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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2018年2月9日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2018年2月

 本稿中の為替レートは2017年12月末日TTS相場の値であり、1米ドル=114円(114.00円)、1タイバーツ=3.53円、1ユーロ=136円(136.44円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
生産量は上方修正の一方、消費量は下方修正

 2018年1月時点の米国農務省(USDA)による2017/18穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、収穫面積は8270万エーカー(3347万ヘクタール、前年度比4.6%減)に下方修正されたものの、単収が1エーカー当たり176.6ブッシェル(4.5トン、同1.1%増)に上方修正されたことに伴い、生産量も146億400万ブッシェル(3億7096万トン、同3.6%減)に上方修正された。消費関連の数値は、国内消費量のうち食品・種子・その他工業向けが上方修正されたものの、飼料など向けが下方修正されたことにより、総消費量は144億7000万ブッシェル(3億6755万トン、同1.2%減)に下方修正された。

【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格の下値が上昇

 同じく2017/18穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり2.95〜3.55米ドル(336円〜405円)と下値が上昇し、中間値も3.25米ドル(371円)と上昇した(表2)。

表2 米国のとうもろこし需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ】
11月の輸出量は前年同月および前月から減少

 2017年11月のトウモロコシ輸出量は、261万31トン(前年同月比35.8%減、前月比4.9%減)と前年同月および前月を下回った(図3)。要因の一つとして、豊作となったブラジルの輸出量の増加が考えられる。同月の国別輸出量は、次の通り。

メキシコ    112万5422トン  
 (前年同月比5.3%増、前月比2.5%減)
コロンビア   34万9074トン  
 (同10.0%増、同21.4%減)
ペルー     29万798トン  
 (同26.3%増、同16.8%増)
日本      26万3450トン  
 (同66.3%減、同41.2%減)

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり169.63米ドル(1万9338円、前年同月比7.7%安、前月比2.1%安)と前年同月および前月を下回った。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

【貿易動向:コーンスターチ】
11月の輸出量は13カ月連続で前年同月比増

 2017年11月のコーンスターチ輸出量は、7812トン(前年同月比13.5%増、前月比3.7%減)と13カ月連続で前年同月を上回った(図4)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ    3415トン  
 (前年同月比16.2%増、前月比27.1%増)
メキシコ   2423トン  
 (同51.4%増、同24.7%減)
中国     274トン  
 (同80.3%増、同6.8%減)
コロンビア  103トン  
 (同77.9%減、同76.6%減)

 また、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド(注)当たり4.22セント(4.8円、前年同月比12.1%安、前月比7.9%安)と前年同月および前月から下落した。

(注)1ポンドは0.45キログラム。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格、キャッサバ農家価格ともに前年同月から大幅上昇

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2018年1月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.3バーツ(47円、前年同期比18.8%高、前週同)と、2017年10月に急騰して以降前年同期を大幅に上回って推移している(図5)。

 また、12月のキャッサバ農家価格は、1キログラム当たり1.95バーツ(6.9円)と前年同月を大幅に上回った(表1)。

図5 タイのタピオカでん粉価格の推移

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月および前月から減少

 2017年11月のタピオカでん粉輸出量は、25万7654トン(前年同月比15.1%減、前月比3.6%減)と前年同月および前月を下回った(図6)。同月の国別輸出量は、次の通り。

中国       15万8462トン  
 (前年同月比11.8%減、前月比7.4%増)
台湾      2万3056トン  
 (同3.0%減、同8.9%減)
インドネシア  1万4056トン  
 (同66.8%減、同11.4%減)
日本         8275トン  
 (同18.7%減、同35.5%減)

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり431米ドル(4万9134円、前年同月比31.9%高、前月比6.5%高)と前年同月および前月を上回った(図6)。

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ベトナム

【生産動向】
11月の作付面積は前年同月と同水準

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、2017年11月のキャッサバの作付面積は、50万2253ヘクタール(前年同月比0.2%減、前月比5.3%増)と前月からはやや増加し、前年同月と同水準となった(表3)。北部では、作付けを終えているため、前月から横ばいとなった一方、南部では、主産地である南東地域でタイニン省などを中心に前作の収穫が終わり、農家は新たに作付けを開始したことなどから、前月を大幅に上回った。

