2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2019年8月8日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2019年8月
本稿中の為替レートは2019年 6月末日TTS相場の値であり、1米ドル=109円(108.79円)、1タイ・バーツ=3.58円、1ユーロ=124円(123.99円)である。
トウモロコシ・コーンスターチ
米国
【需給動向:トウモロコシ】
生産量、消費量ともに上方修正
2019年7月時点の米国農務省(USDA)による2019/20穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、作付面積が前月の予測よりも上方修正されたことから、単収は変わらないものの、生産量は138億7500万ブッシェル(3億5244万トン、前年度比3.8%減)に上方修正された。また、消費関連の数値は、国内消費量のうち、食品・種子・工業など向けの下方修正を上回って飼料など向けが上方修正されたことから、総消費量は142億5500万ブッシェル(3億6209万トン、同1.0%減)に上方修正された(表2)。
【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は下方修正
2019/20穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.70米ドル(403円)と予測され、下方修正された。
【貿易動向:トウモロコシ】
4月の輸出量は前年同月からは大幅に減少したものの、前月からはかなり大きく増加
2019年4月のトウモロコシ輸出量は、548万5939トン(前年同月比28.4%減、前月比14.6%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月と比べるとかなり大きく増加した(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり182.84米ドル(1万9930円、前年同月比2.4%高、前月比0.4%安)と前年同月と比べるとわずかに上がったものの、前月からはわずかに下落した。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
【貿易および価格動向:コーンスターチ】
4月の輸出量は前年同月から大幅に増加したものの、前月からかなり大きく減少
2019年4月のコーンスターチ輸出量は、1万200トン(前年同月比29.1%増、前月比13.2%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月からはかなり大きく減少した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。
2019年4月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり5.76セント(6.3円、前年同月比10.0%高、前月比1.0%安)と前年同月をかなりの程度上回ったものの、前月からはわずかに下回った。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
タピオカでん粉
タイ
【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同期からかなり大きく下落
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2019年7月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.0バーツ(46.5円、前年同期比15.6%安、前週同)となった。2018年を通じて高騰していたタピオカでん粉の国内価格は、同年末にかけて下落し、2019年1月末に前年同期の価格を下回り、それ以降、前年同期をかなり大きく下回る金額で推移している。6月末には2019年で最も低い13.0バーツまで落ち込み、7月に入ってもそのまま推移している(図5)。
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月から大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少
2019年5月のタピオカでん粉輸出量は、19万4660トン(前年同月比17.7%増、前月比0.4%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり451.3米ドル(4万9192円、前年同月比18.0%安、前月比2.7%安)と、前年同月からは大幅に、前月からはわずかに下落した。
【※文章および図を修正しました(2019.10.31)】
ベトナム
【生産動向】
5月の作付面積は前年同月からやや減少したものの、前月からは大幅に増加
ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、農業農村開発省(MARD)の統計では2019年5月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、前月と比べると57.4%増となったものの、21万8251ヘクタール(前年同月比3.9%減)と前年同月をやや下回った(表6)。
減少は北部で目立ち、同地の作付面積は前年同月比19.8%減となった。北部内陸山岳地域のソンラ省では、暑く晴れた日が続き、水不足となっていることから、作付け作業が進んでいない。さらに、作付された圃場のうち約4割でキャッサバが枯死しているが、苗木が不足しているため、枯死した圃場に再度苗木を植える作業も進まない状況にある。キャッサバを取り扱う業者によると、同省ではトウモロコシ価格の低迷から、トウモロコシからキャッサバへ転作が進み、前年度比15〜20%増の作付面積の増加を見込んでいたものの、予測通りにはなっていないという。
一方、南部では中央高原地域を除き前年同月比で増加している。これは南東地域やメコン河デルタ地域では2018年にキャッサバの価格が急騰したためである。主要生産地域であるタイニン省は南東地域にあり、前月比51.2%増の3万3421ヘクタール(前年同月比31.8%増)と好調である。なお、中央高原地域では、雨季の到来が昨年よりも1カ月遅れたことによって、作付けの進行が遅れている。
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月から大幅に増加したものの、前月からはやや減少
AgroMonitorによると、2019年4月のタピオカでん粉輸出量は、19万8539トン(前年同月比36.2%増、前月比5.8%減)と、前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはやや減少した(図7)。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からはかなり大きく減少したものの、前月からはかなりの程度増加
2019年4月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万1472トン(前年同月比13.5%減、前月比7.3%増)と前年同月からはかなり大きく減少したものの、前月からはかなりの程度増加した(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。
また、輸出価格(FOB)は2018年10月から7カ月連続で上昇を続けており、1トン当たり833.39ユーロ(10万3340円、前年同月比32.6%高、前月比1.7%高)と前年同月の628.47ユーロ(7万7930円)を大幅に上回った。
(注)輸出先の不明なものを除く。
コラム 欧州の糖化製品需給動向(1)
EUでは小麦でん粉またはコーンスターチ由来の異性化糖(注)の生産が行われており、砂糖より安価な甘味料として食品や飲料を中心に利用されている。異性化糖は生産割当制度により年間生産量が9カ国で約72万トン(白糖換算、以下同じ)に制限されていたが、2016/17年度(10月〜翌9月)末をもって同制度が廃止され、生産の上限が撤廃された。
多くの業界関係者は、この撤廃後、異性化糖の生産量が増加すると見込んでいた。しかし、現在、砂糖の国際価格が低迷していることから、異性化糖の生産は伸び悩んでいる。これは、でん粉を糖化させるよりも天然でん粉または化工でん粉として販売した方が利益率がよいとされるためである。このような状況を受け、2017/18年度の異性化糖の生産量は、撤廃前をかなり大きく下回る前年度比12%減の60万2024トンとなった(コラム−表)。最近の生産動向について、詳しくは次号で述べる。
(注)国際的な取引上では、異性化糖は、果糖含有率42%(日本農林規格(JAS)による分類では「ブドウ糖果糖液糖」に含まれる)、果糖含有率55%(同「果糖ブドウ糖液糖」に含まれる)および果糖含有率90%以上(同「高果糖液糖」に含まれる)―に分類される。
EUでは、異性化糖は、欧州委員会規則に基づき、ブドウ糖または果糖を主成分とする液状の糖であって、果糖含有率10%以上の製品と定義されている。なお、同規則で、異性化糖は「イソグルコース(isoglucose)」と表記されており、EUではその名称で呼ばれることが多い。
参考 「生産割当廃止を迎えたEUの砂糖および異性化糖産業の動向」『砂糖類・でん粉情報』(2017年12月号) https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001624.html
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化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。
タイ
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月および前月からやや増加
2019年5月の化工でん粉の輸出量は、8万6685トン(前年同月比5.1%増、前月比5.9%増)と前年同月および前月からやや増加した(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。
米国
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはやや増加
2019年4月の化工でん粉の輸出量は、3万2061トン(前年同月比16.4%増、前月比4.8%増)と前年同月からは大幅に、前月からはやや増加となった(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
中国
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加
2019年5月の化工でん粉の輸出量は、1万142トン(前年同月比34.7%増、前月比88.0%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。
EU
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からはやや減少したものの、前月からはわずかに増加
2019年4月の化工でん粉の輸出量
(注)は、4万1690トン(前年同月比3.6%減、前月比2.7%増)と前年同月からはやや減少したものの、前月からはわずかに増加した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。
(注)輸出先の不明なものを除く。
豪州
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加
2019年4月の化工でん粉の輸出量は、2421トン(前年同月比20.0%増、前月比9.7%増)と前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。
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