でん粉の国内需給
最終更新日:2020年3月10日
でん粉の国内需給
2020年3月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。9月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、次の通り(
詳細は2019年11月号参照)。
2. 輸入動向
【タピオカでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなりの程度減少
財務省「貿易統計」によると、2019年12月のタピオカでん粉の輸入量は、9636トン(前年同月比6.7%減、前月比2.4%減)と、前年同月からかなりの程度減少した(図1)。
輸入先国はタイ、ベトナム、台湾、中国およびブラジルの5カ国で、輸入量は次の通りであった。
タイ 9351トン
(前年同月比9.4%減、前月比1.2%減)
ベトナム 241トン
(同38.0倍、同41.5%減)
台湾 41トン
(前年同月輸入実績なし、同9.8倍)
中国 2トン
(前年同月輸入実績なし、前月輸入実績なし)
ブラジル 1トン
(前年同月輸入実績なし、前月輸入実績なし)
2019年1〜12月のタピオカでん粉の輸入量は、前年比14.2%増の13万8431トンと、前年をかなり大きく上回った(図2)。国別の輸入量は次の通りであった。
タイ 13万7402トン(前年比13.7%増)
ベトナム 948トン(同3.0倍)
台湾 69トン(同9.9倍)
ブラジル 10トン(同56.3%増)
中国 2トン(前年輸入実績なし)
2019年12月の1トン当たりの輸入価格は、4万8316円(前年同月比15.5%安、前月比1.7%安)と、前年同月からかなり大きく下落した(図3)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
タイ 4万7601円
(前年同月比16.7%安、前月比3.1%安)
ベトナム 4万7521円
(同77.8%安、同0.7%高)
台湾 20万2982円
(前年同月輸入実績なし、同34.1%安)
中国 24万1536円
(前年同月輸入実績なし、前月輸入実績なし)
ブラジル 19万833円
(前年同月輸入実績なし、前月輸入実績なし)
【サゴでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなりの程度増加
財務省「貿易統計」によると、2019年12月のサゴでん粉の輸入量は、1351トン(前年同月比10.5%増、前月比2.3%減)と、前年同月からかなりの程度増加した(図4)。
輸入先国はマレーシアおよびインドネシアで、輸入量は次の通りであった。
マレーシア 1171トン
(前年同月比3.4%増、前月比1.1%減)
インドネシア 180トン
(同2倍、同9.1%減)
2019年1〜12月のサゴでん粉の輸入量は、前年比3.9%減の1万7160トンとなり、前年をやや下回った(図5)。
国別の輸入量は次の通りであった。
マレーシア 1万4318トン(前年比0.9%増)
インドネシア 2842トン(同22.6%減)
2019年12月の1トン当たりの輸入価格は、5万8741円(前年同月比5.0%安、前月比1.1%高)と、前年同月からやや下落した(図6)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
マレーシア 5万9168円
(前年同月比3.8%安、前月比2.4%高)
インドネシア 5万5967円
(同15.2%安、同6.8%安)
【ばれいしょでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなり大きく、前月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2019年12月のばれいしょでん粉の輸入量は、246トン(前年同月比12.0%増、前月比2.4倍)と、前年同月からかなり大きく、前月から大幅に増加した(図7)。
輸入先国は、デンマーク、ドイツおよび台湾の3カ国で、国別の輸入量は次の通りであった。
デンマーク 200トン
(前年同月同、前月比2.0倍)
ドイツ 44トン
(前年同月比2.2倍、前月輸入実績なし)
台湾 2トン
(前年同月輸入実績なし、前月比2.0倍)
2019年1〜12月のばれいしょでん粉の輸入量は、前年比20.7%減の1万247トンと前年から大幅に減少したものの、過去5年間(2015〜2019年)で3番目に多い輸入量となった(図8)。国別の輸入量は次の通りであった。
ドイツ 6230トン(前年比21.6%減)
デンマーク 2801トン(同19.0%減)
オランダ 1200トン(同20.0%減)
台湾 14トン(同2.3倍)
米国 2トン(同2.0倍)
2019年12月の1トン当たりの輸入価格は、10万1506円(前年同月比6.7%安、前月比17.0%高)と、前年同月からかなりの程度下落した一方、前月から大幅に上昇した(図9)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
デンマーク 8万4535円
(前年同月比3.7%安、前月比0.2%安)
ドイツ 17万182円
(同46.6%安、前月輸入実績なし)
台湾 25万6667円
(前月輸入実績なし、前月比0.3%高)
【でん粉誘導体の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2019年12月のでん粉誘導体の輸入量は、3万1457トン(前年同月比18.2%減、前月比4.4%増)と、前年同月から大幅に減少した(図10)。
でん粉誘導体の輸入先国は19カ国で、最大の輸入先国はタイであった。主要輸入先国からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の約7割を占めており、次いでベトナム、フランスとなっている(表3)。
2019年12月の1トン当たりの輸入価格は、8万9614円(前年同月比3.5%安、前月比2.4%安)と、前年同月からやや下落した。
2019年1〜12月のでん粉誘導体の輸入量は、前年比3.7%減の44万270トンとなった(図11)。
また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比1.1%高の9万1579円となった。
【デキストリンの輸入動向】
12月の輸入量は前年同月および前月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2019年12月のデキストリンの輸入量は、1727トン(前年同月比32.4%増、前月比82.5%増)と、前年同月および前月から大幅に増加した(図12)。
デキストリンの輸入先国は9カ国で、デキストリンの輸入量は、上位輸入先国の数量および各国のシェアも含め、月ごとの変動が大きい。
上位輸入先国からの輸入量は次の通りで、タイで輸入量の約7割を占めている(表4)。
2019年12月の1トン当たりの輸入価格は、8万5917円(前年同月比11.5%安、前月比17.6%安)と、前年同月からかなり大きく、前月から大幅に下落した。
2019年1〜12月のデキストリンの輸入量は、前年比4.9%減の1万2636トンと前年からやや減少し、過去5年間(2015〜2019年)で最も少ない輸入量となった(図13)。
また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比8.4%高の11万7664円となった。
【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
12月の輸入量は前年同月および前月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2019年12月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、18万9064トン(前年同月比24.8%減、前月比38.1%減)となり、前年同月および前月から大幅に減少した(図14)。
輸入先国は、米国がほとんどを占め、次いでブラジルとなっている。国別の輸入量は次の通りであった。
米国 16万7059トン
(前年同月比31.5%減、前月比23.5%減)
ブラジル 2万2005トン
(前年同月輸入実績なし、同74.7%減)
2019年12月の1トン当たりの輸入価格は、2万4949円(前年同月比0.4%安、前月比0.6%安)と、前年同月からわずかに下落した。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
米国 2万5101円
(前年同月比0.2%高、前月比4.7%安)
ブラジル 2万3798円
(前年同月輸入実績なし、同8.1%高)
2019年1〜12月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、前年比6.9%減の318万2508トンとなり、過去5年間(2015〜2019年)で2番目に少ない輸入量となった(図15)。
また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比2.0%高の2万4722円となった。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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