2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2021年5月10日
2. 日本の品目別主要輸入先国の動向
2021年5月
本稿中の為替レートは2021年3月末日TTS相場の値であり、1米ドル=112円(111.71円)、1タイバーツ=3.62円、1ユーロ=131円(131.30円)である。
トウモロコシ・コーンスターチ
世界
【需給動向:トウモロコシ】
2020/21年度の世界のトウモロコシ期末在庫量、前月予測からわずかに下方修正されて前年度比6.3%減
2021年4月9日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。
これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は、前月から74万トン上方修正され、11億3705万トン(前年度比1.8%増、前月比0.1%増)となった。国別に見ると、アルゼンチンやインドネシアで下方修正されたが、EUおよび英国で豊作との予測から30万トン上方修正された。また、米国(3億6025万トン、前年度比4.1%増)およびブラジル(1億900万トン、同6.9%増)では、前年度の生産量を上回り、記録的な生産量となることが見込まれている。
輸出量は、世界全体で1億8726万トン(前年度比9.0%増、前月比0.4%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、ブラジルで第二期作トウモロコシの作付遅滞や生育不良などによる単収の減少が予測されたものの、代替供給元として見込まれる米国で191万トン上方修正された。
輸入量は、世界全体で1億7998万トン(同8.8%増、前月並み)となった。国別に見ると、バングラデシュで輸入が増加するなどして10万トン上方修正された。
消費量は、世界全体で11億5619万トン(同1.9%増、前月比0.4%増)へわずかに上方修正され、生産量を1914万トン上回ることとなった。国別に見ると、ブラジルで50万トン、EUおよび英国で30万トン、それぞれ上方修正された。
期末在庫は、消費量の上積みなどにより世界全体で382万トン下方修正された結果、2億8385万トン(同6.3%減、同1.3%減)と見込まれている。国別に見ると、南アフリカで10万トン下方修正されたほか、アルゼンチンにおける2019/20年度の期末在庫(推計値)が今月において5万トン下方修正されたことを受けて、同量の下方修正がなされた。
米国
【需給、価格動向:トウモロコシ】
2020/21年度の米国トウモロコシ期末在庫率、10%割れ低水準
2021年4月9日、USDA/WAOBは、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである(表3)。
国内生産量は1月以降変更がなく、141億8200万ブッシェル(3億6024万トン(注)、前年度比4.1%増、前月同)と予測された。
国内消費量は、食品・種子・その他工業向け(エタノール向けを含む)が前年度比1.8%増と上方修正され、全体では121億ブッシェル(3億735万トン、同0.7%減、前月比0.6%増)と予測された。
輸出量は、中国向けの輸出量増加などが見込まれることから、26億7500万ブッシェル(6795万トン、同50.4%増、同2.9%増)へわずかに上方修正され、記録的な輸出量になることを見込んでいる。
期末在庫は、国内消費量が上方修正されたことから、13億5200万ブッシェル(3434万トン、同29.5%減、同10.0%減)と予測された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は9.2%(同4.5ポイント減、同1.1ポイント減)と予測され、干ばつの影響により生産量が大幅に減少したことで期末在庫率が1桁まで低下した2013/14年度(期末在庫率9.2%)以来の低水準となる見通しである。
また、生産者平均販売価格も前月と変わらず、1ブッシェル当たり4.30米ドル(482円。1キログラム当たり19.0円)と予測された。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
【貿易動向:トウモロコシ】
輸出価格、6カ月連続で上昇し、前年同月比25.7%高
2021年1月のトウモロコシ輸出量は、582万1757トン(前年同月比2.3倍、前月比25.6%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS
(注))は、1トン当たり233.0米ドル(2万6096円、同25.7%高、同13.3%高)と前年同月からは大幅に、前月からはかなり大きく上昇した。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれない。
【貿易動向:コーンスターチ】
1月の輸出量は前年同月からやや、前月からはかなり大きく増加
2021年1月のコーンスターチ輸出量は、1万3963トン(前年同月比3.7%増、前月比14.2%増)と前年同月からはやや、前月からはかなり大きく増加した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり620.2米ドル(6万9462円、同2.0%高、同2.3%高)と前年同月および前月からわずかに上昇した。
なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2021年1月の製粉業者の純費用は、1ポンド(注)当たり8.50セント(9.5円、前年同月比37.5%高、前月比29.0%高)と前年同月および前月から大幅に上昇した。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
タピオカでん粉
タイ
【生産動向】
2020/21年度のキャッサバ生産量、前月予測から変化なし
タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の2021年3月現在の予測によると、2020/21年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は916万ライ(146万ヘクタール
(注)、前年度比2.7%増、前月同)、単収は1ライ当たり3.29トン(同1.2%増、前月同)、生産量は3011万トン(同3.8%増、前月同)であった(表6)。
(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
【価格動向】
国内価格、前年同期からかなりの程度上昇
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2021年4月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.9バーツ(50円、前年同期比9.4%高、前週同)と前年同期からかなりの程度上昇した(図3)。
