ホーム > でん粉 > 海外現地調査報告 > 中国の穀物需給動向
最終更新日:2017年6月9日
<輸出国家貿易>
輸出国家貿易の対象となる農産品は、コメ、トウモロコシなど(粉のラインを含む。以下同じ)、大豆、タバコ、綿花である。
コメやトウモロコシなどの輸出はWTO加盟(2001年11月11日付)以後全量がSTEを通じて行われている。なお、理論的には輸入国家貿易同様、承認企業に輸出割当がなされた場合、輸出可能とされている。STEによるトウモロコシなどの輸出実績は図5の通りとなっており、2008年以降の実績は年に数百トンとわずかである。
トウモロコシなどの国境措置は、対象品目ごとに異なるが、トウモロコシなどの輸入は、全て関税割当により行われている(表6)。WTO加盟後、2009年ごろまではほとんど輸入実績が無かったが、現在、関税割当は国際約束上720万トンとなっているが、2012年に割当枠数量の72%に相当する520万トンが輸入されたのが最大で、枠外で輸入されたことはない(図7)。なお、枠内輸入の関税率は1%、枠外は種子用が20%、その他が65%である。ただし、枠内枠外共に輸入増値税(いわゆる付加価値税で内国税と整理されている)13%が別途課せられる。なお、穀物類など多くの農産品に適用される輸入増値税については、2017年の税制改正により同年7月1日以降、13%の税率区分が廃止され、11%が適用されることとされている。
トウモロコシなどの関税割当の配分は、国家発展計画委員会(State Development Planning Commission)により行われ、再配分が行われる場合は、国家発展改革委員会(National Development Reform Commission)と商務部により行われる。割当を受ける資格として、良好な財務状況や納税状況にあることなどが審査されるが、基本的に先着順で割り当てられるとされている。
なお、政府は関税割当申請者とその申請数量については公表しており、申請者は国有企業や民営企業、外資系とさまざまで、飼料、でん粉、アルコール、製油などのメーカーによるものが多い。
ただし割当実績の詳細については公表していない。
ただし、政府は、国内余剰在庫の整理などを目的に、2016年以降数年間輸出を増加させる計画で、2017年には230万トンを輸出に仕向ける予定と公表している。