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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2016年8月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2016年8月

 本稿中の為替レートは6月末日TTS相場の値であり、1米ドル=106円(106.48円)、1タイバーツ=3.07円、1ユーロ=116円(115.89円)である。
 

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
需給予測、生産量・消費量ともに上方修正

 2016年7月時点のUSDA(米国農務省)による2016/17穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、作付面積が9410万エーカー(3808万ヘクタール、前年度比6.9%増)に上方修正されたことに伴い、生産量も145億4000万ブッシェル(3億6932万トン、同6.9%増)に上方修正された。消費関連の数値は、国内消費量は飼料向けやエタノール向けを中心に下方修正された一方、輸出量は競合するブラジルの生産減の傾向を反映して上方修正された結果、総消費量は、142億ブッシェル(3億6068万トン、同3.7%増)と上方修正された。

【価格動向:トウモロコシ】
販売価格は、下方修正

 同じく2016/17穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.10〜3.70米ドル(329円〜392円)となった。生産量、消費量ともに上方修正されたものの、生産量の増加幅がより大きく、期末在庫も上方修正されたことが影響している(表2)。

 

【貿易動向:トウモロコシ】
5月の輸出量は、3カ月ぶりに前年比減

 2016年5月のトウモロコシ輸出量は、479万9998トン(前年同月比1.2%減、前月比6.2%減)と、3カ月ぶりに前年同月を下回った(図3)。同月の国別輸出量は、次の通り。

メキシコ  135万6290トン
 (前年同月比10.2%増、前月比1.4%減)
日本     124万9720トン
 (同12.8%増、同28.4%増)
韓国     19万5217トン
 (同50.2%減、同13.7%減)
中国        2501トン
 (同97.9%減、同96.2%減)

 なお、同月の輸出価格(FAS(注))は、引き続き低水準で推移しており、1トン当たり179.02米ドル(1万8976円、前年同月比3.2%安、前月比0.9%高)となった。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。
 

 

【貿易動向:コーンスターチ】
5月の輸出量は、3カ月連続で前年比減

 2016年5月のコーンスターチ輸出量は、6799トン(前年同月比13.9%減、前月比3.6%減)と、3カ月連続で前年同月を下回った(図4)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ   2755トン
 (前年同月比31.8%減、前月比3.7%増)
メキシコ   979トン
 (同4.1倍、同48.3%減)
ドイツ     51トン
 (同85.2%減、同45.7%増)
日本    15トン
 (同80.3%減、同87.5%増)
 
 なお、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり6.07セント(6.4円、前年同月比15.0%高、前月比0.5%高)となっており、2015年7月以降、前年同月を上回って推移している。
 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
干ばつにより深刻な原料不足

 現地報道によると、タイでは、干ばつに伴う深刻な原料不足が続いており、多くのでん粉製造工場が閉鎖されている。このため、通常であれば雨季が10月に終わり、11月ごろから、キャッサバの収穫が本格化するが、収穫期も12月ごろにずれ込むとみられている。その結果、タピオカでん粉の輸出量も前年を大幅に下回ると見込まれている。

【価格動向】
国内価格は、下落傾向

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2016年7月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり12.7バーツ(39円、前年同期比11.2%安、前週比1.6%安)と、6月に比べ下落している(図5)。

 なお、キャッサバ農家価格は、1キログラム当たり1.49バーツ(4.6円)(表1)と、前年同月比、前月比ともに下落している。
 

 

【貿易動向】
5月の輸出量は、5カ月ぶりに前年比減

 2016年5月のタピオカでん粉輸出量は、21万8641トン(前年同月比22.2%減、前月比14.3%減)と、5カ月ぶりに前年同月を下回った(図6)。同月の国別輸出量は、次の通り。

中国       7万4453トン
 (前年同月比36.0%減、前月比4.4%減)
インドネシア  5万9097トン
 (同24.5%減、同2.5%減)
マレーシア   1万9085トン
 (同14.9%増、同53.7%減)
台湾      1万6862トン
 (同31.2%減、同40.8%減)
日本      1万1905トン
 (同9.8%減、同2.5%増)
 
