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2.日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2018年6月11日

2.日本の品目別主要輸入先国の動向

2018年6月

 本稿中の為替レートは2018年4月末日TTS相場の値であり、1米ドル=110円(110.35円)、1タイバーツ=3.53円、1ユーロ=134円(133.89円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
新年度の需給予測、生産量は前年度からやや減少

 2018年5月、米国農務省(USDA)による2018/19穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測が初めて公表された。これによると、作付面積は8800万エーカー(3561万ヘクタール、前年度比2.4%減)、生産量は140億4000万ブッシェル(3億5663万トン、同3.9%減)とされ、ともに前年度の水準を下回る見込みである。国内消費量は124億9000万ブッシェル(3億1726万トン、同0.4%減)と、飼料など向けが減少する一方、エタノール向けなどが増加することから、前年度と同水準の見込みである(表2)。

【価格動向:トウモロコシ】
新年度の生産者平均販売価格、中間値は前年度を上回る見込み

 同じく2018/19穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.30〜4.30米ドル(363円〜473円)と予測されており、その中間値は3.80米ドル(418円)と前年度の水準を上回る見込みである。

表2 米国のトウモロコシの需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ】
3月の輸出量は前月から大幅に増加も前年同月をやや下回る

 2018年3月のトウモロコシ輸出量は、650万5486トン(前年同月比4.2%減、前月比72.0%増)と前月の水準からは大幅に増加したが、前年同月の水準をやや下回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。

表3 米国のトウモロコシ輸出量(2018年3月)

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり176.10米ドル(1万9371円、前年同月比0.2%安、前月比2.8%高)と前月の水準をわずかに上回ったものの前年同月と同水準であった。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

【貿易および価格動向:コーンスターチ】
3月の輸出量は前年同月および前月から増加

 2018年3月のコーンスターチ輸出量は、8795トン(前年同月比9.5%増、前月比50.0%増)と前年同月および前月の水準をともに上回った(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

表4 米国のコーンスターチ輸出量(2018年3月)

 また、同月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり5.25セント(5.8円、前年同月比6.4%高、前月比1.4%高)と前年同月および前月の水準と比べて上昇した。

(注)1ポンドは0.45キログラム。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同月から大幅上昇

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2018年5月第3週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり16.7バーツ(59.0円、前年同期比49.1%高、前週比0.6%高)と、前年同月の水準を大幅に上回った(図5)。価格高騰の主な要因として、キャッサバ農家価格の低下により、生産者が収益性の高い作物(サトウキビやトウモロコシなど)に転作した結果、キャッサバの供給量が減少したことに加え、中国で競合作物であるトウモロコシ価格が上昇し、キャッサバ製品の需要が増加していることなどが挙げられる。

図5 タイのタピオカでん粉国内価格の推移

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月および前月から増加

 2018年3月のタピオカでん粉輸出量は、28万8129トン(前年同月比15.1%増、前月比5.4%増)と前年同月および前月の水準をともに上回った(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

表5 タイのタピオカでん粉輸出量(2018年3月)

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり523米ドル(5万7530円、前年同月比51.4%高、前月比8.9%高)と前年同月比で大幅高となっており、前月の水準も上回った(図6)。

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ベトナム

【生産動向】
2月の作付面積は前年同月からわずかに増加

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、2018年2月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、8万3131ヘクタール(前年同月比2.2%増)と前年同月の水準をわずかに上回った(表6)。新規作付けがはじまった北部のうち、紅河デルタ地域や北部内陸山岳地域では、前年を大幅に上回って推移している。また、現地トレーダーによると、南部の中央高原地域や南東地域でも、今後の作付面積は、前年を上回る見込みとのことである。これは、2017年中旬からのキャッサバ価格の上昇により、作付面積を拡大する農家が増えると見込んでいるためである。

 同月のキャッサバの供給動向を見ると、北部では、収穫がほとんど終わっているため、供給量はかなり減少している。

 南部の中央高原地域では、収穫期に当たるため、タピオカでん粉工場への出荷が順次行われているが、工場の需要を十分には満たせていない。この要因の一つは、タピオカでん粉同様、タピオカチップの価格も上昇しており、仕向け先が二分されているためである。

 また、南東地域のタイニン省では、収穫期がほぼ終了しているため、でん粉工場は主にカンボジアからの輸入に依存しているが、カンボジアでも収穫期が終わりに近づいており、工場の需要を満たせていない。さらに、カンボジア産キャッサバの品質が低下している(以前は、でん粉1キログラムを製造するために、原料3キログラムであったが、現在では、同3.2〜3.3キログラムが必要)ため、製造コストが上昇し、製造を中止している工場もある。

