2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2020年7月10日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2020年7月
本稿中の為替レートは2020年6月末日TTS相場の値であり、1米ドル=109円(108.74円)、1タイ・バーツ=3.57円、1ユーロ=123円(122.58円)である。
トウモロコシ・コーンスターチ
米国
【需給動向:トウモロコシ】
生産量、消費量ともに下方修正
2020年7月、米国農務省(USDA)による2020/21穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、作付面積が前月の予測よりも下方修正されたことから、生産量は150億ブッシェル(3億8102万トン、前年度比10.2%増、前月比6.2%減)に下方修正された。消費関連の数値は、国内消費量のうち食品・種子・工業など向けが2500万ブッシェル上方修正された一方、飼料など向けがその増加幅を超える2億ブッシェル下方修正されたことから、総消費量は146億2500万ブッシェル(3億7149万トン、同7.3%増、同1.2%減)に下方修正された。また、2019/20穀物年度における国内消費量の下方修正に伴って、2020/21穀物年度の期首在庫は22億4800万ブッシェル(5710万トン、同1.2%増、同6.9%増)に上方修正されたものの、期末在庫は26億4800万ブッシェル(6726万トン、同17.8%増、同20.3%減)に下方修正された(表2)。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとしてALICが換算。
【価格動向:トウモロコシ】
生産者平均販売価格は上方修正
2020/21穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、前月より0.15米ドル増の1ブッシェル当たり3.35米ドル(365円、前年度比6.9%安、前月比4.7%高)と予測された。
【貿易動向:トウモロコシ】
4月の輸出量は前年同月からはかなりの程度減少したものの、前月からはかなりの程度増加
2020年4月のトウモロコシ輸出量は、506万6499トン(前年同月比7.6%減、前月比9.5%増)と前年同月からはかなりの程度減少したものの、前月からはかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は、表3の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり174.8米ドル(1万9053円、同4.6%安、同7.0%安)と前年同月からはやや、前月からはかなりの程度下落し、2018年2月以来、2年2カ月ぶりに175米ドルを割る水準となった。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
【価格動向:コーンスターチ】
6月のコーンスターチ市場価格は前年同月を大幅に下回る
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2020年6月のコーンスターチ市場価格は、1ポンド
(注)当たり3.60セント(3.9円、前年同月比56.6%安、前月比19.8%高)と前年同月からは大幅に下落したものの、前月からは大幅に上昇した(図3)。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
【貿易動向:コーンスターチ】
4月の輸出量は前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはやや減少
2020年4月のコーンスターチ輸出量は、1万2701トン(前年同月比24.3%増、前月比3.2%減)と前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはやや減少した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。
同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり622.4米ドル(6万7842円、同2.3%高、同5.2%安)と前年同月からはわずかに上昇したものの、前月からはやや下落した。
タピオカでん粉
タイ
【価格動向】
タピオカでん粉国内価格は前年同期と同程度
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2020年7月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.0バーツ(46円、前年同期同、前週同)と約6カ月ぶりに同13バーツ台に回復した(図4)。
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月からはかなりの程度増加したものの、前月からは大幅に減少
2020年5月のタピオカでん粉輸出量は、21万4070トン(前年同月比10.0%増、前月比24.9%減)と、前年同月からはかなりの程度増加したものの、前月からは大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり428.8米ドル(4万6739円、同5.0%安、同0.9%高)と、前年同月からはやや下落したものの、前月からはわずかに上昇した。
ベトナム
【生産動向】
南部の一部地域で、6月上旬までにキャッサバの新期作付けを終える
ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、4月に同国南部で始まった2020/21年度(8月〜翌7月)におけるキャッサバの新期作付けを、6月上旬までに終えた地域が一部で見られた。地域別に見ると、同国第1位の作付面積を誇るザライ省の一部地域では、6月上旬までにキャッサバの作付けを終え、前年度と同程度の作付面積を見込んでいる。一方、第2位の作付面積を誇るタイニン省においては、5月末に作付けの準備が行われていたものの、降雨不足やキャッサバ苗の高騰を受けて、作付けの開始時期が遅れている状況にある。
(注)2020年5月15日時点の推計値が公表されなかったため、今月号ではベトナムのキャッサバ作付面積の表は掲載しない。