 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり367米ドル(3万8902円、前年同月比18.3%安、前月比1.9%高)と、前月に比べ上昇しているものの、引き続き前年同月を下回って推移している(図6)。
 

 

ベトナム

【生産動向】
5月の作付面積は、前年比やや増

 ベトナム農業農村開発省によると、2016年5月の調査では、キャッサバの作付面積は、25万5827ヘクタール(前年同月比5.7%増)と、前年同月をやや上回った(表3)。特に北部では前年同月を大幅に上回っており、これは、2015年以降、トウモロコシより価格が相対的に高く推移したため、キャッサバの作付けが進んだことや、2016年に入ってからの主産地での良好な気象条件が背景にある。

 一方、南部では、全体では前年同月を下回っているが、南東地域では前年同月を上回っている。同地域では、干ばつにより、大量の水を必要とする稲作からキャッサバ生産へとシフトが進んでいることが背景にある。さらに、天然ゴム生産から、より収益性の高いキャッサバ生産へのシフトも同時に進んでいる。
 

 

【貿易動向】
5月のタピオカでん粉輸出量は、2カ月ぶりに前年比減

 ベトナム税関総局によると、2016年5月のタピオカでん粉輸出量は、13万6949トン(前年同月比0.8%減、前月比27.9%減)と、2カ月ぶりに前年同月を下回った(図7)。

 最大の輸出先である中国向けは、わずかに前年同月を上回ったものの、高水準の在庫と人民元相場の下落傾向から、低水準で推移しており、輸出価格も前年同月を下回って推移している。キャッサバ以外の主なでん粉原料であるトウモロコシおよび小麦の国際価格や、中国国内のコーンスターチ価格が低水準で推移していることから、今後も輸出価格の大幅な上昇は見込みづらい状況となっている。

 一方、2016年5月のキャッサバチップの輸出量は、12万1338トン(前年同月比54.1%減、前月比53.5%減)と、5カ月連続で前年同月を下回った。こちらも、タピオカでん粉と同様に最大の輸出先である中国の高水準の在庫と人民元相場の下落傾向により、減少傾向が続いている。
 

 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
5月の輸出量は、6カ月連続で前年比減

 2016年5月のばれいしょでん粉輸出量は、2万3807トン(前年同月比6.3%減、前月比8.8%減)と、6カ月連続で前年同月を下回った(図8)。同月の国別輸出量は、次の通り。

韓国  5677トン
 (前年同月比25.9%増、前月比20.3%減)
米国  4602トン
 (同34.0%増、同14.3%減)
中国  1565トン
 (同57.6%減、同74.3%増)
日本  718トン
 (同7.2倍、前月輸出実績なし)
 
 2016年5月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり630ユーロ(7万3080円、前年同月比9.4%高、前月比1.6%高)と前年同月をかなりの程度上回った。

 

コラム ドイツのでん粉需給構造


 
 本コラムでは、EU最大のばれいしょでん粉生産国である、ドイツのでん粉需給構造について、紹介する。
 
1 でん粉全体の需給構造
 まず、原料別でん粉生産量を見ると、ばれいしょでん粉の生産量が最も多い。これは、ドイツがでん粉用に限らず、ばれいしょの主要生産地であることが反映されており、EU全体では、ばれいしょでん粉生産量は、でん粉全体の1割超にすぎないことと対照的である。原料別の生産量の推移を見ると、ばれいしょでん粉は、変動が大きく、コーンスターチは、ほぼ横ばいで推移している。一方、小麦でん粉は、緩やかな増加傾向となっており、副産物のグルテンが食品原料として利用できるため、ばれいしょでん粉よりも使い勝手が良いことや、糖化製品向けの原料として重視されているためとみられる。

 なお、現地報道によると、ドイツの大手食品原料メーカーであるシェズッカー社は、2016年4月、新たに小麦でん粉工場を建設した。同工場では、小麦でん粉から食品産業や化学産業向けに最大で年間14万トンの糖化製品を生産する予定である。また、副産物については、グルテンを製パン原料として、フスマを飼料向けとして、それぞれ利用する計画となっている。

