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最終更新日:2016年5月10日
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。2月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、次の通り。
用途ごとのでん粉の需要量の見通しは以下の通り。
【糖化用向けでん粉の需要量】
平成27でん粉年度は、前年度からやや増加すると見込まれる
26でん粉年度は、前年度を7万1000トン下回る、172万1000トンとなった。これは、清涼飲料を中心とした異性化糖の需要期である夏場の天候が不順となり、25でん粉年度を下回ったことによるものである。
27でん粉年度は、前年度を7万トン上回る、179万1000トンと見込まれる。上期は、暖冬により、飲料向けを中心に需要が好調に推移したため、前年度を3万2000トン上回る、83万トン、下期は、異性化糖の需要期である夏場の気候が特異なものにならない限りほぼ平年並みの96万1000トンと見込まれる。
【化工でん粉用向けでん粉の需要量】
平成27でん粉年度は、前年度からやや増加すると見込まれる
26でん粉年度は、円安傾向による輸入化工でん粉や輸入紙の減少による製紙・段ボール向け需要におけるコーンスターチを原料とする国産化工でん粉への回帰が進んだことから、前年度を1万2000トン上回る、32万4000トンとなった。
なお、27でん粉年度についても、引き続き、製紙・段ボール向けの需要が維持されると考え、前年度を1万3000トン上回る、33万7000トンと見込まれる。
【その他用途向けでん粉の需要量】
平成27でん粉年度は、前年度からかなり増加すると見込まれる
26でん粉年度は、円安傾向による輸入紙の減少や製紙向けコーンスターチの回帰がみられたものの、在庫調整による新規需要減により、前年度を1万トン下回る、52万3000トンとなった。
なお、27でん粉年度についても、製紙向けの需要が維持されると考え、前年度を4万3000トン上回る、56万6000トンと見込まれる。
各種でん粉の供給量の見通しは以下の通り。
【かんしょでん粉の生産量】
平成27年産は、前年からかなり減少すると見込まれる
26年産については、低温による植え付けの遅れ、8月の集中豪雨や低温長雨による日照不足により原料集荷量が減少し、かんしょでん粉の生産量は前年を5000トン下回る、3万7000トンとなった。
27年産における原料かんしょについては、植え付け後の活着はおおむね良好であったが、6月から8月にかけての低温、日照不足、多雨などの影響によりいもの肥大が抑制され、かんしょでん粉の生産量は、前年を3000トン下回る、3万4000トンと見込まれる。
【ばれいしょでん粉の生産量】
平成27年産は、前年からやや減少すると見込まれる
26年産は、好天に恵まれ生育が良好であったため、原料集荷量は前年を上回り、ばれいしょでん粉の生産量は前年を9000トン上回る、19万4000トンとなった。
27年産における原料ばれいしょについては、春先の良好な天候から植え付けは順調に進み、干ばつの影響があった一部地域を除き、全体的には生育は良好で、原料集荷量はほぼ前年並みとなったものの、ライマン価が下がったことからばれいしょでん粉の生産量は前年を6000トン下回る、18万8000トンと見込まれる。
【コーンスターチの供給量】
平成27年でん粉年度は、前年度からやや増加すると見込まれる
コーンスターチの原料となるトウモロコシ(27年産)は、米国コーンベルト東部での多雨の影響から作況が悪化したことにより、米国の生産量(3億4500万トン)は、史上最高の前年(3億6100万トン)を下回るものの、消費量が減少し期末在庫量が上昇することから、必要量は安定的に供給されるものと見込まれる。
このため、コーンスターチは、需要に応じた供給がなされるものとして、昨今の需要動向を踏まえ、27年産の国産いもでん粉の生産量を勘案し、でん粉ベースで27でん粉年度は229万2000トンと見込まれる。
【輸入でん粉の供給量】(糖化製品、化工でん粉用)
平成27でん粉年度は、前年度からかなり増加すると見込まれる
26でん粉年度については、必要量が輸入され、前年度を2000トン下回る、12万8000トンとなった。
27でん粉年度についても、糖化製品および化工でん粉の原料としての堅調な需要に応じた輸入がなされると考え、前年度を1万2000トン上回る、14万トンと見込まれる。
【輸入でん粉の供給量】(その他用)
平成27でん粉年度は、前年度から大幅に増加すると見込まれる
26でん粉年度については、用途に応じた必要量が輸入され、7000トンとなった。
27でん粉年度については、昨今の需給動向を踏まえて1万6000トンと見込まれる。
【小麦でん粉の供給量】
平成27でん粉年度は、ほぼ前年度並みと見込まれる
小麦でん粉は、主に畜水産練製品向けとして供給されており、26でん粉年度は1万8000トンとなった。