【貿易動向】
2月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加
2021年2月のタピオカでん粉輸出量は、35万6870トン(前年同月比62.7%増、前月比40.5%増)と、前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり480.0米ドル(5万3760円、同9.7%高、同1.1%高)と、前年同月からはかなりの程度、前月からはわずかに上昇した。
ベトナム
【生産動向】
2月は北部でキャッサバの新期作付けが始まる
ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、2021年2月現在、北部で2021/22年度(8月〜翌7月)におけるキャッサバの新期作付けが始まった。来期の北部におけるキャッサバの作付面積は、キャッサバ価格の上昇を受け、前年度比で10〜15%程度の増加が予測されている。また、南部では4月中旬頃から新期作付けが開始されると見込まれている。
なお、キャッサバモザイク病(注)は2月19日現在、中央直轄5都市および58省のうち、1市16省(前月から2省減少)の合計4万3050ヘクタール(前年度比17.1%増)で感染が確認された。
(注)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最終的には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
【貿易動向】
2月の輸出量は前年同月からはわずかに、前月からは大幅に減少
AgroMonitorによると、2021年2月のタピオカでん粉輸出量は、11万7234トン(前年同月比1.4%減、前月比61.5%減)と、前年同月からはわずかに、前月からは大幅に減少した。同国の主要国別輸出量は、表8の通りである。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
1月の輸出量、前年同月からわずかに増加するも、前月よりわずかに減少
2021年1月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万5967トン(前年同月比1.7%増、前月比1.6%減)と前年同月からわずかに増加したものの、前月よりわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。
また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり621ユーロ(8万1351円、同12.3%安、同1.0%安)と前年同月からはかなり大きく、前月からはわずかに下落した。
(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。
コラム ドイツにおける小麦および小麦でん粉の生産動向
ドイツのでん粉産業組合(VGMS)によると、2019年における同国のでん粉生産量は151万トンであり、品目別に見ると、小麦でん粉、ばれいしょでん粉およびコーンスターチがそれぞれ約3〜4割を占めた(コラム−図1)。本コラムでは、同国のでん粉事情のうち小麦でん粉とその原料となる小麦の生産動向を紹介する。
ドイツで栽培されている小麦には、冬小麦(秋に播種し、翌年の6月上旬に収穫)と夏小麦(2〜3月に播種し、6月下旬に収穫)がある。ドイツ連邦統計局によると、冬小麦は栽培期間が長いことなどから、夏小麦と比較して単収が高く、2019年には小麦の総生産量のうち98.7%を占めた(コラム−表)。一方、夏小麦は主に冬小麦が霜や干ばつにより生育が低迷した際に栽培される状況にあり、2018年の夏小麦の増産は、前年の秋の湿った土壌条件により、冬小麦の作付面積が減少したことが背景として挙げられる。
VGMSによると、ドイツには9社のでん粉製造企業があり、そのうち5社(Cargill、Crespel & Deiters GmbH & Co. KG、Interstarch GmbH、Jackering Group、Kroner Starke)が小麦でん粉を生産している。近年の小麦でん粉の生産量は、コラム−図2の通りであり、60万トン前後で推移している。
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化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。
タイ
【貿易動向】
2月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加
2021年2月の化工でん粉の輸出量は、14万4357トン(前年同月比76.2%増、前月比67.5%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表10の通りである。
米国
【貿易動向】
1月の輸出量、前年同月からわずかに減少するも、前月よりかなりの程度増加
2021年1月の化工でん粉の輸出量は、2万4063トン(前年同月比2.3%減、前月比8.3%増)と前年同月からわずかに減少したものの、前月よりかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。
中国
【貿易動向】
1〜2月の輸出量、前年同期からわずかに減少
2021年1〜2月の化工でん粉の輸出量(注)は、1万1950トン(前年同期比1.5%減)と前年同期からわずかに減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表12の通りである。
(注)Global Trade Atlasの原典である中国海関総署の貿易統計が2021年1〜2月合算で公表されたため、今月号では前月比は掲載せず、前年同期(1〜2月の合計)比だけを掲載した。
EU
【貿易動向】
1月の輸出量、前年同月からはかなり大きく、前月からはわずかに減少
2021年1月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万7295トン(前年同月比13.6%減、前月比2.0%減)と、前年同月からはかなり大きく、前月からはわずかに減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表13の通りである。
(注)EU27カ国の輸出量。輸出先の不明なものを除く。
豪州
【貿易動向】
1月の輸出量、前年同月および前月から大幅に減少
2021年1月の化工でん粉の輸出量は、1353トン(前年同月比27.1%減、前月比44.3%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表14の通りである。
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