2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2016年4月11日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2016年4月
本文中の日本円換算に用いた為替レートは2月末日TTS相場の値であり、1米ドル=114.62円、1タイバーツ=3.26円、1ユーロ=125.61円である。
トウモロコシ・コーンスターチ
米 国
【需給動向】
需給予測は前月と変更なし
2015/16穀物 年度のトウモロコシ需給予測は、前月予測と変わらず、生産量は史上3番目の豊作となる136億100万ブッシェル(3億4547万トン、前年度比4.3% 減)、総供給量は153億8200万ブッシェル(3億9070万トン、同0.6%減)、総消費量は135億4500万ブッシェル(3億4404万トン、同 1.5%減)となった(
表2)。
【価格動向】
上下幅が5セントずつ縮小
2015/16穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、上下幅が前月予測より5セントずつ縮小され、1ブッシェル当たり3.40〜3.80米ドル(390円〜436円)の予測となった(
表2)。
【貿易動向:トウモロコシ】
1月の輸出量は前年同月比2割減
2016 年1月のトウモロコシ輸出量は、270万5012トン(前年同月比16.9%減、前月比2.8%増)となった。レアル安などによるブラジルからの輸出量の 急増に押される形で8月以降は減少傾向で推移していたが、5カ月ぶりにわずかながら前月を上回った(
図3)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
メキシコ 89万3818トン (前年同月比10.2%増、前月比13.4%減)
日本 56万1230トン (同54.2%減、同63.4%増)
韓国 13万4993トン (同93倍、同41倍)
中国 104トン (同97.5%減、同91.7%減)
なお、同月の輸出価格(FAS
(注))は、引き続き低水準で推移しており、1トン当たり前月比6.9米ドル安の179.95米ドル(2万626円、前年同月比10.0%安、前月比3.7%安)となった。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。
【貿易動向:コーンスターチ】
1月の輸出量は前年同月比やや減
2016年1月のコーンスターチ輸出量は、7063トン(前年同月比5.0%減、前月比32.8%増)となった(
図4)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
カナダ 2503トン (前年同月比14.1%減、前月比8.6%減)
メキシコ 1377トン (同139.5%増、同116.9%増)
英国 826トン (同28.7%増、同120.9%増)
ドイツ 350トン (同51.5%減、同52.2%増)
日本 60トン (同233.3%増、同41.2%減)
なお、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり前月比0.2セント安の5.05セント(5.8円、 前年同月比15.4%高、前月比4.2%安)となっており、2015年7月以降、前年同月を上回って推移している。
タピオカでん粉
タ イ
【生産動向】
キャッサバ収穫最盛期を迎え供給増
タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、2016年2月下旬は収穫期を迎え、供給量が増加している。
【価格動向】
供給増により下落
タ イタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2016年3月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.0バーツ(42.38円、前年 同期比1.5%安、前月比2.4%高)であった(
図5)。収穫期を迎え供給量が増加していることに加え、カンボジア、ラオスなどの近隣国からの輸入量も多 いため、タピオカでん粉価格は、前年を下回って推移している。
なお、キャッサバ農家価格は、1キログラム当たり2バーツ(6.52円)を下回り(
表1)、ほぼ生産コストに近い水準にまで下落している。現地報道によれば、農家支援のための融資も参加者が少ないことから、タイ農業組合省では緊急支援策について検討している。
【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月よりわずかに減少
2015年12月のタピオカでん粉輸出量は、26万3800トン(前年同月比2.2%減、前月比1.8%増)と前年同月に比べわずかな減少となった(
図6)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
中国 13万6469トン (前年同月比14.3%増、前月比10.6%増)
インドネシア 4万1850トン (同12.4%減、同26.5%減)
台湾 2万1832トン (同8.5%減、同23.0%増)
マレーシア 2万291トン (同30.2%減、同3.5%増)
日本 9108トン (同6.9%増、同18.1%減)
また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、前月に比べ1トン当たり20米ドル安の378.75米ドル(4万3412円、前年同月比11.4%安、前月比5.0%安)とやや下落した(
図6)。輸出価格は為替相場の影響から前年を下回って推移している。
ベトナム
【生産動向】
作付面積は前年同月をやや上回る
ベトナム農業 農村開発省によると、2015年12月の調査では、キャッサバの作付面積は前年同月比3.4%増の52万291ヘクタールと、前年をやや上回った(
表 3)。地域別に見ると、収穫シーズン中の北部では前年に比べかなりの減少が見られる一方、南部では約1割の増加となった。
しかし、関係者によれば、南部沿岸地域や中央高原地域については、作付面積は10〜15%程度の増加となっているが、天候に恵まれなかったことから単収が前年に比べて低く、生産量は作付面積ほど伸びていないとされる。
