2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2019年4月10日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2019年4月
本稿中の為替レートは2019年 2月末日TTS相場の値であり、1米ドル=112円(111.87円)、1タイ・バーツ=3.60円、1ユーロ=128円(127.59円)である。
トウモロコシ・コーンスターチ
米国
【需給動向:トウモロコシ】
総消費量は下方修正
2019年3月時点の米国農務省(USDA)による2018/19穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、前回から変更はなかった。また、消費関連の数値は、国内消費量のうち、エタノール向けを含む食品・種子・その他工業向けの数値が前月に引き続き下方修正されたことなどから、総消費量は147億6500万ブッシェル(3億7505万トン、前年度比0.2%減)に下方修正された(表2)。
【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は下値は前月同の一方、上値は下方修正
同じく2018/19穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.35〜3.75米ドル(375〜420円)と予測され、下値は前月同の一方、上値は下方修正された。
【貿易動向:トウモロコシ】
12月の輸出量は前年同月から大幅に増加したものの、前月からはかなり大きく減少
2018年12月のトウモロコシ輸出量は、436万1242トン(前年同月比21.9%増、前月比14.8%減)と前年同月を大幅に上回ったものの、前月と比べるとかなり大きく下回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり182.65米ドル(2万457円、前年同月比5.2%高、前月比1.3%高)と前年同月をやや、また前月をわずかに上回った。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
【貿易および価格動向:コーンスターチ】
12月の輸出量は前年同月からは大幅に増加も、前月からは大幅に減少
2018年12月のコーンスターチ輸出量は、7813トン(前年同月比24.1%増、前月比32.0%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月からは大幅に減少した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。
2018年12月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり5.31セント(5.9円、前年同月比19.9%高、前月比7.3%高)と前年同月および前月ともに上回った。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
タピオカでん粉
タイ
【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同期からかなり大きく下落
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2019年3月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.6バーツ(49.0円、前年同期比11.7%安、前週比同)となった。2017年9月26日以降、前年同期を上回って推移していたタピオカでん粉の国内価格は、2018年末にかけて下落し、2019年1月末に前年同期の価格を下回って以降、ほぼ一定で推移している(図5)。
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月からかなり大きく、前月からは大幅に増加
2019年1月のタピオカでん粉輸出量は、29万3177トン(前年同月比13.2%増、前月比26.5%増)と前年同月からはかなり大きく、また前月からは大幅に増加した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、2017年は1トン当たり340米ドル(3万8080円)前後で推移していたものの、同年11月以降同400米ドル(4万4800円)台に上昇し2018年は430〜550米ドル(4万8160円〜6万1600円)の間で推移した。2019年1月は同445.0米ドル(4万9840円、前年同月比0.3%高、前月同)と前年同月とほぼ同じ価格に落ち着いた(図6)。
ベトナム
【生産動向】
12月の作付面積は前年同月からやや減少
ベトナムの調査会社AgroMonitorによると農業農村開発省(MARD)の統計では2018年12月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、前月比4.8%とやや拡大したものの、51万5845ヘクタール(前年同月比3.4%減)と前年同月をやや下回った(表6)。南東地域の増加が著しく、前月と比較すると27.9%増となった。
主産生産地の中央高原地域のザライ省と南東地域のタイニン省で7万ヘクタールにキャッサバの作付けが行われている。特にタイニン省では、新植が行われた11〜12月は好天に恵まれた。2018年はサトウキビ価格の下落によって、サトウキビではなくキャッサバの生産を選択する生産者が増えたことから、前年同期の倍の量のキャッサバの作付けが行われている。
一方で、北部ではキャッサバの収穫期を迎えているため、作付けはほとんど実施されていない。同地域では、収穫に適する乾燥した気候となり、収穫されたキャッサバはでん粉含有量が27%超と好調である。ただし、同じく収穫の最盛期を迎える中央高原地域などでは、雨によって根が腐るなど、悪影響が出ている。なお、タイニン省では、でん粉原料となるキャッサバが不足していることから、依然として隣国カンボジアからの原料輸入に頼っている。
【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度減少
AgroMonitorによると、2018年12月のタピオカでん粉輸出量は、16万9773トン(前年同月比24.1%減、前月比10.0%減)と、前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度減少した(図7)。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく減少
2018年12月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万4074トン(前年同月比24.8%減、前月比13.9%減)と前年同月を大幅に、前月からはかなり大きく減少した(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり732.61ユーロ(9万3774円、前年同月比16.5%高、前月比3.7%高)と前年同月からは大幅に、前月はやや上回った。
また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり732.61ユーロ(9万3774円、前年同月比16.5%高、前月比3.7%高)と前年同月からは大幅に、前月はやや上回った。
(注)輸出先の不明なものを除く。
コラム 中国政府はEU産ばれいしょでん粉に対するアンチダンピング措置を継続
2019年2月19日に中国商務部は、公告2019年第4号により、EU産ばれいしょでん粉に対するアンチダンピング措置をさらに5年間継続することを公表した。商務部によって実施された調査で、この措置を終了した場合、中国国内のでん粉産業が損害を被るとされたためである。これにより、EU産ばれいしょでん粉に対して、12.6〜56.7%のアンチダンピング税が継続して課せられることとなった。この措置は2007年から2度にわたり更新されており、昨年、見直しが行われることが発表されたが、今回、さらに継続となった。
なお、同公告によると、ばれいしょでん粉は、中国では乳化剤、増粘剤、安定剤、膨張剤、賦形剤として、インスタント食品、ハム・ソーセージ、冷凍食品、ソース類、水産練り製品などの加工食品に幅広く利用されているという。
この発表に対して、EUのでん粉製造企業が加盟する団体であるスターチヨーロッパは、10年以上続く中国のEU産ばれいしょでん粉に対するアンチダンピング措置の停止と中国のばれいしょでん粉産業が本当に脆弱(ぜいじゃく)なのかを精査するよう中国政府へ求めている。 |
化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。
タイ
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月からやや増加したものの、前月からはわずかに減少
2019年1月の化工でん粉の輸出量は、8万3221トン(前年同月比3.2%増、前月比0.3%減)と前年同月からやや増加したものの、前月からはわずかに減少した(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。
米国
【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月からやや増加したものの、前月からはかなりの程度減少
2018年12月の化工でん粉の輸出量は、2万5610トン(前年同月比5.4%増、前月比8.9%減)と前年同月からはやや増加したものの、前月からはかなりの程度減少となった(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
中国
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月から大幅に増加したものの、前月からは大幅に減少
2019年1月の化工でん粉の輸出量は、7844トン(前年同月比25.1%増、前月比36.1%減)と前年同月からは大幅に増加したものの、前月からは大幅に減少した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。
EU
【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に減少
2018年12月の化工でん粉の輸出量(注)は、3万4171トン(前年同月比11.2%減、前月比21.3%減)と前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に減少した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。
(注)輸出先の不明なものを除く。
豪州
【貿易動向】
12月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に減少
2018年12月の化工でん粉の輸出量は、1910トン(前年同月比7.5%減、前月比25.7%減)と前年同月からかなりの程度、前月からは大幅に減少した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。
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