2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2019年11月11日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2019年11月
本稿中の為替レートは2019年 9月末日TTS相場の値であり、1米ドル=109円(108.92円)、1タイ・バーツ=3.61円、1ユーロ=120円(119.52円)である。
トウモロコシ・コーンスターチ
米国
【需給動向:トウモロコシ】
生産量および総消費量はそれぞれわずかに、期末在庫はかなり大きく下方修正
2019年10月時点の米国農務省(USDA)による2019/20穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、作付面積が下方修正されたことから、生産量は137億7900万ブッシェル(3億5000万トン、前年度比4.4%減、前月予測比0.1%減)とわずかに下方修正された。消費関連の数値は、国内消費量のうち食品・種子・その他工業向けやエタノール向けおよび輸出量が下方修正されたことから、総消費量は140億1500万ブッシェル(3億5600万トン、同3.2%減、同0.6%減)とわずかに下方修正された。また、2018/19穀物年度の期末在庫が前月予測比13.5%減でかなり大きく下方修正されたことから、2019/20穀物年度の期末在庫も19憶2900万ブッシェル(4900万トン、同8.8%減、同11.9%減)とかなり大きく下方修正された(表2)。
【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は上方修正
2019/20穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.80米ドル(414円)と予測され、上方修正された。
【貿易動向:トウモロコシ】
7月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度減少
2019年7月のトウモロコシ輸出量は、289万5218トン(前年同月比57.3%減、前月比6.0%減)と前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度減少した(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり197.8米ドル(2万1560円、同8.2%高、同3.6%高)と前年同月からはかなりの程度、前月からはやや上昇した。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
【貿易動向:コーンスターチ】
7月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に減少
2019年7月のコーンスターチ輸出量は、8581トン(前年同月比10.5%減、前月比31.4%減)と前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に減少した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。
同月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり8.62セント(9.4円、前年同月比87.0%高、前月比4.0%高)と前年同月からは大幅に、前月からはやや上昇した。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
タピオカでん粉
タイ
タピオカでん粉国内価格は前年同期をかなり大きく下回るものの、安定して推移
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2019年10月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.3バーツ(48円、前年同期比14.2%安、前週同)となった。2018年を通じて高騰していたタピオカでん粉の国内価格は同年末にかけて下落し、2019年は同13〜14バーツ(47〜51円)の間で安定して推移している(図5)。
【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からは大幅に減少したものの、前月からは大幅に増加
2019年8月のタピオカでん粉輸出量は、22万8393トン(前年同月比18.1%減、前月比20.2%増)と前年同月からは大幅に減少したものの、前月からは大幅に増加した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり450.0米ドル(4万9050円、前年同月比7.9%安、前月比1.6%高)と、前年同月からはかなりの程度下落したものの、前月からはわずかに上昇した。9月の輸出価格は、同455.0米ドル(4万9595円、前年同月比9.9%安、前月比1.1%高)と、前年同月からはかなりの程度下落したものの、前月からはわずかに上昇した。
ベトナム
【生産動向】
8月の作付面積は前年同月からはわずかに減少したものの、前月からはかなり大きく増加
ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、農業農村開発省(MARD)の統計では2019年8月15日時点で、キャッサバが作付けされている面積は、45万1102ヘクタール(前年同月比0.2%減、前月比12.8%増)と前年同月からはわずかに減少したものの、前月からはかなり大きく増加した(表6)。地域別に見ると、ベトナム北部の作付面積は13万1034ヘクタール(同1.5%減、同26.1%増)、南部の作付面積は32万68ヘクタール(同0.4%増、同8.2%増)となった。
南部の中央高原地域に属し、最大の生産州であるザライ省では、今期作付面積は6万5000ヘクタール(同1.6%増、前月同)となった。南東地域に属し、第2位の作付面積を誇るタイニン省では、今期作付面積は5万ヘクタール(同0.1%増、前月比16.7%増)となり、平地では8月に収穫の終盤を、高地では9月初旬に収穫の最盛期を迎えた。干ばつおよび洪水の被害を受けた中央高原地域のダクラク省と、干ばつおよびキャッサバモザイクウイルスの被害を受けた南部沿岸地域のフーイエン省では、キャッサバの生産量が当初の見込みよりも落ち込むとされている。
【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加
AgroMonitorによると、2019年8月のタピオカでん粉輸出量は、16万6828トン(前年同月比2.1倍、前月比6.3%増)と、前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加した(図7)。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に増加
2019年7月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万8252トン(前年同月比7.5%増、前月比51.0%増)と前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に増加した(図8)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。
また、同月の輸出価格(FOB)は1トン当たり823ユーロ(9万8760円、前年同月比32.5%高、前月比0.5%高)と前年同月からは大幅に、前月からはわずかに上昇した。
(注)輸出先の不明なものを除く。
コラム オランダのばれいしょでん粉生産について(2)
オランダでは、世界でも大手のでん粉製造企業などがばれいしょでん粉生産を行っている。
ばれいしょでん粉は、トウモロコシや小麦から生産されたでん粉と比べ、色や味がほとんどなく、低温でも糊化するなど他のでん粉にはない特徴を有することから、比較的高価であっても食品から製紙、繊維などさまざまな分野で利用されている。しかし、食品向けのでん粉は非食品向けより高値で販売できることから、近年オランダに限らずEU全体で食品分野への仕向け割合が増加している(コラムー図)。
上述の企業は、でん粉派生製品として、アイスクリームが解ける速度を遅くする機能製品やばれいしょ由来のタンパク質をベースとした植物性のチーズ代替品などを既に開発しているが、昨年、ばれいしょでん粉やタンパク質のさらなる用途を開発するための研究所をオランダに設立し、競争力強化に努めている。
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化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。
タイ
【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からはわずかに減少したものの、前月からはわずかに増加
2019年8月の化工でん粉の輸出量は、8万2115トン(前年同月比2.9%減、前月比0.7%増)と前年同月からはわずかに減少したものの、前月からはわずかに増加した(図9)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。
米国
【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月からはやや、前月からはかなりの程度増加
2019年7月の化工でん粉の輸出量は、2万7253トン(前年同月比3.0%増、前月比10.1%増)と前年同月からはやや、前月からはかなりの程度増加した(図10)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
中国
【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加
2019年8月の化工でん粉の輸出量は、1万2151トン(前年同月比2.0倍、前月比98.1%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。
EU
【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加
2019年7月の化工でん粉の輸出量(注)は、5万480トン(前年同月比20.4%増、前月比44.1%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。
(注)輸出先の不明なものを除く。
豪州
【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加
2019年7月の化工でん粉の輸出量は、2790トン(前年同月比23.5%増、前月比10.1%増)と前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度増加した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。
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