 このようなことから、ベトナムにおける2017/18年度(8月〜翌7月)のでん粉生産量は、前年度を大幅に下回る見込みである。

表6 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
2月の輸出量は2013年7月以来の低水準

 AgroMonitorによると、2018年2月のタピオカでん粉輸出量は、8万1310トン(前年同月比67.3%減、前月比63.5%減)と、2013年7月以来の低水準となった(図7)。この主な要因は、ベトナムの旧正月(テト)と主要輸出先である中国の旧正月(春節)が重なったことで、一時的に流通が滞ったためである。

図7 ベトナムのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少

 2018年2月のばれいしょでん粉輸出量は、2万3998トン(前年同月比25.3%減、前月比22.1%減)と前年同月および前月の水準を大幅に下回った(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

表7 EUのばれいしょでん粉輸出量(2018年2月)

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり623ユーロ(8万3482円、前年同月比2.5%高、前月比0.2%安)と前年同月の水準をわずかに上回った。

図8  EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

コラム 小麦でん粉の食品以外の用途

 小麦でん粉市場は、他のでん粉に比べ小さいが、小麦生産が盛んな欧州などでは、小麦でん粉の生産量は、価格競争力が高い(注)ことなどから、ここ数年増加傾向で推移しており、消費量も世界的に増加傾向となっている()。特に2016年の生産量増加率が、全ての天然でん粉の中で最も高くなるなど、近年注目されている。

 小麦でん粉は、高温で加熱してもでん粉粒が壊れにくく、冷えても粘度が高いなどの性質を持っているため、日本では主に水産練製品やソーセージなどの「つなぎ」として使われている。しかし、そうした性質と安価であることを利用し、食品以外の用途で使用されることも多いため、今回は、小麦でん粉の食品以外での用途をいくつか紹介する。

(注)小麦でん粉は、製造過程で作られる副産物(小麦グルテンなど)から得られる収益が大きいため、価格競争力が高い。
 



 一つ目は、製本や紙製品の修復、修繕である。日本では古くから小麦でん粉に水を加え、加熱して得られる(しょう)()(のり)と呼ばれる糊を、書画の装丁などのほか、和装本や絵画などの修復に使用してきた。東京都立図書館では、和装本の修理にあたって、素材を傷めない安全な素材であることや、さらなる修復の際に、はがれやすく元の状態に戻せることなどから、正麩糊を用いている。また、米国のインディアナ大学の図書館でも、同様のペーストを本のヒンジの固定や紙を平らにするために用いている。




 

 二つ目は、ペットフードとしての使用である。炭水化物であるでん粉は、エネルギー源としての役割があるが、小麦でん粉は、人の食品同様、ペットフードにおいても最終製品の質感、食感をよくする役割としても使用されている。

 


 

 また、これら以外にも、生分解プラスチックや石こうボードなど、一見するとでん粉が原料となっているとは思えない用途にも使われている。
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月および前月から増加

 2018年3月の化工でん粉の輸出量は、9万9590トン(前年同月比2.2%増、前月比22.9%増)と前年同月および前月の水準をともに上回った(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。

表8 タイの化工でん粉輸出量(2018年3月)

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

米国

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月および前月からかなり増加

 2018年3月の化工でん粉の輸出量は、2万9516トン(前年同月比8.2%増、前月比6.0%増)と前年同月および前月の水準をかなり上回った(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

表9 米国の化工でん粉輸出量(2018年3月)

図10  米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

中国

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月から大幅減も前月からはかなり増加

 2018年3月の化工でん粉の輸出量は、5581トン(前年同月比39.0%減、前月比13.8%増)と前年同月の水準を大幅に下回ったが、前月からはかなり増加した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。

表10 中国の化工でん粉輸出量(2018年3月)

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

EU

【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月から同水準も前月からわずかに減少

 2018年2月の化工でん粉の輸出量は、4万1947トン(前年同月比0.3%減、前月比1.6%減)と前年同月と同水準だったものの前月の水準をわずかに下回った(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

表11 EUの化工でん粉輸出量(2018年2月)

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

豪州

【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からかなり増加も前月からはわずかに減少

 2018年3月の化工でん粉の輸出量は、2258トン(前年同月比8.3%増、前月比1.5%減)と前年同月の水準をかなり上回ったが、前月からはわずかに減少した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。

表12 豪州の化工でん粉輸出量(2018年3月)

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

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