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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2018年1月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2018年1月

 本稿中の為替レートは2017年11月末日TTS相場の値であり、1米ドル=113円(113.05円)、1タイバーツ=3.52円、1ユーロ=134円(134.31円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
消費量が上方修正

 2017年12月時点の米国農務省(USDA)による2017/18穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、前月予測から据え置かれた。一方、消費関連の数値は、国内消費量のうちエタノール向けが上方修正されたことにより、総消費量は144億8500万ブッシェル(3億6793万トン、前年度比1.1%減)に上方修正された。

【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格の変動幅が縮小

 同じく2017/18穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり2.85〜3.55米ドル(322円〜401円)と、下値の上昇と上値の低下により変動幅が縮小したものの、その中間値は3.2米ドル(362円)と前月と同価格になっている(表2)。

表2 米国のトウモロコシの需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ】
10月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少

 2017年10月のトウモロコシ輸出量は、274万3739トン(前年同月比24.6%減、前月比22.5%減)と前年同月および前月を大幅に下回った(図3)。要因の一つとして、豊作となったブラジルの輸出量増加が影響していると考えられる。同月の国別輸出量は、次の通り。

メキシコ   115万4319トン  
 (前年同月比14.4%増、前月比26.4%減)
日本      44万8098トン  
 (同15.9%増、同22.4%減)
コロンビア  44万4183トン  
 (同3.3%増、同18.3%増)

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり173.22米ドル(1万9574円、前年同月比0.7%安、前月比0.9%高)と前年同月をわずかに下回った。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

【貿易動向:コーンスターチ】
10月の輸出量は12カ月連続で前年同月比増

 2017年10月のコーンスターチ輸出量は、8113トン(前年同月比30.7%増、前月比17.9%減)と12カ月連続で前年同月を上回った(図4)。同月の国別輸出量は、次の通り。

メキシコ   3219トン  
 (前年同月比2.2倍、前月比29.4%減)
カナダ    2686トン  
 (同6.3%減、同20.2%減)
コロンビア  440トン  
 (同8.6%増、同35.3%減)
中国      294トン  
 (同30.1%増、同44.1%増)
日本      9トン  
 (同10.0%減、同55.0%減)

 また、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド(注)当たり4.58セント(5.2円、前年同月比6.0%安、前月比1.9%安)と前年同月および前月から下落した。

(注)1ポンドは0.45キログラム。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格、前年同月から 大幅上昇

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2017年12月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.2バーツ(46円、前年同期比17.9%高、前週同)と、急上昇した10月以降前年同期を大幅に上回って推移している(図5)。

 また、11月のキャッサバ農家価格は、1キログラム当たり1.67バーツ(5.9円)と前年同月を大幅に上回った(表1)。

図5 タイのタピオカでん粉価格の推移

【貿易動向(注)
9月の輸出量は前年同月および前月からかなり減少

 2017年9月のタピオカでん粉輸出量は、22万316トン(前年同月比14.1%減、前月比10.1%減)と前年同月および前月をかなり下回った(図6)。同月の国別輸出量は、次の通り。

中国       11万211トン  
 (前年同月比11.2%減、前月比4.7%減)
台湾       2万8367トン  
 (同3.4%増、同12.6%増)
インドネシア  1万8428トン  
 (同40.3%減、同42.8%減)
日本      1万2050トン  
 (同80.4%増、同4.4%増)

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり344米ドル(3万9216円、前年同月比2.6%高、前月比1.1%高)と前年同月および前月をわずかに上回った(図6)。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を掲載する。

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

コラム ベトナムにおけるばれいしょでん粉の需要動向

 ベトナムといえば、世界でも有数のキャッサバおよびそれを原料とするタピオカでん粉の生産国であるが、その一方で、近年のばれいしょでん粉輸入量は、増加傾向で推移し、ほぼ全量がオランダやデンマークなどのEU諸国である(図1)。そこで今回は、ベトナムにおけるばれいしょでん粉の需要動向について紹介する。
 



 

 ベトナムでは、稲作との二毛作としてばれいしょを生産することが多く、主産地はバクニン省やナムディン省などの紅河デルタ地域である(図2)。近年のばれいしょ作付面積は約4万ヘクタールで、収穫量は約44万トンであるが、その品種の多くは生食用で、でん粉原料用はほどんどない。ばれいしょでん粉は、小規模施設でわずかに製造されている程度であり、その用途も、主にフェイシャルパックなどの美容用として粉末状のものが販売されている(注)

 関係者によると、同国ではばれいしょに含まれる成分が美容に良いという認識があり、家庭でゆでたばれいしょを潰し、蜂蜜や牛乳などと混ぜパックとして使用されることもある。また、近年同国では女性の社会進出が進んでいることなどにより、より手軽に使える粉末製品が重宝されるようになった。

 一方、輸入ばれいしょでん粉の用途は、食品、製紙、接着剤、医薬品などさまざまである。用途別の割合などの公式な数値はないものの、業界関係者によると、食品向けが最も多く、春雨やインスタントヌードル、菓子類などで利用されている。特に、ベトナムではインスタントヌードルの消費量が2007年から2012年まで年平均20%増加しており、2013年には世界で第2位のインスタントヌードル消費国となった。このことが、ベトナムにおけるばれいしょでん粉の輸入量が急増した要因の一つとして考えられる。

