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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2019年12月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2019年12月

 本稿中の為替レートは2019年10月末日TTS相場の値であり、1米ドル=110円(109.88円)、1タイ・バーツ=3.68円、1ユーロ=123円(122.96円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
生産量および総消費量ならびに期末在庫がそれぞれわずかに下方修正

 2019年11月時点の米国農務省(USDA)による2019/20穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、単収が下方修正されたことから、生産量は136億6100万ブッシェル(3億4700万トン、前年度比5.3%減、前月予測比0.9%減)とわずかに下方修正された。消費関連の数値は、国内消費量のうち飼料など向け、食品・種子・その他工業向け、エタノール向けおよび輸出量が下方修正されたことから、総消費量は139億1500万ブッシェル(3億5345万トン、同3.9%減、同0.7%減)とわずかに下方修正された。また、期末在庫も19億1000万ブッシェル(4852万トン、同9.6%減、同1.0%減)とわずかに下方修正された(表2)。

表2

【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は上方修正

 2019/20穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.85米ドル(424円)と予測され、上方修正された。

【貿易動向:トウモロコシ】
8月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはわずかに減少

 2019年8月のトウモロコシ輸出量は、283万9693トン(前年同月比51.5%減、前月比1.9%減)と前年同月からは大幅に、前月からはわずかに減少した(図3)。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり192.3米ドル(2万1153円、同6.5%高、同2.8%安)と前年同月からはかなりの程度上昇したものの、前月からはわずかに下落した。これにより、5月から急上昇していた輸出価格が下落に転じた。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。

図3

表3

【貿易動向:コーンスターチ】
8月の輸出量は前年同月からはかなりの程度減少したものの、前月からは大幅に増加

 2019年8月のコーンスターチ輸出量は、1万504トン(前年同月比6.6%減、前月比22.4%増)と前年同月からはかなりの程度減少したものの、前月からは大幅に増加した(図4)。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。

 同月の中西部市場のコーンスターチ市場価格は、1ポンド(注)当たり6.84セント(7.5円、同41.0%高、同20.6%安)と前年同月からは大幅に上昇したものの、前月からは大幅に下落した。これにより、4月から上昇していた市場価格が下落に転じた。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。

図4

表4

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同期をかなりの程度下回るものの、安定して推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2019年11月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.3バーツ(49円、前年同期比9.8%安、前週同)となり、9月から13バーツ前半でほぼ動きがない状態である(図5)。

図5

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からはかなり大きく、前月からはかなりの程度減少

 2019年9月のタピオカでん粉輸出量は、21万4221トン(前年同月比13.0%減、前月比6.2%減)と前年同月からはかなり大きく、前月からはかなりの程度減少した(図6)。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり455.0米ドル(5万50円、同9.9%安、同1.1%高)と、前年同月からはかなりの程度下落したものの、前月からはわずかに上昇した。10月の輸出価格は、同455.0米ドル(同11.3%安、前月同)と、前年同月からはかなり大きく下落したが、前月と同額であった。

図6

表5

ベトナム

【生産動向】
9月は主産地の原料供給量が減少

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、第1位の作付面積を誇るザライ省が属する南部の中央高原地域に今期作付けされたキャッサバは成熟しきっていないため、農家は収穫を控えており、9月に入ってもでん粉製造工場へ供給されるキャッサバの量は少ない状況である。

 南東地域に属し、第2位の作付面積を誇るタイニン省では、8月15日時点で前年同月をわずかに上回る5万ヘクタールにキャッサバが作付けされた。しかし、約90%がキャッサバモザイクウイルスおよび干ばつの被害を受けたため、生産量は前年と同等もしくは前年を下回るとされている。また、8月末から立て続けに発生している熱帯低気圧や洪水などの影響で、同省と国境を接するカンボジアからの9月のキャッサバ輸入量も減少している。

(注)2019年9月15日時点の推計値が公表されなかったため、今月号ではベトナムのキャッサバ作付面積の表は掲載しない。

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少

 AgroMonitorによると、2019年9月のタピオカでん粉輸出量は、16万7043トン(前年同月比42.4%増、前月比2.8%減)と、前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少した(図7)。

図7

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少

 2019年8月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、1万4491トン(前年同月比34.4%減、前月比48.7%減)と前年同月および前月から大幅に減少した(図8)。同月の主要国別輸出量は、表6の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は1トン当たり790ユーロ(9万7170円、同24.0%高、同4.0%安)と前年同月からは大幅に上昇したものの、前月をやや下回った。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図8

表6

コラム スペインのコーンスターチ生産について

 スペインはドイツ、フランスに次いでEU内でコーンスターチの販売量が多く、生産量は年々増えている。スペインの3大コーンスターチ製造企業から構成されるHUMAIZによると、コーンスターチ生産量は2012年から2017年の6年間で10.5%増加した(コラム−図1)。これは、コーンスターチなどのでん粉を加工して作る糖化製品の需要が、食品や医薬品向けに高まっているためだと考えられる。糖化製品のうち異性化糖は、主に清涼飲料水の甘味料として利用されているが、スペインにはこの異性化糖の製造に特化した工場をもち、大きなシェアを誇る企業がある。
 


 コーンスターチの原料であるトウモロコシの生産量は、近年、作付面積が減っていることに伴って減少している(コラム−図2)。スペインはウクライナ、ブラジル、フランス、米国など世界各国からトウモロコシを輸入しているが、2018年に輸入量が大幅に増加した。これは、同年夏にスペイン南部で飼料向けなど含め干ばつの被害があり、生産量が低迷したためである。
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からはわずかに減少したものの、前月からはかなりの程度増加

 2019年9月の化工でん粉の輸出量は、9万176トン(前年同月比0.9%減、前月比9.8%増)と前年同月からはわずかに減少したものの、前月からはかなりの程度増加した(図9)。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。

図9

表8

米国

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からは大幅に減少したものの、前月からはやや増加

 2019年8月の化工でん粉の輸出量は、2万8824トン(前年同月比16.0%減、前月比5.8%増)と前年同月からは大幅に減少したものの、前月からはやや増加した(図10)。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。

図10

表8

中国

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からは大幅に増加したものの、前月からは大幅に減少

 2019年9月の化工でん粉の輸出量は、9237トン(前年同月比72.6%増、前月比24.0%減)と前年同月からは大幅に増加したものの、前月からは大幅に減少した(図11)。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。

図11

表9

EU

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に減少

 2019年8月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万1174トン(前年同月比9.8%減、前月比18.4%減)と前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に減少した(図12)。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。

(注)輸出先の不明なものを除く。

図12

表10

豪州

【貿易動向】
8月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に減少

 2019年8月の化工でん粉の輸出量は、2111トン(前年同月比7.0%減、前月比24.3%減)と前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に減少した(図13)。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

図13

表11

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