27でん粉年度については、平年並みの1万8000トンと見込まれる。
【天然でん粉の輸入動向】
2016年2月の輸入量は前月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2016年2月の天然でん粉の輸入量は、1万7341トン(前年同月比21.5%増、前月比43.3%増)と、前月から大幅に増加した(図1)。
品目別の輸入量は、次の通りであった。
タピオカでん粉 1万5253トン
(前年同月比28.3%増、前月比43.4%増)
サゴでん粉 1558トン
(同10.9%減、同32.0%増)
ばれいしょでん粉 382トン
(同17.1%減、同2.1倍増)
その他のでん粉 148トン
(同18.5%減、同62.2%増)
品目別の国別の輸入量は次の通りであった。
タピオカでん粉
タイ 1万5103トン
(前年同月比27.1%増、前月比42.0%増)
ベトナム 150トン
(同149.6倍増、前月輸入実績なし)
サゴでん粉
マレーシア 1144トン
(同15.4%減、同3.1%減)
インドネシア 414トン
(同4.5%増、前月輸入実績なし)
ばれいしょでん粉
オランダ 340トン
(同3.4倍増、同3.4倍増)
デンマーク 40トン
(同88.9%減、前月同)
台湾 2トン
(前年同月輸入実績なし、前月輸入実績なし)
2016年2月の品目別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった(図2)。タピオカでん粉の輸入価格は、2014年11月以来14カ月ぶりに5万円台を下回った先月からかなり下落し、4万5118円となった。
タピオカでん粉 4万5118円
(前年同月比11.5%安、前月比6.5%安)
サゴでん粉 7万1152円
(同10.8%安、同3.0%安)
ばれいしょでん粉 8万5563円
(同2.1%高、同23.9%安)
品目別の国別の価格は次の通りであった。
タピオカでん粉
タイ 4万5122円
(前年同月比11.5%安、前月比6.4%安)
ベトナム 4万4706円
(同82.7%安、前月輸入実績なし)
サゴでん粉
マレーシア 7万913円
(同10.2%安、同3.3%安)
インドネシア 7万1814円
(同12.9%安、前月輸入実績なし)
ばれいしょでん粉
オランダ 8万4274円
(同12.3%安、同0.3%安)
デンマーク 8万4425円
(同5.0%高、同1.9%高)
台湾 35万4444円
(前年同月輸入実績なし、前月輸入実績なし)
【化工でん粉の輸入動向】
2016年2月の輸入量は前月からかなり増加
財務省「貿易統計」によると、2016年2月の化工でん粉の輸入量は、3万1823トン(前年同月比3.3%増、前月比15.4%増)となった(図3)。
品目別の輸入量は、次の通りであった。
でん粉誘導体 3万 662トン
(前年同月比6.1%増、前月比16.7%増)
デキストリン 1161トン
(同39.6%減、同11.5%減)
でん粉誘導体の輸入先国は16カ国で、最大の輸入先国はタイであった。主要輸入先国からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の7割以上を占めており、その他の国はいずれも10%未満となっている。
タイ 2万1865トン (シェア71.3%)
ベトナム 2173トン (同7.1%)
米国 1337トン (同4.4%)
豪州 1316トン (同4.3%)
ドイツ 762トン (同2.5%)
デキストリンの輸入先国は9カ国で、デキストリンの輸入量は、上位輸入先国の数量および各国のシェアも含め、月ごとの変動が大きい。上位輸入先国からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の6割以上を占め、次いでフランスが1割強となっている。
タイ 709トン (同61.0%)
フランス 140トン (同12.1%)
ベトナム 97トン (同8.4%)
米国 81トン (同7.0%)
ドイツ 49トン (同4.2%)
化工でん粉の輸入価格は、でん粉誘導体、デキストリンともに前年同月および前月から下落した。
2016年2月の1トン当たり輸入価格は、次の通りであった。
でん粉誘導体 8万5439円
(前年同月比10.5%安、前月比5.9%安)
デキストリン 9万1939円
(同28.8%安、同6.6%安)
【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
2016年2月の輸入量は前月からやや減少
財務省「貿易統計」によると、2016年2月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、22万4391トン(前年同月比10.3%増、前月比5.6%減)となり、前年同月からかなり増加したものの、前月からやや減少した(図4)。1トン当たりの輸入価格は、 2万5026円(同13.4%安、同3.0%安)となった。