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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2021年8月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2021年8月

 本稿中の為替レートは2021年6月末日TTS相場の値であり、1米ドル=112円(111.58円)、1タイバーツ=3.52円、1ユーロ=133円(133.08円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
2021/22年度の世界のトウモロコシ生産量、前年度からかなり増加する見込み
 
 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2021年7月12日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。  

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は前回から495万トン上方修正され、11億9480万トン(前年度比6.6%増、前月比0.4%増)と予測された。国別に見るとブラジル(前年度比26.9%増)およびウクライナ(同23.8%増)では記録的な生産増が予測され、米国(同6.9%増)、アルゼンチン(同5.2%増)および中国(同2.8%増)でも過去最高水準に近い生産が見込まれている。  

 輸出量は、世界全体で1億9884万トン(同8.6%増、同0.7%増)と前回からわずかに上方修正された。国別に見るとブラジル(前年度比53.6%増)とウクライナ(同32.6%増)で大幅な増加が見込まれるものの、米国(同12.3%減)はこれら輸出国との競合により減少が見込まれている。  

 輸入量は、世界全体で1億8766万トン(同3.0%増、同1.0%減)と前回からわずかに下方修正された。国別に見ると、主要輸入国である中国の輸入量は2600万トンと前年度から変わらないものの、引き続き高水準での推移が見込まれている。  

 消費量は243万トン上方修正されて、11億8347万トン(同3.2%増、同0.2%増)と前回からわずかに上方修正された。消費大国であるブラジル(前年度比6.6%増)、米国(同1.2%増)および中国(同1.7%増)などで増加が見込まれている。  

 期末在庫は、2021/22年度の生産量の上方修正などに伴い、前月から0.6%増の2億9118万トン(同4.0%増)と見込まれている。

 

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
2021/22年度の米国トウモロコシ期末在庫率、9%台の見込み
 
 USDA/WAOBは2021年7月12日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである(表3)。  

 生産量は作付面積の増加を受けて151億6500万ブッシェル(3億8521万トン(注)、前年度比6.9%増)と予測されており、これまでの統計で最も生産量の多かった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)をわずかに上回る水準となっている。  

 消費量は飼料など向けの需要がわずかに上方修正され、全体では123億4000万ブッシェル(3億1345万トン、同1.2%増)と予測された。  

 輸出量は生産量の増加に伴い上方修正されたものの、25億ブッシェル(6350万トン、同12.3%減)と記録的な輸出量となった前年度からかなり大きく減少すると予測された。  

 期末在庫は、国内消費量が増加するものの、作付面積の増加を受けた生産量の増加が上回ることに伴い、前月から5.5%増の14億3200万ブッシェル(3637万トン、同32.3%増)と予測された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は前月から0.4ポイント増の9.6%(同2.4ポイント増)となった。  

 また、生産者平均販売価格はわずかに下方修正され、1ブッシェル当たり5.60米ドル(627円。1キログラム当たり24.7円)と予測された。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。

表3

【貿易動向:トウモロコシ】
4月の輸出量は前年同月から大幅に増加するも、前月からかなりの程度減少
 
 2021年4月のトウモロコシ輸出量は、851万4635トン(前年同月比68.2%増、前月比10.2%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月よりかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。  

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり264.2米ドル(2万9590円、同51.6%高、同3.5%高)と前年同月からは大幅に、前月からはやや上昇し、過去1年の最安値(2020年8月)と比べ、58.3%の上昇となった。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
 



 
【貿易動向:コーンスターチ】
4月の輸出量は前年同月からかなり大きく増加するも、前月よりかなり大きく減少
 
 2021年4月のコーンスターチ輸出量は、1万4489トン(前年同月比13.5%増、前月比12.0%減)と前年同月からかなり大きく増加したものの、前月よりかなり大きく減少した。

 同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。  同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり646.6米ドル(7万2419円、同3.3%高、同4.1%高)と前年同月および前月からやや上昇した。    

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2021年4月の製粉業者の純費用は、トウモロコシ価格の上昇などを要因に1ポンド(注)当たり10.63セント(11.9円、前年同月比3.5倍、前月比25.1%高)と前年同月および前月から大幅に上昇した。

(注)1ポンドは約0.45キログラム。

  

 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2020/21年度のキャッサバ生産見通し、4カ月変化なし
 
 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の2021年6月現在の予測によると、2020/21年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は916万ライ(146万ヘクタール(注)、前年度比2.7%増、前月同)、単収は1ライ当たり3.29トン(同1.2%増、前月同)、生産量は3011万トン(同3.8%増、前月同)であった(表6)。

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。


 
【価格動向】
国内価格、前年同期からかなりの程度上昇
 
 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2021年7月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり14.1バーツ(50円、前年同期比8.5%高、前週比0.7%高)と前年同期からはかなりの程度、前週からはわずかに上昇した(図3)。

図3

【貿易動向】
5月の輸出量、前年同月からはかなり大きく、前月からはわずかに増加
 
 2021年5月のタピオカでん粉輸出量は、23万8933トン(前年同月比11.6%増、前月比0.5%増)と、前年同月からはかなり大きく、前月からはわずかに増加した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。  

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり485.0米ドル(5万4320円、同13.1%高、前月同)と、前年同月からかなり大きく上昇した。

