかまぼこにぷりぷり感が出る、 3)こなみずきでん粉を使用したパン・菓子関係商品では、水まんじゅう、ふくれ菓子、食パン、ロールケーキ、カステラがあり、もちもち感があり、成形性が向上する。

 当協議会の今後の展開については、糖化用からの移行を目指し、自ら食品向けの需要を確保することで、かんしょでん粉全体の底上げを図っていく。

(4)甘藷澱粉を活用した食品利用の取り組みについて
 鹿児島協同食品株式会社製造部惣菜製造課長の池田智勇氏から、次の通り発表があった。
 
 鹿児島協同食品株式会社は、昨年設立31年目を迎えたJA鹿児島経済連のグループ会社であり、主にハム、惣菜、豆腐、麺類などの製造販売を行っている。

 商品カテゴリごとにISO22000、ISO9001、HACCPを取得し、品質管理を徹底し、「安心」「安全」を第一に素材の良さを生かした商品を届けることを使命としている。

 かんしょでん粉の活用に至った経緯は、チルド麺の低迷、冷凍麺の拡大、価格競争の激化、当社の事業環境の中で、麺部門の取扱高減少、原材料費高騰、かんしょでん粉の大規模高度化工場の建設といったJAグループの動きがあり、食品用かんしょでん粉の品質が向上したことを受けて、かんしょでん粉を活用した冷凍麺事業を始めたもの。

 かんしょでん粉を活用することで「地産池消」「鹿児島らしさ」のPRや、「もちもちした食感・なめらかさなど」の特性など商品の特徴を打ち出した販売が可能となった。かんしょでん粉入り麺は、平成23年度から26アイテムが商品化され、現在では使用量が約3倍に拡大した。

 今後は、麺類以外の商品開発、「こなみずき」でん粉を活用したワンランクアップを目指した商品開発、鹿児島フェア・海外輸出の取り組みを強化していく予定である。

(5)甘藷澱粉の新たな使用方法
 東海澱粉株式会社営業一部澱粉グループの片岡彰徳氏から、次の通り発表があった。
 
 東海澱粉株式会社は、昭和22年に設立し、総合食材卸売業としてでん粉類をはじめ砂糖、油脂など多岐にわたる商品を取り扱っている。また、国内に58営業所を配置し、中間流通業者として顧客の要望に的確に応えるとともに、海外にも営業拠点を展開しており、農産物の加工製造にも携わっている。

 当社はでん粉関係では、本社澱粉グループと全国の営業所で顧客からさまざまなでん粉を利用した食品への用途などのニーズを抽出し、でん粉の分析や開発を行い、ニーズに直結した提案をしている。

 ここでは、かんしょでん粉を利用した商品について、当社の試作分析結果を一部紹介する。

 から揚げのまぶし粉用途と練り込み用途で試作し、ばれいしょでん粉と比較したところ、まぶし粉用途で、 1)衣感が際立つ、 2)歩留まりが向上、 3)ザクっとしたハード食感、という結果を得ることができた。まぶし粉用途では、かんしょでん粉の効果が際立ったため、商品のコンセプトによってはかんしょでん粉の使用が有効である。

 ケーシングかまぼこの配合材料として試作し、ばれいしょでん粉および小麦でん粉とで食感を比較したところ、弾力があるばれいしょでん粉と歯切れが良い小麦でん粉のどちらの特性もあるという結果を得ることができた。小麦でん粉の特性を有しながら適度な弾力が発現するでん粉としてかんしょでん粉は有効である。

 パンケーキ用途として薄力粉にかんしょでん粉を35%配合し、オールインミックス製法で試作したところ、 1)しっとりした生地、 2)軽い食感、という結果を得ることができた。食感改良材料としてかんしょでん粉の使用は有効である。

 今後も顧客と相談しながらさまざまなアイディアを模索し、ニーズに対応した研究を進めていきたい。

2.意見・情報交換会

 講演会に続く第2部の意見・情報交換会では、鹿児島県大隅加工技術研究センター、鹿児島県さつまいもでん粉食品用途拡大推進協議会、鹿児島協同食品株式会社、全国澱粉協同組合連合会(株式会社廣八堂、日本澱粉工業株式会社、上原産業有限会社)、三河屋製菓株式会社および当機構の6者がブースを出展した。
 
 各ブースでは、かんしょでん粉やかんしょでん粉を使用したうどん、ちゃんぽん、そば、ラーメン、かまぼこ、お菓子、食パンなどが展示され、かんしょでん粉を使用したちゃんぽん、焼成菓子、スポンジケーキ、食パンなどの試食も行われた。
 
 各ブースの周りでは、かんしょでん粉を使用した食品の風味や食感を確認しつつ、活発な意見情報交換が行われた。

おわりに

 交流会に参加した方にアンケート調査への協力をお願いしたところ、回答率は56%で、その結果は、次の通りであった。

1)講演会については、「参考になった」73%、「大いに参考になった」25%
2)意見・情報交換会については、「役に立った」72%、「大いに役に立った」24%
3)今後の開催については、「参加したい」86%、「どちらとも言えない」14%

 また、「かんしょでん粉の特性と他のでん粉との比較が参考になった」「でん粉製造事業者として品質向上と維持の取り組みの重要性を再認識した」「新商品の提案に活用ができそう」「かんしょでん粉のセールスポイントや実際の食感などが分かった」などのコメントがあった。

 この交流会は、かんしょでん粉製造事業者と実需者との交流を図り、多くの関係者にかんしょでん粉について、特性などの理解を深めていただくことで、その利用拡大につなげていくことを目的として開催しているものである。南九州地域の重要作物でもあるかんしょの生産者の収益性の向上やこれを原料とするかんしょでん粉製造事業者の経営基盤の強化を図るため、より付加価値の高い加工食品向けの利用拡大への取り組みが進められていることは、今回の講演などでも紹介があった通りである。実際の利用も広がりつつあるが、今後さらに利用拡大を図っていくためには、実需者のニーズに応え、製品に適応した品質・特性を有するでん粉を安定的に供給できる体制を確立してくことなど、解決していくべき課題もあるものと思われる。

 こうした取り組みを支援していくため、交流会にも、参集を呼び掛ける対象者、開催地、他との連携、マッチング機能の強化など、開催内容について見直しが必要なところがあるものと認識している。関係者の皆さまにとってより高い効果が得られる交流会となるよう当機構としても検討を進めていきたいと考えているので、ご意見・ご要望などを当機構特産業務部あてお寄せいただければ幸いである。

 今回、ご講演やブース出展をしていただいた方をはじめ関係の皆さま方に深く感謝申し上げます。
(特産業務部でん粉原料課 Tel:03(3583)9461)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713