ホーム > でん粉 > でん粉の国際需給 > 2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2017年4月10日
1. でん粉生産 セルビアは、旧ユーゴスラビア連邦(以下「旧ユーゴ」という)構成国の一つであり、旧ユーゴ構成国の中でも最大の面積と人口を有している(図)。セルビアで主に生産されているでん粉は、コーンスターチ、小麦でん粉とそれらを基にした化工でん粉である。 セルビアには、Fidelinka skrob doo社(以下「フィデリンカ社」という)、Jabuka社(以下「ジャブカ社」という)、Ipok社(以下「イポク社」という)という3社の主要でん粉製造企業が存在する。これらのうち、フィデリンカ社は、北部国境のスボティツァに小麦でん粉製造工場を有している。同社は、セルビアのみならず旧ユーゴ構成国でも唯一の小麦でん粉製造企業であり、食品向け・工業向けの天然でん粉、各種化工でん粉、接着剤、食品向け・飼料向けの小麦グルテンなどを製造している。 一方、ジャブカ社は、ベオグラード近郊のパンチェヴォに工場を有し、イポク社は、ベオグラードの北、ズレニャニンに工場を有している。両社はともにAlmex doo社(以下「アルメックス社」という)の子会社であり、コーンスターチを製造している。ジャブカ社の製品は、食品向けの天然でん粉や化工でん粉、糖化製品が中心である一方、イポク社の製品は、工業向けの化工でん粉が中心となっている。 なお、この3社以外に近年、Victoria Starch社が設立され、今後、製造が本格化される予定である。
2. でん粉輸出 セルビアのでん粉輸出量全体の約8割がEU向けである。また、EU域内の国別に見ると、旧ユーゴ構成国や旧東側諸国向けが中心であり、地理的近接性や、旧ユーゴ時代からの経済的つながりが背景にあるものと推察される(表2)。 一方、EU域外の主な輸出先は、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、アルバニアなど、旧ユーゴ構成国が中心である。これらの国々とは、地理的・歴史的関係に加え、中欧自由貿易協定の加盟国であるという経済的つながりも背景にあるとみられている(表3)。
3. 今後の展望 セルビアでは、人口700万人の国内市場は、それほど大きくなく、また、今後の成長見込みもそれほど高くないとみられている。そのため、アルメックス社の製品の約9割は欧米諸国向けであり、ある主なでん粉関連製品の流通企業は、コーンスターチの取り扱いを取りやめている。その一方、オーストリアの大手でん粉製造企業であるアグラナ社は、コーンスターチ製造への投資を計画しており、輸出拡大の足がかりにするものと考えられる。