表7

図 タイのタピオカ

ベトナム

【生産動向】
主産地のザライ省でキャッサバの作付けが進む
 
 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、同国第1位のキャッサバ作付面積を誇るザライ省では、4月中旬から好天が続き、適度な降雨が少なかったことで定植の適期を逸し、2021/22年度(8月〜翌7月)の新期作付けは滞り、一部のキャッサバでは枯死が発生した。しかし、5月中旬に入りまとまった降雨があったことでキャッサバの作付けは進み、同省における計画面積の8割で作付けを終えた状況となっている。その結果、5月中旬現在、同国のキャッサバ作付面積は26万ヘクタールとなった。  

 なお、キャッサバモザイク病(注1)は5月28日現在、中央直轄5都市および58省のうち、1市19省(前月同)の合計7万1852ヘクタールで感染が確認され、前月(4月30日)から微増した(注2)

(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最終的には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国におけるキャッサバの作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。


【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に増加
 
 AgroMonitorによると、2021年5月のタピオカでん粉輸出量は、13万9988トン(前年同月比8.0%増、前月比32.5%増)と前年同月からはかなりの程度、前月からは大幅に増加した。同国の主要国別輸出量は、表8の通りである。

表8

図 ベトナムのタピオカでん粉

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
4月の輸出量、前年同月からかなりの程度増加するも、前月より大幅に減少
 
 2021年4月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万2057トン(前年同月比10.8%増、前月比16.5%減)と前年同月からかなりの程度増加したものの、前月より大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は、表9の通りである。  

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり576ユーロ(7万6608円、同16.1%安、同1.4%安)と前年同月からは大幅に、前月からはわずかに下落した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く

表9

図 EUのばれいしょでん粉

コラム 欧州主要国のでん粉原料用ばれいしょ生産動向
−ドイツおよびオランダ編−


 世界最大のばれいしょでん粉生産地域である欧州では、ドイツ、オランダ、デンマークおよびフランスの4カ国が主産国として位置づけられている。本コラムでは、そのうちのドイツおよびオランダのでん粉原料用ばれいしょの生産動向を紹介する(コラム−表)。

1.ドイツ  
 ドイツのでん粉原料用ばれいしょの作付面積は2017年以降、増加傾向で推移している。ドイツばれいしょ産業連盟(UNIKA)によると、これは同国でばれいしょでん粉を製造している3社が原料の確保を目的に、生産者との契約数量を拡大していることが要因とされる。この結果、2020年の作付面積は6万2000ヘクタール(前年比8.8%増)、生産量は255万トン(同6.1%増)とともに前年からかなりの程度増加したものと見込まれている。また、同年はでん粉用途以外のばれいしょについても、作付面積の増加に伴い生産量が増加したことで需要量を上回り、今後、ドイツのばれいしょは余剰分については輸出に仕向けられる他、でん粉産業などでの継続的な使用が見込まれている。この状況を受けてUNIKAは、2021年度のでん粉原料用を含むばれいしょの作付面積を減らすよう農家に呼びかけた。

2.オランダ  
 オランダのでん粉原料用ばれいしょの作付面積を見ると、過去5年は4万トン台半ばで安定して推移している。2018年夏に過去20年で最悪とされる干ばつが発生し、翌年も乾燥した気候により単収と生産量はともに落ち込んだものの、2020年の単収は1ヘクタール当たり40.6トン(前年比7.4%増)、生産量は183万トン(同7.8%増)と回復傾向にあるとみられている。  

 同国政府は国家たんぱく質戦略(注)の中で、ばれいしょなどたんぱく質を含む農作物の栽培に力を入れていくとしている。これを受けて、同国唯一のばれいしょでん粉製造企業であるAvebe社は「動物性原料の代替品として、健康的で栄養価が高く、環境に優しい植物由来であるばれいしょ原料の付加価値を高めていく」と述べており、今後の動向が注目される。

(注)2020年12月22日に発表された同戦略は、今後5〜10年間に人の健康に資する持続可能な方法で代替たんぱく質および植物性たんぱく質の自給率を高めることを目的としている。
 

 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
5月の輸出量、前年同月からかなりの程度増加するも、前月よりわずかに減少
 
 2021年5月の化工でん粉の輸出量は、9万1905トン(前年同月比10.8%増、前月比1.9%減)と前年同月からかなりの程度増加したものの、前月よりわずかに減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表10の通りである。

表10

図 タイの化工でん粉

米国

【貿易動向】
4月の輸出量、前年同月からやや増加するも、前月よりかなりの程度減少
 
 2021年4月の化工でん粉の輸出量は、2万7369トン(前年同月比3.2%増、前月比8.2%減)と前年同月からやや増加したものの、前月よりかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は、表11の通りである。

表11

図 米国の化工でんぷん

中国

【貿易動向】
5月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加
 
 2021年5月の化工でん粉の輸出量は、9751トン(前年同月比53.8%増、前月比27.8%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表12の通りである。

表12

図 中国の化工でん粉

EU

【貿易動向】
4月の輸出量、前年同月および前月からやや減少
 
 2021年4月の化工でん粉の輸出量(注)は、5万7856トン(前年同月比3.0%減、前月比4.5%減)と、前年同月および前月からやや減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

表13

図 EUのでん粉

豪州

【貿易動向】 
4月の輸出量、前年同月および前月から大幅に増加
  
 2021年4月の化工でん粉の輸出量は、3091トン(前年同月比2.1倍、前月比31.1%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表14の通りである。

表14

図 豪州の化工でん粉

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