 



 次に、でん粉の種類別需要量を見ると、全体の半分以上が糖化製品であり、2割前後が天然でん粉と化工でん粉となっており、これはEU全体と同様の傾向である。糖化製品は、既述の小麦でん粉やコーンスターチが主な原料とみられ、ばれいしょでん粉は、主に天然でん粉のまま、あるいは化工でん粉として利用されているとみられる。

 さらに、用途別に細かく見ると、でん粉全体の約6割が食品向けであり、4割が非食品向けとなっている。食品向けのうち、3分の1が製菓向けであり、非食品向けの約7割が製紙向けとなっている。これらの用途別傾向も、おおむねEU全体と同様であるが、食品向けのうち、製菓向けの割合が大きいのがドイツの特徴といえる。







2 ばれいしょでん粉の需給構造
 ばれいしょでん粉の需給構造を見ると、生産量は、小麦でん粉との競合などから、やや減少傾向にある。一方、輸出量および輸入量は比較的安定的に推移しており、輸出量が輸入量を大幅に上回る純輸出国である。さらに、国内消費よりも輸出量の方が多く、輸出志向型の需給構造であるといえる。



 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。

タイ

【貿易動向】
5月の輸出量は、4カ月ぶりに前年比減

 2016年5月の化工でん粉の輸出量は、8万177トン(前年同月比3.2%減、前月比4.1%増)と、4カ月ぶりに前年同月を下回った(図9)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本     2万3195トン
 (前年同月比31.1%減、前月比16.4%減)
中国      1万7704トン
 (同43.6%増、同6.1%増)
インドネシア   8917トン
 (同4.0%減、同38.1%増)
韓国        6600トン
 (同20.7%増、同30.3%増)
 

 

米国

【貿易動向】
5月の輸出量は、14カ月連続で前年比減

 2016年5月の化工でん粉の輸出量は、2万5365トン(前年同月比19.1%減、前月比3.7%減)と、14カ月連続で前年同月を下回った(図10)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ    6862トン
 (前年同月比7.6%増、前月比4.7%減)
中国     3619トン
 (同9.1%増、同37.4%増)
メキシコ  2817トン
 (同14.1%減、同0.5%減)
ドイツ    1484トン
 (同33.2%減、同9.5%減)
日本     572トン
 (同63.8%減、同4.8%減)
 

 

中国

【貿易動向】
5月の輸出量は、6カ月ぶりに前年比増

 2016年5月の化工でん粉の輸出量は、6360トン(前年同月比25.0%増、前月比91.8%増)と、6カ月ぶりに前年同月を上回った(図11)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本       2215トン
 (前年同月比4.0%増、前月比4.1倍)
マレーシア  600トン
 (同91.7%増、同7.8%減)
インドネシア  524トン
 (同2.1倍、同2.8倍)
韓国       176トン
 (同56.7%減、同47.1%減)
 
 

 

EU

【貿易動向】
5月の輸出量は、5カ月ぶりに前年比増

 2016年5月の化工でん粉の輸出量は、4万7202トン(前年同月比16.2%増、前月比8.8%増)と、5カ月ぶりに前年同月を上回った(図12)。同月の国別輸出量は、次の通り。

トルコ  1万401トン
 (前年同月比23.5%増、前月比8.1%増)
中国    6837トン
 (同9.0%増、同22.8%増)
ロシア   5059トン
 (同5.1%増、同13.4%増)
日本   3010トン
 (同17.2%増、同22.7%増)
 

 

豪 州

【貿易動向】
5月の輸出量は、前年比大幅増

 2016年5月の化工でん粉の輸出量は、2392トン(前年同月比33.0%増、前月比26.8%増)と、3カ月連続で前年同月を大幅に上回った(図13)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本        1671トン
 (前年同月比40.5%増、前月比34.1%増)
ニュージーランド  228トン
 (同15.7%増、同32.6%増)
マレーシア     216トン
 (同2.6倍、同35.8%増)
 
 

 

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