2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2021年4月9日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2021年4月
本稿中の為替レートは2021年2月末日TTS相場の値であり、1米ドル=107円(107.25円)、1タイバーツ=3.58円、1ユーロ=131円(130.65円)である。
トウモロコシ・コーンスターチ
世界
【需給動向:トウモロコシ】
2020/21年度の世界のトウモロコシ期末在庫量、前月予測からわずかに増加し、前年度比5.1%減
2021年3月9日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。
これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は、前月から226万トン上方修正され、 11億3631万トン(前年度比1.8%増、前月比0.2%増)となった。国別に見ると、メキシコやロシアで下方修正されたが、南アフリカで降雨に恵まれ作付けが順調に進んだことから50万トン上方修正された。また、米国(3億6025万トン、前年度比4.1%増)およびブラジル(1億900万トン、同6.9%増)では、前年度の生産量を上回り、記録的な生産量となることが見込まれている。
輸出量は、世界全体で1億8655万トン(前年度比8.7%増、前月比0.5%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、国際価格の上昇によって価格競争力がついたインドからバングラデシュへの輸出量が増える見込みであることなどから30万トン上方修正された。
輸入量は、世界全体で1億7994万トン(同8.8%増、同0.5%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、バングラデシュにおけるインドからの輸入が増加するなどして20万トン上方修正された。
消費量は、世界全体で11億5177万トン(同1.5%増、同0.1%増)へわずかに上方修正され、生産量を1546万トン上回ることとなった。国別に見ると、インドで80万トン上方修正された。
期末在庫は、世界全体で114万トン上方修正された結果、2億8767万トン(同5.1%減、同0.4%増)と見込まれている。国別に見ると、南アフリカで14万トン上方修正されたが、メキシコで20万トン下方修正されたほか、アルゼンチンにおける2019/20年度の期末在庫(推計値)が今月においても20万トン下方修正されたことを受けて、同量の下方修正がなされた。
米国
【需給、価格動向:トウモロコシ】
2020/21年度の米国トウモロコシ期末在庫率、10.3%と2013/14年度以来の低水準
2021年3月9日、USDA/WAOBは、2020/21 年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである(表3)。
国内生産量は1月以降変更がなく、141億8200 万ブッシェル(3億6024万トン(注)、前年度比4.1%増、前月同)と予測された。
国内消費量も同様に変更がなく、飼料など向けが前年度比4.2%減となる一方、食品・種子・その他工業向け(エタノール向けを含む)が同1.4%増となり、全体では120億2500万ブッシェル(3億545万トン、同1.3%減、前月同)と予測された。
輸出量は前月と変わらず、中国向けの輸出量増などが見込まれることから、26億ブッシェル(6604 万トン、同46.2%増、前月同)と、記録的な輸出量になることを見込んでいる。
期末在庫も前月と変わらず、15億200万ブッシェル(3815万トン、同21.7%減、前月同)と予測された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は10.3%(同3.4ポイント減、前月同)と予測され、干ばつの影響により生産量が大幅に減少したことで期末在庫率が1桁まで低下した2013/14年度以来の低水準となる見通しである。
また、生産者平均販売価格も前月と変わらず、1 ブッシェル当たり4.30米ドル(460円。1キログラム当たり18.1円)と予測された。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
【貿易動向:トウモロコシ】
12月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加
2020年12月のトウモロコシ輸出量は、463万5762トン(前年同月比79.7%増、前月比20.8%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS
(注))は、1トン当たり205.7米ドル(2万2010円、同10.8%高、同5.6%高)と前年同月からはかなりの程度、前月からはやや上昇した。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
【貿易動向:コーンスターチ】
12月の輸出量は前年同月からかなり大きく増加するも、前月からは大幅に減少
2020年12月のコーンスターチ輸出量は、1万2230トン(前年同月比11.9% 増、前月比27.5%減)と前年同月からかなり大きく増加したものの、前月からは大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり606.1 米ドル(6万4853円、同5.5% 安、同13.4% 高)と前年同月からはやや下落したものの、前月からはかなり大きく上昇した。
なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2020年12月の製粉業者の純費用は、 1ポンド(注)当たり6.59セント(7.1円、前年同月比10.5% 高、前月比6.6% 高)と前年同月および前月からかなりの程度上昇した。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
タピオカでん粉
タイ
【生産動向】
2020/21年度のキャッサバ生産量、前月予測からわずかに上方修正
タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の2021年2月現在の予測によると、2020/21年度(10 月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は916万ライ(146万ヘクタール
(注)、前年度比2.7% 増、前月比0.8% 増)、単収は1ライ当たり3.29トン(同 1.2% 増、前月同)であった。これにより、生産量は3011万トン(同3.8% 増、前月比0.8% 増)とわずかに上方修正された(表6)。
(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
【価格動向】
国内価格、前年同期からはかなりの程度、前週からはわずかに上昇
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2021年3月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.8バーツ(49円、前年同期比7.8% 高、前週比0.7% 高)と前年同期からはかなりの程度、前週からはわずかに上昇した(図3)。