【貿易動向】
輸出量は前月比1割増
ベトナム税関総局によると、12月のタピオカでん粉輸出量は、中国の需要増により25万4781トン(前年同月比10.9%増、前月比17.9%増)となった(
図7)。
輸出価格(FOB・ホーチミン)は、前月より10ドル安の1トン当たり375米ドル(4万2983円、前年同月比9.6%安)となった。
ま た、同月のキャッサバチップ輸出量は、10万1869トン(前年同月比66.3%増、前月比5倍増)と前年を大幅に上回った。これは、キャッサバの収穫期 が始まり、新物が出回り始めることから、在庫を抱えた輸出企業が価格を下げて売りさばいているためとみられる。なお、これまでほぼ9割以上を占めていた中 国向けが、約6割に低下した。
ばれいしょでん粉
E U
【貿易動向】
輸出量は前年同月比2割減
2016年1月のばれいしょでん粉輸出量は、1万7435トン(前年同月比24.5%減、前月比22.7%減) となった (
図8)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
米国 5042トン (前年同月比21.8%増、前月比31.2%増)
韓国 2360トン (同2.6%増、同64.6%減)
中国 1122トン (同30.7%減、同115.8%増)
日本 380トン (同32.3%減、同380倍)
輸出価格(FOB)は、2016年1月は1トン当たり613ユーロ(7万6999円、前年同月比4.5%高、前月比2.1%高)と前月をやや上回った。
コラム ポーランドのばれいしょでん粉製造企業
近年、ポーランドのでん粉原料用ばれいしょおよびばれいしょでん粉の生産量は増加傾向で推移しており、EU全体のばれいしょでん粉生産量の1割を占めるなど、その存在感を増している(2016年2月号参照)。
寡占化された他のEU生産国と異なり、現在、ポーランドには11社の主要なばれいしょでん粉製造企業が存在する(表、図)。これらの企業によるばれいしょでん粉の年間製造能力は約16万トン(でん粉全体では約100万トン)と推計される。
30年ほど前まで社会主義国であった同国のばれいしょでん粉製造企業には、現在でも私企業と国有企業があるが、近年、国有企業が民営化される機運が高まっており、有力企業が他企業の株式を取得して支配権を得るなど企業統合が活発化している。
なお、EUには、ばれいしょでん粉をはじめとしたでん粉業界を代表する団体として 「Starch Europe」 (ブリュッセル)が存在するが、ポーランドのばれいしょでん粉製造企業の加入は確認されていない。
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化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、 以下 「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。
タ イ
【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月比および前月比ともにかなりの減少
2015年12月の化工でん粉の輸出量は、6万8872トン(前年同月比8.2%減、前月比15.5%減)となった(
図9)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
中国 1万8976トン (前年同月比1.9%増、前月比15.0%増)
日本 1万6055トン (同34.2%減、同41.8%減)
インドネシア 5734トン (同16.7%増、同26.0%減)
韓国 5684トン (同5.4%減、同0.1%増)
米 国
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月比3割減
2016年1月の化工でん粉の輸出量は、2万3816トン(前年同月比27.1%減、前月比10.5%増)となった(
図10)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
カナダ 6344トン (前年同月比13.9%減、前月比8.4%減)
メキシコ 3602トン (同3.1%増、同1.9%減)
中国 1624トン (同46.3%減、同11.8%減)
ドイツ 958トン (同70.1%減、同15.7%増)
日本 886トン (同35.0%減、同25.0%増)
中 国
【貿易動向】
1月の輸出量は、前年同月比5割減
2016年1月の化工でん粉の輸出量は、4009トン(前年同月比46.8%減、前月比29.5%減)となった (
図11)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
韓国 1119トン (前年同月比58.9%減、前月比43.0%減)
日本 465トン (同77.8%減、同34.4%減)
E U
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月比やや減
2016年1月の化工でん粉の輸出量は、3万6933トン(前年同月比4.4%減、前月比0.8%減)となった(
図12)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
トルコ 6626トン (前年同月比28.7%減、前月比3.3%減)
中国 5594トン (同21.6%増、同73.7%増)
ロシア 3973トン (同18.5%増、同15.5%増)
日本 3028トン (同22.2%減、同0.3%増)
豪 州
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月比8割増
2016年1月の化工でん粉の輸出量は、1805トン(前年同月比79.1%増、前月比12.6%減)となった (
図13)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
日本 1233トン (前年同月比111.1%増、前月比0.8%増)
ニュージーランド 205トン (同294.2%増、同31.4%増)
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