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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2016年5月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2016年5月

 本文中の日本円換算に用いた為替レートは3月末日TTS相場の値であり、1米ドル=114.03円、1タイバーツ=3.29円、1ユーロ=129.20円である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向】
需給予測は国内消費量がわずかに下方修正
 2016年4月に公表された、2015/16穀物年度のトウモロコシ需給予測は、作付面積8800万エーカー(3561万ヘクタール、前年度比2.9%減)、生産量136億100万ブッシェル(3億4547万トン、同4.3%減)など、供給関連の数値はいずれも据え置かれた。一方、国内消費量は、118億7100万ブッシェル(3億152万トン、同0.1%減)に下方修正された。これは、国内消費量のうち、食品・種子・その他工業向けが、エタノール向けを中心に上方修正された一方、飼料など向けが下方修正された結果によるものである。
 
【価格動向】
上値のみ10セント低下
 同じく2015/16穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格予測は、前月から上値のみ10セント低下し、1ブッシェル当たり3.40〜3.70米ドル(388円〜422円)となった(表2)。
 
表2
【貿易動向:トウモロコシ】
輸出量は減少傾向が継続
 2016年2月のトウモロコシ輸出量は、331万8530トン(前年同月比17.5%減、前月比22.7%増)となった。輸出市場におけるブラジルやアルゼンチンとの競合の高まりなどから、7カ月連続で前年同月を下回っている(図3)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
メキシコ     110万2488トン (前年同月比35.9%増、前月比23.3%増)
日本        65万7698トン (同34.4%減、同17.2%増)
韓国        33万7101トン (同29.2%増、同1.5倍)
中国           1225トン (同90.4%減、同11.8倍)
 
 なお、同月の輸出価格(FAS(注))は、引き続き低水準で推移しており、1トン当たり前月比1.3米ドル高の181.27米ドル(2万670円、前年同月比7.3%安、前月比0.7%高)となった。
           
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。
 
図3
【貿易動向:コーンスターチ】
2月の輸出量は4カ月ぶりに前年比増
 2016年2月のコーンスターチ輸出量は、7610トン(前年同月比13.5%増、前月比7.7%増)となった(図4)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
カナダ     3084トン  (前年同月比16.5%増、前月比23.2%増)
メキシコ    1183トン  (同3.1倍、同14.1%減)
英国        603トン  (同51.5%増、同27.0%減)
日本        70トン (同70.0倍、同16.7%増)
ドイツ        42トン  (同94.5%減、同88.0%減)
 
 なお、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり前月比0.2セント高の5.27セント(6.0円、前年同月比13.5%高、前月比4.4%高)となっており、2015年7月以降、前年同月を上回って推移している。
 
図4

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
生産量予測は下方修正
 現地報道によると、タイタピオカ取引協会は、2015/16年度(10月〜翌9月)のキャッサバ生産量予測について、これまでの3200万トンから2800万トンに下方修正した。これは、全国的に広がる干ばつの影響によるものであり、キャッサバに含まれるでん粉質の割合の低下も懸念されている。さらに、今後も干ばつが続けば、一部のでん粉製造工場は、深刻な水不足から、操業を停止する可能性も取り沙汰されている。
 
【価格動向】
前年を下回る水準で推移
 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2016年3月第5週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.0バーツ(42.77円、前年同期比1.9%安、前週同)と、引き続き、前年を下回る水準が続いている(図5)。
 なお、キャッサバ農家価格は、1キログラム当たり1.8バーツ(5.92円)と(表1)、ほぼ生産コストに近い水準で推移している。
 
図5
【貿易動向】
2月の輸出量は前年比、前月比ともに大幅増
 2016年2月のタピオカでん粉輸出量は、35万8200トン(前年同月比29.5%増、前月比32.8%増)となった(図6)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
中国        18万2258トン (前年同月比64.4%増、前月比69.3%増)
インドネシア   8万3996トン (同1.1%減、同21.0%増)
台湾         2万7230トン (同20.5%増、同7.8%減)
マレーシア    1万6425トン (同35.9%増、同17.1%増)
日本         1万2567トン (同17.3%増、同16.8%減)
 
 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、前月に比べ1トン当たり8米ドル安の374.32米ドル(4万2684円、前年同月比9.8%安、前月比2.2%安)と、かなりの程度下落した(図6)。輸出価格は為替相場の影響から前年を下回って推移している。
 
図6

ベトナム

【生産動向】
作付面積は前年比わずかに減
 ベトナム農業農村開発省によると、2016年2月の調査では、キャッサバの作付面積は、9万2700ヘクタール(前年同月比1.5%減)となった(表3)。これは、2015年の作付け時期の遅れの影響を受け、2016年も作付けが遅れていることや、多くの地域でエルニーニョ現象に伴う干ばつに見舞われている中、作付け後の降雨不足を懸念し、一定の降雨が見られるまで、作付けを控える傾向があるためとみられている。一方、エルニーニョ現象の影響が軽微な地域では、作付面積の増加も見られ、全国の合計としては、軽微な減少にとどまっている。
 なお、収穫期に当たる2016年2月のタピオカでん粉およびタピオカチップの生産量は、増加傾向にあるものの、需要は弱く、在庫の積み増し傾向が進んでいる。
 