【貿易動向】
1月の輸出量、前年同月からかなり大きく増加するも、前月よりわずかに減少
2021年1月のタピオカでん粉輸出量は、25万3991トン(前年同月比15.9% 増、前月比2.7% 減)と、前年同月からかなり大きく増加したものの、前月からはわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり475.0米ドル(5万825円、同6.1% 高、前月同)と、前年同月からかなりの程度上昇したものの、前月と同水準であった。
ベトナム
【生産動向】
2020/21年度におけるキャッサバの収穫が進む
ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、 2021年1月現在、2020/21年度(8月〜翌7月)におけるキャッサバの収穫は、北部で終盤に差し掛かった。また、南部の中央高原地域では、天候に恵まれ、収穫は最盛期を迎えている。キャッサバモザイク病(注)は1月1日現在、中央直轄5都市および58省のうち、1市18省(前月から2省減少)の合計4万5827ヘクタール(前年度比58.0% 増)で感染が確認された。
(注)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最終的には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
【貿易動向】
1月の輸出量は前年同月から大幅に増加するも、前月からはわずかに減少
AgroMonitorによると、2021年1月のタピオカでん粉輸出量は、30万4209トン(前年同月比88.1% 増、前月比1.0% 減)と、前年同月から大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少した。同国の主要国別輸出量は、表8の通りである。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月からわずかに減少するも、前月よりやや増加
2020年12月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万6394トン(前年同月比0.1% 減、前月比5.3%増)と前年同月からわずかに減少したものの、前月よりやや増加した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり627ユーロ(8万2137円、同15.5% 安、同4.0%安)と前年同月からはかなり大きく、前月からはやや下落した。
(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。
コラム フランスにおけるコーンスターチの生産動向
フランスでん粉協会(USIPA)によると、2018年における同国のでん粉生産量は320万トンであり、品目別に見ると、小麦でん粉が46%、コーンスターチが45%、ばれいしょでん粉が8% を占めた(コラム−図1)。本コラムでは、同国のでん粉事情のうちコーンスターチの生産動向を紹介する。
フランスのでん粉製造工場は、同国北東部のグラン・テスト地域圏やオー・ド・フランス地域圏などに集中している(コラム−図2)。グラン・テスト地域圏にはTereos社のMarckolsheim工場とRoquette社のBeinheim工場があり、フランスのトウモロコシ業界団体であるMaïz’Europ’によると、これら二つの工場で同国のコーンスターチ生産量の3分の1程度を製造している。
一方で、オー・ド・フランス地域圏では、Roquette社のLestrem工場とCargill社のHaubourdin工場でコーンスターチが製造されていたものの、Haubourdin工場は東欧諸国で安価なでん粉製造が拡大している影響を受けて、2019年11月にコーンスターチの製造を停止した。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の影響を見てみると、フランスでは感染拡大を受けて、 2020年3月17日〜5月11日までの間、第一次都市封鎖(ロックダウン)措置がとられ、外出制限が設けられたほか、飲食店などの営業停止措置が執られた。その結果、従業員の欠勤率は上昇し、輸送が制限されるなど影響は受けたものの、フランスにある10カ所のでん粉工場は生産を停止することはなかったとUNI-SPAの代表者は報告している。 |
化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。
タイ
【貿易動向】
1月の輸出量、前年同月からはかなりの程度増加するも、前月からはかなりの程度減少
2021年1月の化工でん粉の輸出量は、8万6185トン(前年同月比6.6%増、前月比7.4%減)と前年同月からはかなりの程度増加したものの、前月からはかなりの程度減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表10の通りである。
米国
【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月からはやや、前月からはかなりの程度減少
2020年12月の化工でん粉の輸出量は、2万2216トン(前年同月比3.4%減、前月比6.2%減)と前年同月からはやや、前月からはかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。
中国
【貿易動向】
1〜2月の輸出量、前年同期からわずかに減少
2021年1〜2月の化工でん粉の輸出量(注)は、 1万1950トン(前年同期比1.5% 減)と前年同期からわずかに減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表12の通りである。
(注)Global Trade Atlasの原典である中国海関総署の貿易統計が2021年1〜2月合算で公表されたため、今月号では前月比は掲載せず、前年同期(1〜2月の合計)比だけを掲載した。
EU
【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月からはやや増加するも、前月と同程度
2020年12月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万8276トン(前年同月比3.3%増、前月並み)と、前年同月からはやや増加したものの、前月と同程度であった。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表13の通りである。
(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。
豪州
【貿易動向】
12月の輸出量、前年同月から大幅に増加するも、前月からはわずかに減少
2020年12月の化工でん粉の輸出量は、2504トン(前年同月比75.8%増、前月比2.9%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月からはわずかに減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表14の通りである。
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