ホーム > でん粉 > でん粉の国際需給 > 2.日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2016年10月11日
コラム スターチ・ヨーロッパによる異性化糖関連レポート
欧州のでん粉産業団体であるスターチ・ヨーロッパは8月、EUの異性化糖(注)について、生産動向や米国との比較などに関するレポートを公表した。以下、その概要を紹介する。 (注)でん粉を分解してぶどう糖にした後、ぶどう糖の一部を酵素で果糖に変換(異性化)した液状の糖。 1.異性化糖の原料と用途 EUでは、異性化糖は主に小麦やトウモロコシ由来のでん粉を原料として、生産されている。用途は、菓子、飲料、ジャム、パン類、乳製品など幅広い。また、甘味を付けるためだけでなく、かみごたえの増強や食品の品質維持、さらには包装紙との吸着防止などに利用されている。 2.EUの異性化糖生産と米国との比較 異性化糖は液状であるため、一般的に清涼飲料水に用いられることが多い。しかし、EUでは、異性化糖の清涼飲料水への利用は限られている。これは、EUでは生産割当により、異性化糖の生産量が、EUの総砂糖生産量の5%に制限されているためである。すなわち、EUでは、十分な量の異性化糖の調達が困難であり、主にショ糖を用いて清涼飲料水の甘味付けを行っている。 一方、米国では、異性化糖の生産量に制限はなく、主にトウモロコシを原料とした異性化糖が生産され、清涼飲料水などに利用されており、その生産量は米国の糖類消費量全体の40%に当たる。 しかしながら、EUの砂糖および異性化糖の生産割当は、2017年10月に撤廃される。業界では、撤廃後の予測は困難としながらも、現在の年間72万トンから少なくとも、EUの糖類消費量全体の15%に当たる200万トンに増加するとしている。 3.その他 異性化糖の消費と肥満に明確な関連性は証明されておらず、肥満との関係では、糖の種類や摂取量のみに着眼するのではなく、摂取量と代謝量のバランスが重要である。 最後に、スターチ・ヨーロッパの原典には示されていないが、EUの砂糖と異性化糖の生産割当数量は下表の通りである。 |