 同月のキャッサバの供給動向を見ると、北部では、収穫期であったことに加え、天候に恵まれたこともあり、加工工場への供給量は十分であり、品質も良かった。現地トレーダーによると、中国からのキャッサバおよびタピオカチップの需要が高いため、前年に比べ1カ月程度早く収穫を終えると見込まれている。

 一方南部のタイニン省では、モザイク病に感染し、キャッサバを除去した地域があることに加え、長雨により大量のキャッサバが腐ったことにより、今期の収穫量は前年と比べて40%以上減少すると見込まれているため、同省におけるキャッサバ供給量は落ち込むとみられる。このため同省のでん粉工場はカンボジアや中央高原地域からもキャッサバを調達すると見込まれている。カンボジアでは、今期のキャッサバ収穫量が多いが、ベトナム向けキャッサバ価格が前年と比べて約50%高いことから、農家はタピオカチップではなく、キャッサバ(いも)を販売する傾向にある。

表3 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月からかなり減少

 AgroMonitorによると、2017年11月のタピオカでん粉輸出量は、21万1463トン(前年同月比10.1%減、前月比15.8%増)と前年同月をかなり下回ったものの前月をかなり上回った(図7)。依然として中国が最大の輸出先であり、同月は輸出量全体の96.2%(前月比2.4ポイント増)を占めた。

図7 ベトナムのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向(注)
10月の輸出量は前年同月および前月から増加

 2017年10月のばれいしょでん粉輸出量は、3万2314トン(前年同月比14.1%増、前月比27.6%増)と前年同月および前月を上回った(図8)。同月の国別輸出量は、次の通り。

韓国   6657トン  
 (前年同月比9.9%減、前月比13.5%増)
米国   3989トン  
 (同62.0%増、同60.0%増)
中国   1877トン  
 (同5.3%増、同16.9%増)
日本   1032トン  
 (同47.0%増、同97.7%増)

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり605ユーロ(8万2280円、前年同月比0.9%安、前月比0.7%安)と10カ月連続で前年同月を下回った。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を掲載する。

図8  EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月および前月からかなり増加

 2017年11月の化工でん粉の輸出量は、9万7065トン(前年同月比12.3%増、前月比13.5%増)と前年同月および前月をかなり上回った(図9)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本   2万9279トン  
 (前年同月比4.4%増、前月比30.8%増)
中国   2万4284トン  
 (同21.2%増、同6.0%増)
韓国      9466トン  
 (同14.6%増、同73.5%増)

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

米国

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月および前月からかなり減少

 2017年11月の化工でん粉の輸出量は、2万5098トン(前年同月比8.5%減、前月比9.7%減)と前年同月および前月をかなり下回った(図10)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ    7425トン  
 (前年同月比6.4%減、前月比2.0%増)
メキシコ   3341トン  
 (同3.9%減、同4.8%減)
中国     3165トン  
 (同25.9%減、同20.6%減)
コロンビア  885トン  
 (同43.9%減、同43.3%減)
日本     741トン  
 (同4.8%増、同21.9%減)

図10  米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

中国

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月および前月から増加

 2017年11月の化工でん粉の輸出量は、5752トン(前年同月比6.5%増、前月比24.3%増)と前年同月および前月を上回った(図11)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本       2419トン  
 (前年同月比1.1%減、前月比2.7倍)
台湾       565トン  
 (同5.5倍、同22.3%増)
インドネシア  441トン  
 (同3.1%減、同2.2%減)

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

EU

【貿易動向(注)
10月の輸出量は前年同月からやや減少

 2017年10月の化工でん粉の輸出量は、4万5232トン(前年同月比3.0%減、前月比5.4%増)と前年同月をやや下回ったものの前月をやや上回った(図12)。同月の国別輸出量は、次の通り。

トルコ   7851トン  
 (前年同月比7.9%減、前月比2.0%減)
ロシア   6533トン  
 (同20.6%増、同20.3%増)
中国   4496トン  
 (同31.1%減、同13.0%減)
日本   4386トン  
 (同13.0%増、同44.7%増)

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を掲載する。

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

豪州

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月および前月から減少

 2017年11月の化工でん粉の輸出量は、2032トン(前年同月比26.7%減、前月比9.9%減)と前年同月および前月を下回った(図13)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本         1148トン  
 (前年同月比47.7%減、前月比25.9%減)
ニュージーランド  203トン  
 (同48.2%増、同2.4倍)

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

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