表3
【貿易動向】
輸出量はタピオカでん粉、キャッサバチップともに前年比減
 ベトナム税関総局によると、2016年2月のタピオカでん粉輸出量は、13万2078トン(前年同月比6.7%減、前月比40.8%減)と、2カ月連続で前年同月を下回った(図7)。これは、全輸出量の8割以上を占める中国の経済減速に伴う需要減少が影響しているとみられている。輸出価格も、前月より4ドル安の1トン当たり344米ドル(3万9226円、前年同月比13.8%安)と、下落傾向が続いている。
 同月のキャッサバチップ輸出量は、15万7670トン(前年同月比15.3%減、前月比8.6%増)と、2カ月連続で前年同月を下回っており、タピオカでん粉と同様に、最大の輸出先である中国の需要減少の影響とみられている。
 
 
図7

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】  
2月の輸出量は2カ月連続で前年比大幅減            
 2016年2月のばれいしょでん粉輸出量は、1万9537トン(前年同月比30.9%減、前月比12.1%増)となった(図8)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
米国    5497トン (前年同月比20.5%増、前月比9.0%増)
韓国    3928トン (同31.9%減、同66.4%増)
日本     838トン (同0.2%減、同2.2倍)
中国     778トン (同39.1%減、同30.7%減)
 
 2016年2月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり635ユーロ(8万2042円、前年同月比6.7%高、前月比3.5%高)と前年同月をかなりの程度上回った。
 
図8
コラム ラトビアのばれいしょでん粉の需給動向
 
 EUのばれいしょでん粉の生産は主要4カ国(ドイツ、オランダ、デンマーク、フランス)が7割超を占め、残りの3割弱を6カ国(ポーランド、フィンランド、オーストリア、スウェーデン、チェコ、ラトビア)が占めている。今回のコラムでは、ラトビアの需給動向について紹介する。
 ラトビアは、東にロシア、西にバルト海と接し、南のリトアニア、北のエストニアと合わせて、いわゆる「バルト3国」を構成している(図1)。ラトビアは、ばれいしょ生産に適した冷涼な気象条件を有しているが、大半のばれいしょは、食用に利用されている。
 
コラム図1
 近年のでん粉原料用ばれいしょの生産動向を見ると、年ごとの変動はあるものの、栽培面積は500ヘクタール、生産量は1万1000トン前後で推移している(表)。また、生産者は少数の大規模経営を除き、大半が栽培面積数ヘクタールの小規模経営とみられている。
 一方、近年のラトビアのばれいしょでん粉生産量は、2400トン前後で推移している。スウェーデンのばれいしょでん製造企業Lyckeby社の子会社のAloja社が、ラトビアのばれいしょでん粉の唯一の製造企業である。Aloja社は、ラトビアに加えて、隣国エストニアの生産者からもでん粉原料用ばれいしょを調達し、ベーキングパウダー、バニラシュガー、ゼラチン、ゼリーなどさまざまなでん粉関連製品を製造することで、経営規模を拡大している。
 
コラム表
 ラトビアのばれいしょでん粉の輸出量は、でん粉原料用ばれいしょやばれいしょでん粉の生産量と比例して増減を繰り返しており、2015年は4000トン弱となっている。主な輸出先は、隣国のロシア、リトアニア、エストニアや中央アジア諸国といった、かつて旧ソ連を構成し、経済的関係の深い国々となっている。その一方、ばれいしょでん粉を利用した関連製品は、これらの国々に加え、中東欧や米国にも幅広く輸出されている。
 
コラム図2

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。

タイ

【貿易動向】
2月の輸出量は前年比、前月比ともに増
 2016年2月の化工でん粉の輸出量は、7万515トン(前年同月比2.3%増、前月比13.1%増)となった(図9)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
日本      2万2540トン (前年同月比14.5%増、前月比15.3%増)
中国      1万3971トン (同6.2%減、同34.3%増)
インドネシア     7299トン (同28.6%減、同7.2%増)
韓国         3591トン (同24.4%減、同25.6%減)
 
図9

米国

【貿易動向】
輸出量は大幅な減少が継続
 2016年2月の化工でん粉の輸出量は、2万4565トン(前年同月比27.9%減、前月比3.1%増)となった(図10)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
カナダ     7216トン (前年同月比13.1%増、前月比13.7%増)
中国      3258トン (同1.5%減、同2.0倍)
メキシコ    2741トン (同21.0%減、同23.9%減)
ドイツ      1002トン   (同65.1%減、同4.6%増)
日本       840トン (同65.0%減、同5.2%減)
 
図10

中国

【貿易動向】
2月の輸出量は、前年比3割減
 2016年2月の化工でん粉の輸出量は、3225トン(前年同月比32.2%減、前月比19.6%減)となった(図11)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
韓国   1058トン (前年同月比45.2%減、前月比5.5%減)
日本    629トン (同40.7%減、同35.3%増)
 
図11

EU

【貿易動向】   
2月の輸出量は2カ月連続で前年比減
 2016年2月の化工でん粉の輸出量は、3万7552トン(前年同月比13.5%減、前月比1.7%増)となった(図12)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。 
トルコ     7146トン (前年同月比36.0%減、前月比7.8%増)
中国     4411トン (同32.7%減、同21.1%減)
ロシア    4167トン (同3.1%増、同4.9%増)
日本     2654トン (同21.9%減、同12.4%減)
 
図12

豪州

【貿易動向】
2月の輸出量は7カ月ぶりに前年比減 
 2016年2月の化工でん粉の輸出量は、1529トン(前年同月比3.4%減、前月比14.2%減)となった(図13)。同月の輸出先国別の輸出量は、次の通り。
日本           1064トン (前年同月比11.5%増、前月比13.7%減)
ニュージーランド    101トン (同59.6%減、同49.5%減)
 
図13
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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