 EU-ベトナム間の自由貿易協定が今後発効予定であることから、ますますばれいしょでん粉の輸入量が増える可能性がある。

(注)一般的な使い方は、1回につきスプーン1〜2杯程度をお湯で溶かし、顔に15分程度パックする。頻度は、週に1、2度が望ましいとされている。
 



 

ベトナム

【生産動向】
9月の作付面積は前年同月からわずかに減少

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、2017年9月のキャッサバの作付面積は、前年同月を1.3%下回る46万1323ヘクタールとなったものの、このうち、北部の3地域では、データの更新が遅れており、作付面積は先月から更新されていない(表3)。トレーダーによると、実際の作付面積は、多くの生産者が収益性に勝るサトウキビなどへ転作したため、前年同月と比較して40%程度もしくはそれ以上減少している。

 キャッサバの供給動向を見ると、主産地である南東地域のタイニン省では9月の供給量は、悪天候や病害などの影響によりかなり少なくなった。同省で9月に実施された調査によると、キャッサバ作付面積の30%はモザイク病の感染が見られ、生育中または収穫を間近に控えたキャッサバが被害を受けた。被害を受けたキャッサバの半数は、まん延防止のため、()(じょう)にすき込まれたり焼却されたりしている。

 また、同月のカンボジアでは、約2週間の休日があったため、ベトナムへ輸送されるキャッサバの量はかなり少なかった。そのため、操業を一時停止した工場もあったが、10月上旬には、カンボジアからのキャッサバ供給量が回復したため、操業を再開している。

表3 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 AgroMonitorによると、2017年9月のタピオカでん粉輸出量は、20万310トン(前年同月比36.2%増、前月比32.8%増)と前年同月および前月を大幅に上回った(図7)。これは、年末の加工食品需要に向けて中国向けが増加したためである。

図7 ベトナムのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月および前月から増加

 2017年10月のばれいしょでん粉輸出量は、3万2314トン(前年同月比14.1%増、前月比27.6%増)と前年同月および前月を上回った(図8)。同月の国別輸出量は、次の通り。

韓国   6657トン  
 (前年同月比9.9%減、前月比13.5%増)
米国   3989トン  
 (同62.0%増、同60.0%増)
中国   1877トン  
 (同5.3%増、同16.9%増)
日本   1032トン  
 (同47.0%増、同97.7%増)

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり605ユーロ(8万1070円、前年同月比0.9%安、前月比0.7%安)と10カ月連続で前年同月を下回った。

図8  EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向(注)
9月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 2017年9月の化工でん粉の輸出量は、9万7996トン(前年同月比18.2%増、前月比18.1%増)と前年同月および前月を大幅に上回った(図9)。同月の国別輸出量は、次の通り。
 
日本      3万7525トン  
 (前年同月比44.5%増、前月比70.3%増)
中国      2万598トン  
 (同1.6%増、同2.8%増)
インドネシア  8091トン  
 (同29.3%増、同22.7%減)

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を掲載する。

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

米国

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月からやや減少

 2017年10月の化工でん粉の輸出量は、2万7782トン(前年同月比4.4%減、前月比2.3%増)と前年同月をやや下回ったものの前月をわずかに上回った(図10)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ    7276トン  
 (前年同月比5.0%減、前月比1.4%減)
中国     3984トン  
 (同7.3%増、同26.0%増)
メキシコ   3509トン  
 (同8.4%減、同28.0%増)
コロンビア  1561トン  
 (同80.0%増、同25.2%増)
日本      949トン  
 (同4.9%増、同29.1%増)

図10  米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

中国

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月および前月から減少

 2017年10月の化工でん粉の輸出量は、4628トン(前年同月比8.9%減、前月比25.5%減)と前年同月および前月を下回った(図11)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本       912トン  
 (前年同月比61.2%減、前月比19.7%減)
台湾       462トン  
 (同2.7倍、同7.9%増)
インドネシア  451トン  
 (同38.8%増、同6.6%増)

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

EU

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月からやや減少

 2017年10月の化工でん粉の輸出量は、4万5232トン(前年同月比3.0%減、前月比5.4%増)と前年同月をやや下回ったものの前月をやや上回った(図12)。同月の国別輸出量は、次の通り。

トルコ   7851トン  
 (前年同月比7.9%減、前月比2.0%減)
ロシア  6533トン  
 (同20.6%増、同20.3%増)
中国   4496トン  
(同31.1%減、同13.0%減)
日本   4386トン  
 (同13.0%増、同44.7%増)

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

豪州

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月から減少

 2017年10月の化工でん粉の輸出量は、2256トン(前年同月比4.0%減、前月比16.2%増)と前年同月をやや下回ったものの前月を大幅に上回った(図13)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本    1550トン  
 (前年同月比19.7%減、前月比46.4%増)
マレーシア 99トン  
 (同83.3%増、同8.3%減)

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

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