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最終更新日:2018年9月10日
このように、台湾のでん粉生産は非常に限定的であり、多くは製品となった状態での輸入に頼っている。こうした状況から、でん粉生産量に関する統計が存在せず、でん粉の消費に関する統計も公表されていない。なお、でん粉消費量の調査を行っている財団法人中華穀類食品工業技術研究所によると、近年の天然でん粉に対する需要は横ばいであるという。
コラム 毒でん粉事件後の台湾でん粉の安全性確保2013年に台湾で発生した「毒でん粉事件」は、台湾全土で問題となった。これは、日本の厚生労働省に相当する行政院衛生署の調べにより、工業用として使用される無水マレイン酸を含んだでん粉(無水マレイン酸で変性されたでん粉)が、肉団子や点心などの食品へ利用されていることが判明し、でん粉を用いた食品が大量に回収・廃棄された。無水マレイン酸は通常、食品の包装用紙などに使用されるが、でん粉に加えて変性させると、食品にもちもちとした食感を与えることができる。無水マレイン酸の急性毒性は低く、少量の摂取であれば、ただちに健康被害を生じるものではないとされているものの、大量に摂取した場合、腎臓機能に障害を及ぼす可能性がある。これを受け、行政院衛生署は食品衛生管理法を強化した。「食品添加物の規格、適用範囲、適用および制限に関する基準」によって、食品に使用できる21種類の化工でん粉を明らかにし、無水マレイン酸変性の食品への使用は、同法に違反することとなった。さらに、同法によって食品用のでん粉を製造する企業は安全性の証明書の発行が、でん粉を含む食品を販売する業者はその証明書を消費者が見える場所に掲示することが義務とされ、でん粉の供給元は追跡可能でなければならないとされた。 ※日本でも無水マレイン酸およびマレイン酸は、食品添加物として指定されていないため、これらの使用は食品衛生法に抵触する。 |