2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2019年6月10日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2019年6月
本稿中の為替レートは2019年 4月末日TTS相場の値であり、1米ドル=113円(112.85円)、1タイバーツ=3.56円、1ユーロ=126円(125.88円)である。
トウモロコシ・コーンスターチ
米国
【需給動向:トウモロコシ】
新年度の需給予測、生産量は前年度からやや増加する見込み
2019年5月、米国農務省(USDA)による2019/20穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測が初めて公表された。これによると、作付面積は9280万エーカー(3756万ヘクタール、前年度比4.2%増)、生産量は150億3000万ブッシェル(3億8178万トン、同4.2%増)とされ、ともに前年度の水準をやや上回る見込みである。国内消費量は、飼料など向けはやや、その他向けはわずかに増加することから、124億ブッシェル(3億1497万トン、同1.6%増)と、前年度からはわずかに増加する見込みである(表2)。
【価格動向:トウモロコシ】
新年度の生産者平均販売価格は前年度を下回る見込み
同じく2019/20穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.30米ドル(373円)と前年度を5.7%下回る見込みである。
【貿易動向:トウモロコシ】
2月の輸出量は前年同月からはやや、前月からは大幅に減少
2019年2月のトウモロコシ輸出量は、363万1302トン(前年同月比4.0%減、前月比22.4%減)と前年同月をやや、前月と比べると大幅に下回った(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり184.00米ドル(2万792円、前年同月比7.5%高、前月比0.7%高)と前年同月をかなりの程度、前月からはわずかに上回った。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
【貿易および価格動向:コーンスターチ】
2月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなりの程度増加
2019年2月のコーンスターチ輸出量は、1万599トン(前年同月比80.7%増、前月比9.7%増)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度増加した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。
2019年2月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり5.85セント(6.6円、前年同月比12.8%高、前月比2.7%高)と前年同月および前月ともに上回った。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
タピオカでん粉
タイ
【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同期から大幅に下落
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2019年5月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.6バーツ(48.4円、前年同期比17.6%安、前週比同)となった。2017年9月26日以降、前年同期を上回って推移していたタピオカでん粉の国内価格は、2018年末にかけて下落し、2019年1月末に前年同期の価格を下回った。その後、徐々に価格が上昇し、3月18日に今年始めと同価格まで持ち直したものの、5月第1週にわずかに下落し13.6バーツとなった(図5)。
【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からかなり大きく増加の一方、前月からはかなりの程度減少
2019年3月のタピオカでん粉輸出量は、33万529トン(前年同月比14.7%増、前月比6.0%減)と前年同月からかなり大きく増加の一方、前月からはかなりの程度減少した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、同460.0米ドル(5万1980円、前年同月比12.0%安、前月比2.2%高)と、前年同月よりかなり低い水準となった(図6)。
【※文章および図を修正しました(2019.10.31)】
ベトナム
【生産動向】
3月の作付面積は前年同月からかなり大きく拡大
ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、農業農村開発省(MARD)の統計では2019年3月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、前月から3割増となったことから、12万3112ヘクタール(前年同月比12.6%増)と前年同月をかなり大きく上回った(表6)。特に、北部中央地域での拡大が著しく、前月比4.2倍となった。これは同地域でキャッサバの収穫が終盤となり、次期の新植を行ったためである。ただし、現地の生産者によると、水不足から多くのキャッサバが枯れ、再度の作付けが必要な状況であるという。なお、今年の雨季の到来は例年と比べて1カ月遅れの5月初旬になると予測されている。
主要生産地域であるタイニン省では、前月から作付面積が22.4%(3万1000ヘクタール)増加したものの、前年同期と比べると5.9%減少している。同省では暑さが最も厳しい時期で雨が少なく、地面が固くなっているため、キャッサバの収穫が困難な状況にあることから、新植が進んでいない。このため、タピオカでん粉の原料として、カンボジアから1日当たり3000〜4000トンほどのキャッサバが輸入されている。
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月からは大幅に増加したものの、前月からは大幅に減少
AgroMonitorによると、2019年2月のタピオカでん粉輸出量は、10万5986トン(前年同月比30.3%増、前月比49.6%減)と、前年同月からは大幅に増加したものの、前月からは大幅に減少した(図7)。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に減少
2019年2月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万453トン(前年同月比14.6%減、前月比16.9%減)と前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に減少した(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。
また、同月の輸出価格(FOB)は2018年10月から5カ月連続で上昇を続けており、1トン当たり791.17ユーロ(9万9687円、前年同月27.0%高、前月比5.5%高)と前年同月の622.88ユーロ(7万8482円)から大幅に上回った。
(注)輸出先の不明なものを除く。
コラム ロシアのでん粉(1)
ロシアのでん粉産業は成長産業であり、2018年の天然でん粉生産量は前年比22.9%増の28万1288トンとなった。また、生産設備や研究費の不足から発展途上とされる化工でん粉においても生産量は同約2倍の4万569トンとなった(図)。
同国における主要なでん粉用原料は、トウモロコシ、ばれいしょおよび小麦であり、これらで99.5%を占める。この他、少量であるが、エンドウマメ、そばの実、ソルガム、コメ、大麦といった原料から生産されるでん粉も見られる。天然でん粉を原料ごとの販売額ベースで見ると、コーンスターチが7割、ばれいしょでん粉が2割を占める。化工でん粉については、でん粉販売額全体の1割程度を占める。なお、でん粉の需要の8割は工業向けである。
でん粉やでん粉関連製品を製造している企業は国内に約30社あるが、このうち大企業とされる10社の生産量が99%を占めている。でん粉需要量に占める輸入量の割合は減少傾向にあり、2012年に2割超であったものが、2017年には16%程に減少している。詳しくは次号で述べる。
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化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。
タイ
【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に増加
2019年3月の化工でん粉の輸出量は、11万922トン(前年同月比11.4%増、前月比41.2%増)と前年同月からはかなり大きく、前月からは大幅に増加した(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。
米国
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月および前月からかなりの程度減少
2019年2月の化工でん粉の輸出量は、2万4880トン(前年同月比10.7%減、前月比9.7%減)と前年同月および前月からかなりの程度減少となった(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
中国
【貿易動向】
3月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加
2019年3月の化工でん粉の輸出量は、8157トン(前年同月比46.2%増、前月比21.7%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。
EU
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度減少
2019年2月の化工でん粉の輸出量(注)は、3万8698トン(前年同月比16.6%減、前月比9.6%減)と前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度減少した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。
(注)輸出先の不明なものを除く。
豪州
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月からはやや減少の一方、前月からは大幅に増加
2019年2月の化工でん粉の輸出量は、2184トン(前年同月比4.7%減、前月比19.8%増)と前年同月からはやや減少の一方、前月からは大幅に増加した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。
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