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月からはやや、前月からは大幅に減少
AgroMonitorによると、2020年5月のタピオカでん粉輸出量は、12万1851トン(前年同月比3.8%減、前月比43.7%減)と、前年同月からはやや、前月からは大幅に減少した。同国の主要国別輸出量は、表6の通りである。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少
2020年4月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万8200トン(前年同月比20.9%増、前月比0.7%減)と前年同月からは大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。
また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり682ユーロ(8万3886円、同17.8%安、同1.9%安)と前年同月からは大幅に、前月からはわずかに下落した。
(注)EU27カ国(2020年1月31日のEU離脱に伴い、今月号より英国を除く)の輸出量。輸出先の不明なものを除く。
コラム ドイツにおけるでん粉原料用ばれいしょ
およびばれいしょでん粉の生産動向
世界最大のばれいしょでん粉生産地域である欧州では、ドイツ、オランダ、デンマークおよびフランスの4カ国が主要なばれいしょでん粉生産国として挙げられる。今回はそのうち最大のでん粉原料用ばれいしょ生産国であり、かつ日本のばれいしょでん粉の主要輸入相手国であるドイツを取り上げる。
ドイツでは、3社のでん粉製造企業(エムスランド社、アヴェベ社、ズュートシュテェルケ社)が計8カ所の工場を所有し、主にバイエルン州、ブランデンブルク州およびニーダーザクセン州などで栽培されたでん粉原料用ばれいしょを用いて、ばれいしょでん粉を生産している(コラム−図)。
ドイツにおけるでん粉原料用ばれいしょの作付面積および生産量は、トウモロコシ、小麦およびてん菜などのバイオマスエネルギー分野における利用が推奨された(注)ことなどに伴い、2016年まで減少傾向で推移してきた。しかし、2017年以降、原料確保を主目的にでん粉製造企業が生産者との契約数量を拡大したことで増加に転じ、2019年の作付面積は約5万7000ヘクタール(前年比0.6%増)、生産量は241万8000トン(同2.5%増)と、ともにわずかに増加した(コラム−表)。また、同年のばれいしょでん粉の生産量は47万2000トン(同16.0%増)と大幅に増加し、そのうち約半分が輸出に仕向けられた。そのうち、日本向けの輸出量は1万1000トン(同8.3%減)と前年からかなりの程度減少したものの、近年、数量は増加傾向にあり1万トンを越えて推移し、日本の輸入先国の第1位となっている(2019年)。
(注)再生可能エネルギー法(Erneuerbare Energien Gesetz:EEG。2000年4月施行)によって、バイオ燃料の原料となる作物の生産が大幅に拡大した。詳細は、『砂糖類・でん粉情報2016年3月号』「CAP改革後のばれいしょでん粉主要生産国の動向〜大きな変革期を迎えたEU〜」(https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000591.html)および『同2020年1月号』「EUのでん粉生産の状況〜ばれいしょでん粉を中心に〜」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002121.html)を参照されたい。
|
化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という。)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。
タイ
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月からはやや、前月からは大幅に減少
2020年5月の化工でん粉の輸出量は、8万2947トン(前年同月比4.3%減、前月比16.7%減)と前年同月からはやや、前月からは大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表8の通りである。
米国
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度減少
2020年4月の化工でん粉の輸出量は、2万6486トン(前年同月比17.8%減、前月比9.9%減)と前年同月からは大幅に、前月からはかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
中国
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少
2020年5月の化工でん粉の輸出量は、6338トン(前年同月比37.5%減、前月比26.1%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表10の通りである。
EU
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からはかなりの程度増加したものの、前月からはかなりの程度減少
2020年4月の化工でん粉の輸出量(注)は、5万3333トン(前年同月比10.6%増、前月比9.3%減)と前年同月からはかなりの程度増加したものの、前月からはかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。
(注)EU27カ国(2020年1月31日のEU離脱に伴い、今月号より英国を除く)の輸出量。輸出先の不明なものを除く。
豪州
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少
2020年4月の化工でん粉の輸出量は、1498トン(前年同月比38.1%減、前月比27.8%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表12の通りである。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272