2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2019年5月14日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2019年5月
本稿中の為替レートは2019年 3月末日TTS相場の値であり、1米ドル=112円(111.99円)、1タイ・バー ツ=3.57円、1ユーロ=126円(126.06円)である。
トウモロコシ・コーンスターチ
米国
【需給動向:トウモロコシ】
総消費量は下方修正
2019年4月時点の米国農務省(USDA)による2018/19穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、前回から変更はなかった。また、消費関連の数値は、国内消費量のうち、飼料など向けおよびエタノール向けを含む食品・種子・その他工業向けの数値が下方修正されたため、総消費量は145億6500万ブッシェル(3億6997万トン、前年度比1.6%減)に下方修正された(表2)。
【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は、下値は上方修正、上値は下方修正
同じく2018/19穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.40〜3.70米ドル(381〜414円)と予測され、下値は上方修正、上値は下方修正された。
【貿易動向:トウモロコシ】
1月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からはかなりの程度増加
2019年1月のトウモロコシ輸出量は、468万2224トン(前年同月比21.5%増、前月比7.4%増)と前年同月を大幅に、前月と比べるとかなりの程度上回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり182.68米ドル(2万460円、前年同月比6.0%高、前月同)と前年同月をかなりの程度上回ったが、前月とは同水準となった。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
【貿易および価格動向:コーンスターチ】
1月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加
2019年1月のコーンスターチ輸出量は、9658トン(前年同月比38.6%増、前月比23.6%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。
2019年1月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり5.69セント(6.4円、前年同月比18.3%高、前月比7.2%高)と前年同月および前月ともに上回った。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
タピオカでん粉
タイ
【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同期からかなり大きく下落
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2019年4月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.8バーツ(49.3円、前年同期比13.8%安、前週比同)となった。2017年9月26日以降、前年同期を上回って推移していたタピオカでん粉の国内価格は、2018年末にかけて下落し、2019年1月末に前年同期の価格を下回った。その後、徐々に上昇し、3月18日に今年初めと同水準まで持ち直し、そのまま1カ月が経過している(図5)。
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加
2019年2月のタピオカでん粉輸出量は、35万1541トン(前年同月比28.6%増、前月比19.9%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、同450.0米ドル(5万400円、前年同月比6.3%安、前月比1.1%高)と、前年同月よりかなりの程度低い水準となった(図6)。
【※文章および図を修正しました(2019.10.31)】
ベトナム
【生産動向】
2月の作付面積は前年同月から大幅に拡大
ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、農業農村開発省(MARD)の統計では2019年2月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、9万4252ヘクタール(前年同月比18.5%増)と前年同月を大幅に上回った(表6)。特に、北部中央地域の増加が著しく、前年同期と比べるとクアンチ州では約3倍の1万1780ヘクタールと大幅に増加しており、地域全体では4倍超となった。一方、主要生産地である南東地域のタイニン省は前年同期比5%減の2万5653ヘクタールとなった。
同時期のベトナムでは、中央高原地域などでは収穫が最盛期を迎え、これは3月末から4月まで続くとみられる。収穫が終わった地域から、作付けが本格化するとみられ、北部では新植が1月からすでに始まっている地域もある。主産生産地である中央高原地域や南東地域のタイニン省の2019年度の作付面積は、2倍まで増えると見込まれている。これは、ベトナムにおいて、砂糖の販売不振が続いており、サトウキビの収益性の悪化への懸念があることから、生産者がサトウキビからキャッサバへ転作を進めていることによる。
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月からはやや減少したものの、前月からは大幅に増加
AgroMonitorによると、2019年1月のタピオカでん粉輸出量は、20万385トン(前年同月比5.6%減、前月比23.9%増)と、前年同月からはやや減少したものの、前月からは大幅に増加した(図7)。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月からは大幅に減少したものの、前月からはわずかに増加
2019年1月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万4688トン(前年同月比19.8%減、前月比2.5%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月からはわずかに増加した(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。
また、同月の輸出価格(FOB)は2018年10月から4カ月連続で上昇を続けており、1トン当たり749.55ユーロ(9万4443円、前年同月20.2%高、前月比2.3%高)と前年同月の624.17ユーロ(7万8645円)から大幅に上回った。
(注)輸出先の不明なものを除く。
コラム 中国商務部がEU産ばれいしょでん粉に関する調査を公表
2019年2月19日に中国商務部は、中国でん粉産業協会(CSIA)(注1)からの要請により行ったEU産ばれいしょでん粉に関する調査の結果を報告した。
この報告書によると、EUおよび中国の状況は以下の通りである。
EU
・ばれいしょでん粉の生産量は安定して推移しているものの、域内の消費量が減っていることから、輸出へ仕向けられる量が増加傾向にある。
・フランスなど一部のでん粉原料用ばれいしょ生産国において助成金(注2)が支払われており、ばれいしょでん粉が安価に生産されている。
中国
・ばれいしょでん粉の需要が増加傾向にあるものの、国内では増産が追い付いていない。
・安価なEU産ばれいしょでん粉が多く輸入されることによって、国内の中国産のシェアを奪い、中国産ばれいしょでん粉価格を押し下げる要因となっている。
・価格の低迷によって、国内のばれいしょでん粉産業への融資やプロジェクトの中止が起こり、中国の経済にも悪影響を及ぼす。
この調査結果を根拠に、中国商務部は、2007年から課しているEU産ばれいしょでん粉に対するアンチダンピング措置の継続も同日に公表した(商務部公告2019年第4号)。
(注1)中国のばれいしょでん粉の生産量の半分以上を占める中国国内の24の企業が加盟する生産者団体。
(注2)欧州委員会によって任意カップル支払い(支払基準と現実の生産量がリンクした支払い方法)が認められており、フランス、ポーランド、フィンランド、チェコ、ラトビアではでん粉原料用ばれいしょの作付面積に応じて、直接支払いが行われている。
(参考)砂糖類・でん粉情報2019年4月号「でん粉の国際需給 2.日本の品目別主要輸入先国の動向」
コラム「中国政府はEU産ばれいしょでん粉に対するアンチダンピング措置を継続」
|
化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。
タイ
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月および前月からやや減少
2019年2月の化工でん粉の輸出量は、7万8548トン(前年同月比3.0%減、前月比5.6%減)と前年同月および前月からやや減少した(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。
米国
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加
2019年1月の化工でん粉の輸出量は、2万7563トン(前年同月比18.8%増、前月比9.6%増)と前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加となった(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
中国
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月から大幅に増加したものの、前月からはかなり大きく減少
2019年2月の化工でん粉の輸出量は、6705トン(前年同月比36.7%増、前月比14.5%減)と前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはかなり大きく減少した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。
EU
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月からはわずかに、前月からは大幅に増加
2019年1月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万2830トン(前年同月比2.0%増、前月比25.3%増)と前年同月からはわずかに、前月からは大幅に増加した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。
(注)輸出先の不明なものを除く。
豪州
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月からはわずかに増加の一方、前月からはやや減少
2019年1月の化工でん粉の輸出量は、1823トン(前年同月比2.9%増、前月比3.6%減)と前年同月からはわずかに増加の一方、前月からはやや減少した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272