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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2018年12月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2018年12月

 本稿中の為替レートは2018年10月末日TTS相場の値であり、1米ドル=114円(114.26円)、1タイバーツ=3.48円、1ユーロ=130円(129.93円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
総消費量は下方修正

 2018年11月時点の米国農務省(USDA)による2018/19穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、単収が下方修正された。また、消費関連の数値は、国内消費量のうち、飼料など向けに加え、輸出量も下方修正されたため、総消費量も150億8000万ブッシェル(3億8305万トン、前年度比1.9%増)に下方修正された(表2)。

【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は下値のみ上方修正

 同じく2018/19穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.20〜4.00米ドル(365〜456円)と予測されており、上値は前月同、下値は上方修正となった。これは、消費量などに大きな修正がなかったためと考えられる。

表2 米国のトウモロコシの需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ】
9月の輸出量も前年同月から大幅に増加

 2018年9月のトウモロコシ輸出量は、526万8666トン(前年同月比47.6%増、前月比10.1%減)と前年同月を大幅に上回った一方、前月をかなりの程度下回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり179.69米ドル(2万485円、前年同月比5.0%高、前月比0.5%安)と前年同月をやや上回った一方、前月をわずかに下回った。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

表3 米国のトウモロコシ輸出量(9月)

【貿易および価格動向:コーンスターチ】
9月の輸出量は前年同月からやや増加の一方、前月からはかなりの程度減少

 2018年9月のコーンスターチ輸出量は、1万238トン(前年同月比3.4%増、前月比7.5%減)と前年同月からはやや増加したものの、前月からかなりの程度減少した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。 また、同月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり4.37セント(5.0円、前年同月比6.4%安、前月比9.9%安)と前年同月および前月をともに下回った。

(注)1ポンドは0.45キログラム。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

表4 米国のコーンスターチ輸出量(9月)

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同月から大幅上昇

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2018年11月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり14.8バーツ(51.5円、前年同期比19.9%高、前週比1.7%安)と、引き続き前年同月を大幅に上回った。前年10月から急上昇していた価格は、翌6月にいったん下落したものの、8月末から再度上昇に転じていた。9月も上昇を続け、10月は高止まりしていたものの、同月末から3週連続で下落している(図5)。
 

図5 タイのタピオカでん粉国内価格の推移

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からかなり大きく増加

 2018年9月のタピオカでん粉輸出量は、24万6167トン(前年同月比11.7%増、前月比11.1%減)と前年同月からかなり大きく増加した一方、前月からはかなり大きく減少した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、6月から3カ月連続で前月から下落していたものの、9月は上昇に転じ、1トン当たり505.0米ドル(5万7570円、前年同月比46.9%高、前月比3.3%高)となった(図6)。

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

表5 タイのタピオカでん粉輸出量(9月)

ベトナム

【生産動向】
8月の作付面積は前年同月からかなり減少

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると農業農村開発省(MARD)の統計では2018年8月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、45万1845ヘクタール(前年同月比7.6%減)と前年同月をかなりの程度下回った(表6)。地域別に見ると、北部の紅河デルタ地域が同39.5%減の2989ヘクタール、北部内陸山岳地域が同28.0%減の7万6410ヘクタール、南部のメコン河デルタ地域が同22.8%減の2432ヘクタールといずれも大幅に減少した。

 主産地である南東地域のタイニン省では、モザイク病耐性があるとみられていた品種も含め、ほぼ全域でモザイク病に感染した。モザイク病に感染した場合、単収が大幅に減少するため、作付面積が10〜15%程増加しているにもかかわらず、同省のキャッサバ需給はひっ迫するとみられる。

 ベトナムではカンボジア産キャッサバからもタピオカでん粉を生産しているが、カンボジアにおいてもキャッサバが作付されたほぼ全地域でモザイク病がまん延しているとみられ、影響は非常に大きいことが予測されている。キャッサバ価格の上昇と、タピオカでん粉産業を促進したいカンボジア政府の振興策によって、キャッサバ生産への意欲が高まっていた中、モザイク病に感染した苗木によってウイルスが拡散したとみられる。

表6 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
8月の輸出量は前月同月および前月から大幅に減少

 AgroMonitorによると、2018年8月のタピオカでん粉輸出量は、7万8095トン(前年同月比48.2%減、前月比16.4%減)と、前年同月および前月をともに大幅に下回った(図7)。

図7 ベトナムのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からかなり大きく増加

 2018年8月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万2082トン(前年同月比11.9%増、前月比16.0%減)と前年同月をかなり大きく上回った一方、前月を大幅に下回った(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり637.08ユーロ(8万2820円、前年同月比3.4%高、前月比2.4%高)と前年同月および前月のいずれも上回った。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図8 EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

表7 EUのばれいしょでん粉輸出量(8月)

コラム フランスにおける小麦でん粉の生産について

 フランスは、世界有数の小麦生産地であり、小麦でん粉の生産も盛んである。同国では小麦の他、トウモロコシやばれいしょを原材料にでん粉が生産されているが、ここ数年のでん粉生産量の44%は、小麦由来のものが占める()。

 同国の小麦のでん粉仕向け割合を見てみると2015年は、小麦生産量の7240万トンのうち3%がでん粉(グルテンを含む)の生産に仕向けられた。また、小麦でん粉の使用方法に目を向けると2014年は、数量ベースで非食品分野(製紙や薬品、化学製品など)に53%、食品(パンや製菓、飲料など)に47%が利用された。

 さらに、同国でのここ数年の小麦および小麦でん粉の生産に関わる要因を見てみると、2014年は天候不順の影響を受け、原料となる小麦の生産量は減少したものの、2015年は平年並みの気候となり生産量は回復した。2016年は、例年にはない時期の降雨によって日照時間が不足し、小麦の単収が低下したことを受け、不足分のでん粉用の小麦をブルガリアなどから輸入し、小麦でん粉を製造した。2017年は、小麦生産に適した天候となったため、小麦生産量は回復した。
 

 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からかなりの程度減少の一方、前月からは増加

 2018年9月の化工でん粉の輸出量は、9万958トン(前年同月比7.2%減、前月比7.5%増)と前年同月からかなりの程度減少の一方、前月からは増加となった(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表8 タイの化工でん粉輸出量(9月)

米国

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からかなり大きく増加した一方、前月からかなりの程度減少

 2018年9月の化工でん粉の輸出量は、3万1097トン(前年同月比14.8%増、前月比9.1%減)と前年同月からかなり大きく増加した一方、前月からかなりの程度減少した(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

図10  米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表9 米国の化工でん粉輸出量(9月)

中国

【貿易動向(注)
3月の輸出量は前年同月から大幅減も前月からはかなり増加

 2018年3月の化工でん粉の輸出量は、5581トン(前年同月比39.0%減、前月比13.8%増)と前年同月の水準を大幅に下回ったが、前月からはかなり増加した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表10 中国の化工でん粉輸出量(3月)

EU

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からわずかに、前月からはかなりの程度増加

 2018年8月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万5614トン(前年同月比1.2%増、前月比8.7%増)と前年同月をわずかに、また、前月からはかなりの程度増加した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表11

豪州

【貿易動向(注)
8月の輸出量は前年同月からはかなりの程度減少したものの前月からはわずかに増加

 2018年8月の化工でん粉の輸出量は、2271トン(前年同月比10.0%減、前月比0.5%増)と前年同月からかなりの程度減少したものの、前月からはわずかに増加した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。

(注)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

表12 豪州の化工でん粉輸出量(8月)

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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